ICT(情報通信技術)と農業機械が融合した新しい営業支援システムKSAS(クボタスマートアグリシステム)。 昨年6月にサービス開始以来、多くの方がその未知の作業体系を経験されました。 「使ってみたら予想以上!」と絶賛するKSAS ユーザーの声をお届けします。
(この記事は、平成27年11月発行のクボタの営農情報誌『U(ユー)元氣農業 No.32』を元に構成しています)
食味・収量確保にKSASは必須。自信が、確信に変わった!
KSASを導入した一番の理由「味のレベルを落としたくない」!
濁川生産組合は、昨年KSAS本格コースに入会。食味・収量センサ付コンバインとKSASモバイル3台を導入されました。田村代表は、「KSASを導入した理由は、お米の品質を向上させたい、言い換えれば、味のレベルを落としたくないということです。私たちは、レストランなどのお客さまに白米を直接販売していますので、新潟の美味しいお米ということでなければ売れません。品質を落とせば迷惑をかけることになります」と語ります。
実感! コンバインが食味を測る!
「食味という面では、タンパク含有量が一番食味に影響してくると思うので、それがすぐその場で見られるというのがKSASのすごいところですね。今までも、ある機関でサンプルをとって食味計を使って測っていましたが、今後はKSAS対応コンバインで食味を測れるので非常にありがたいです。ウチの目標はタンパク含有率6%を超えないこと。収量を上げようとすると食味が下がるという経験もしていますので、6%を超えないというのが、いいものを作っていこうとする目安です。その数値がKSAS対応コンバインだとすぐ出てきますよね。『ここの圃場は超えている』とか、『ここは適正だ』とか。圃場を見ながら『こうした作り方をすればいいんだ』と、その場で検討できます」。もう濁川生産組合の食味管理にKSASは必須です。
KSASモバイルで作業効率がアップ!
田村代表はさらに、KSASの導入によって作業指示を共有でき、作業ミスの防止にもつながっていると言います。「ウチには圃場が169枚あります。それだけあれば、よその圃場と間違える可能性もありますし、実際に間違ったこともあります。これまでは、土地改良区の地図を色分けしてオペレータに持たせ、『次はここだよ』と指示していました。KSASモバイルを使うことで、画像で確認できるのでいいですね。作業者は現場で正確に指示を確認できますし、私は誰がどこで作業してるかが把握できます。これなら作業ミスを防げますね」。
また、「ウチではKSASモバイルを3台使用し、2台はコンバインのオペレータ2人に、もう1台はライスセンターで調製するオペレータに渡しています。なぜライスセンターかというと、刈取りの作業状況をこのKSASモバイルで確認し、どこまで刈ったら乾燥機が一杯になるかを予測して、圃場とライスセンターと連携をとるためです。これによって、乾燥機の張り込めないくらい刈り取ったり、『あと1枚は刈れたのに』という無駄がなくなりました」と喜びます。
圃場を写真やメモで記録することで反省点が明確に!
このKSASモバイルを活用することで、圃場ごとの作業記録を簡単につくることも可能です。「このモバイルで刈る前に圃場の写真を撮って、それを必ずパソコンに入れているんです。来年になったら去年の反省点として圃場の状況がわかり、データとして残るのですごいことです。『この圃場は雑草が多かった』『ここは入り口がぬかるんでいる』などコメントを入れておくと、来年に向けての反省材料になります。これもKSASのメリットです。こういう機能を活かして、翌年、お米の品質を高めることにつなげていきたいですね」と田村代表。
普及センターと連携し、施肥計画を検討
濁川生産組合では、農閑期に新潟農業普及指導センターの普及指導員の協力を得て、次年度の栽培検討会を実施。KSASの食味・収量データを基にした施肥計画が検討されました。普及指導員の方は、「品質と収量は相反する部分が多いので、どこに落ち着きどころをとるかが難しい。品種によっても異なるので、個々の圃場単位のデータがないと、当然ばらつきが出てきます。それをいかに抑えて品質、収量を上げていくかが大事です。そういう意味では、KSASによって圃場単位のデータがわかるというのは大きいと思います。圃場の条件、地力、稲の栽培状況等と、KSASから得られた収量・タンパク含有率等のデータをうまく考慮しながら次年度の栽培改善に役立てていければ、品質の良いお米を多く安定的に収穫できることにつながると思います」と、KSASによる収量向上と良食味米の生産に期待を寄せています。
検討会を終えて、田村代表は「KSASはウチの米づくりにきっと役に立つと、自信を持っていましたが、今、それが確信に変わりました。美味しいお米を取るにはどうしたらよいか関係機関と一緒に勉強しながら、圃場ごとの施肥計画を考えていきたいと思います」とその思いを語ります。濁川生産組合の今まで以上の経営発展が楽しみです。