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飼料用米の密播疎植及び深耕・多肥栽培による収穫向上とコスト低減効果の検討(新潟県・平成24年度)

飼料用米の密播疎植及び深耕・多肥栽培による収穫向上とコスト低減効果の検討(新潟県・平成24年度)

飼料用米生産により所得を確保するには、低コスト・多収穫生産と、実儒者から求められるタンパク含有率の高い高品質な飼料用米の生産が必要です。低コスト・多収・タンパク含有率向上のための密播疎植及び深耕・多肥栽培の実証事例をご紹介します。

 


 

背景およびねらい

◆背景
 上越地域では、遊休地の解消と農家経営の安定を目指し、採卵鶏向けに飼料用米(籾供給)生産を推進しており、新規需要米の主要な取組として定着している。
 一方、飼料用米生産により所得を確保するには、生産コストの低減が必須であり、低コスト、多収穫生産技術の確立が急がれている。また、全国的な生産拡大に伴い単価は下落傾向であり、単価の維持には実需者から求められるタンパク質含有率の高い飼料用米の生産が必要となる。

◆目標
 低コスト、多収穫生産に向けた栽培体系確立のため、①密播疎植(播種量乾籾217g/箱、栽植密度37坪/株)による使用苗箱数削減、②深耕(15cm)による根域の拡大、③粗耕起の追加による耕うん作業効率の向上による、収量・タンパク質含有率向上及び生産費低減効果を検討する。

目標: 収量 800kg/10a(籾) タンパク質含有率 7.0% 籾1kg当たり生産費:80円以下

結果の概要および考察

1.重粘土壌において深耕の作業効率を高めるため粗耕起を行ったところ、一般的な重粘土壌における深耕作業に比べ作業効率が向上した。

2.坪37株の疎植に加え、密播により植付時のかき取り量を最低設定としたことから、使用苗箱数は10a当たり6.5箱と慣行の半分以下に削減された。移植当日は強風で、精度確保のため作業速度をやや落としたが、欠株の発生はほぼ慣行並に抑えられた。

3.深耕の効果により、慣行を上回る籾数を確保し、登熟歩合が向上したことから、収量は坪刈りで989kg/10a、実収875kg/10aと慣行と同等以上となり、目標を上回った。また、タンパク質含有率が高まり、目標の7%を確保した。
 また、疎植により無効茎の発生が少なく茎質が向上したことや、深耕の効果により後期栄養が維持されたことから、倒伏の発生はみられなかった。

4.苗箱数の削減により育苗にかかる費用が減少し、収穫量が増加したことから、籾1kgあたりの生産費は77円に抑えられ、10a当たり事業利益は慣行に比べ2,072円増加した。

5.作業時間は1ha当たり47.7時間となり、慣行に比べ6.6%低減した。特に使用苗箱数の低減による育苗期の軽労化効果が大きく、規模拡大効果も期待される。

今後の課題・展望

大規模経営体において、密播疎植に加え直播を組み合わせることで、経営全体でのコスト低減や軽労化、作期分散による品質向上などの経営改善効果を検討する。


もっと詳しく!今回ご紹介した記事の全文はこちら http://www.jeinou.com/2013/08/post_13.html
(みんなの農業広場の該当記事へリンクします)

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