【大豆300AレポートNo.1(前編)】徹底的な排水対策で単収300kgを目指す! お気に入りに追加
水田輪換畑で大豆の収量・品質を上げるために、排水対策は必須!
お気に入りに追加

大豆300Aレポート#02

富山県|

大豆|

【大豆300AレポートNo.1(前編)】徹底的な排水対策で単収300kgを目指す!

【大豆300AレポートNo.1(前編)】徹底的な排水対策で単収300kgを目指す!

大豆の収量が300kg/10a、品質がAクラス(1等・2等)を目指すプロジェクト「大豆300A」に取り組む、富山県富山市の担い手農家、前田 仁一さん。水田輪換畑で大豆の収量・品質を向上させていくためには排水対策が必須と、額縁明きょ・カットドレーンによる補助暗きょを施工しています。施工の様子と、期待される効果についてご紹介します。

 


 

田面の排水機能向上を目的に、額縁明きょを施工し表面排水を促す

  「出芽を良好にするため、また、雑草を生やさないためにも、とにかく排水対策は大豆づくりにおいて最も重要です」と、話される前田さんは、体系的な排水対策を行っています。
 まず、田面の排水性を向上させるため取り組むのが、明きょ施工による地表排水です。大きな降雨があった場合、地表からの排水を進めないと、長時間に渡り田面に水が溜まって、湿害や適期作業の遅れにつながることから、地表排水技術は欠かせません。そこで前田さんは、「排水口から明きょを施工し、あぜに沿って額縁状に切って四隅を接続し、排水口につなげることで、湛水した水を確実に排出しています」。

 前田さんは、スガノ農機のリバーシブルタイプの溝掘機を使用し、明きょを施工しています。「粘土質の圃場が多く、また、大きな石などが出てくることがあります。そのような圃場でも、ダブルコールタータイプの溝掘機は、きれいな溝が掘れます。また、スクリュー・ロータータイプの溝掘機に比べ作業速度が速く、作業性が良いですね」と、話される前田さん。「全ての圃場で排水対策を行うため、作業効率が良い機械の導入は、大面積をこなす私にとって重要です」。
動画はこちらから

カットドレーンで補助暗きょを施工し、地下排水を改善

 「圃場は本暗きょが入っているのですが、本暗きょが施工されてから40 年経過しています。出口を見ると水は出ていますが、実際は半分くらいの効きだと思っています。ですから本暗きょが入っているから、排水性が良いという考えではなく、ない圃場と同じ意識で排水対策を行っています」と、話される前田さん。
 今回の実証圃では排水性をさらに高めるために、補助暗きょとしてカットドレーンを施工しました。カットドレーンは、2本の刃で土層をブロック状に切断し、耕盤を破砕。土を動かすことで約70 ㎝までの任意の深さに12 ㎝四方の大きな孔を開け、その孔に切断層を通って流れる水を排出できることが大きな特長です。

画像を拡大

 施工の仕方ですがまず、排水路側に排水口を深く掘ります。そこから放射状に60cm の深さで2 本施工します。本暗きょが無い場合や、本暗きょの排水機能が低下している場合、これが本暗きょの役割を果たします。次に30m 間隔で横に3 本、40cm の深さの補助暗きょを施工しました。本暗きょや放射状に施工した暗きょに交差するようにすることで、暗きょから水が速やかに排出できるようにしています。
 「カットドレーンは、作った孔が大きく元に戻りにくいというメリットがあるので、補助暗きょとして、1 年間その役割を充分果たしてくれると思います」と、前田さんは効果を期待しています。
動画はこちらから

雑草防除においても排水対策は重要

 雑草防除は除草剤と機械除草だけでは困難で、排水対策と栽培方法があってはじめて雑草を抑えることができます。「排水対策がなぜ必要なのかと言えば、雑草の問題もあります。水田輪換畑ですので、水があって湿っている箇所に雑草が出やすく、すぐに大きくなって、大豆の生育を抑えます。乾いた圃場では出にくいので、排水対策はやはり欠かせません」。
 また、雑草対策に力を入れている前田さんは、耕起播種前に除草剤散布を行う予定です。「播種前までに生えた雑草は、ハイクリブームでラウンドアップ MR を散布することで、雑草がかなり抑制されます。1ヵ月前に散布すると、新たな雑草が出てくるので、田植えの兼ね合いを見て、播種する前の天気が良い日に散布して、除草効果が上がるようにしたいですね」。と、品質・収量低下につながる雑草を徹底的に抑える計画です。


単収300㎏を目標にチャレンジ!

 「とにかく大豆は収量を上げないと、収益につながりません。頑張ったら頑張っただけ、収益が上がるので、そういう意味では面白いと思います。ぜひ、単収300 ㎏を目標にチャレンジしたいです」。

使用インプルメント

表面排水
溝掘機(明きょ)
スガノ農機(株)

●圃場の四周に溝を掘る「額縁明きょ」を施工し、圃場表面の水を溝へ集め、排水を促します。
■主要諸元
型式: PRD250G
適応トラクタ: 60 ~ 100PS
寸法: 全長2460× 全幅1500× 全高1600 ㎜
作業深さ : 250 ㎜
作業幅 : 地表250・溝底180 ㎜
作業速 : 4 ~ 6km/h

地下排水
カットドレーン(通水空洞暗きょ排水)
(株)北海コーキ

●圃場の土をブロック状に切断して動かすことで、約70 ㎝までの任意の深さに四角形の空洞を成形します。
■主要諸元
型式: KCDS-01
適応トラクタ: 60 ~ 120PS
寸法: 全長1600× 全幅1190× 全高1624 ㎜
作業深さ : 400 ~ 700 ㎜
作業速 : 2 ~ 4km/h

排水対策にはパワクロ!
●排水条件の悪い圃場でのカットドレーンや溝堀機などの施工には、けん引力が大きく、走行安定性に優れたパワクロが適しています。
●湿田や水分が比較的多い圃場でも、沈みこまずに作業でき、計画的な作業が可能です。
●凹凸の圃場での機体の上下動が少ないので、補助暗きょや排水溝 は深さを一定に保持しながら、真っ直ぐで安定した精度の良い施工が可能です。

大豆300Aレポート バックナンバー
#01 【大豆300Aレポート】連載開始!
#03 【大豆300AレポートNo.1(後編)】排水性を大きく向上させる「地表排水」と「地下排水」
#04 【大豆300AレポートNo.2(前編)】継続した土づくりで、地力改善!

この記事をシェア