にんにく栽培は多肥傾向で肥料費が高く、また植付時・収穫時に多大な労力がかかります。低コスト・省力化したにんにく栽培技術の確立を目指して、「肥料散布機+畦立てマルチャー+除草剤散布」・「乗用自走式植付機」・「乗用自走式収穫機」の機械化体系を実証しました。
背景およびねらい
◆背景
にんにく栽培では、長年の堆肥施用でりん酸と加里が過剰となっているほか、多肥傾向にあり、10a当たりの肥料費が4~5万円にもなっている。また、植付時、収穫時には多大の労力を必要とし、高齢化・労働力不足が進行する中にあって一層の省力化が求められている。
◆目標
にんにくの施肥低減及び省力化を推進するため「肥料散布機+畦立てマルチャー+除草剤散布」、「乗用自走式植付機」、「乗用自走式収穫機」の機械化体系を実証し、早期に普及が可能な低コスト・省力化栽培技術の確立を目指す。
結果の概要および考察
1.畦内部分施肥での施肥低減の実証
施肥作業精度は、車速連動型肥料散布機で設定値に対して99.6%と非常に高い精度であった。
収量調査結果では、20~50%施肥低減したいずれの実証区も、慣行区に較べて25~17%の減収となった。
2.機械化作業体系による省力化
ア 乗用自走式植付機は、約20cmの高畦にも対応して植え付けがなされた。
稼働面積は、一日の稼働面積が約19a、植え付け適期が20日間、可能日数率を80%とすると約3.07haである。
10a当たりの延べ作業時間は、慣行体系13.4時間に対して7.74時間と約58%に短縮された。
イ 乗用自走式収穫機の稼働面積は、1日の稼働面積が13a、収穫適期が20日間、可能日数率を80%とすると約2.15haである。
10a当たりの延べ作業時間も慣行体系61.2時間に対して17.7時間と29%に短縮された。
ウ 機械化体系による軽労化プレミアムは14,558円であった。
特に、植付け作業(腰をかがめた状態)と収穫作業(茎葉処理の省略、運搬)で軽労化が顕著であった。
エ 慣行体系100a規模に対して、15a(試算は20a増、収量が同等の場合)の規模拡大によって同等の所得が得られる。
今後の課題・展望
1. 畦内施肥技術の検討と施肥低減技術の普及を図る。
2. 機械化体系の着実な導入・普及を図り、にんにく産地の維持・拡大に努める。
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http://www.jeinou.com/2012/01/post_11.html
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