手作業が多く、作業者の負担が大きい果樹栽培。中でも負担の大きい防除作業を省力化することができる方法の一つが、作業道の整備や、SS(スピードスプレーヤ)の導入です。今回は温州みかんの一大産地として知られ、いち早く園地整備と機械化に取組まれた玉東町の生産者の皆さまにお話を伺いました。前編では、松田 一良さん、祐季さん親子のインタビューをご紹介します。
(この記事は、平成28年6月発行のクボタの営農情報誌『U(ユー)元氣農業 No.33』を元に構成しています)
時間的にも身体的にも、とても楽に
栽培面積の拡大にも繋がりました
改植のタイミングで園地を整備してSSを導入
園地整備によって作業が楽になることは以前から知っていたので、改植のタイミングで整備しようと考えていました。しかし、みかんの木が植わっている所を作業道にするわけですから、なかなか踏みきれなかった。収量も少し減りますしね。思い切って整備し、SS体系にしたのは平成3年の改植時。それから毎年進めていき、今では園地の80%ぐらいがSSで回れます。
適期防除と効率化が実現夏場の作業も快適に
SS導入以前、みかんの防除は手散布。4haを3人で夜明けと同時にはじめて3、4日かかりました。今はSSでは回れるところが2人で1日、プラス、手散布のところを半日。作業時間は半分以下になりました。手散布だと、梅雨時など予定通りに終えられないこともありましたが、SSだと効率良くできて適期を逃さないです。夏場は暑さが身体にこたえるので、以前は休み休みやっていたんですが、キャビン機を導入して からすごく楽になりました。
SS体系を確立して栽培面積を拡大
整備ができている園地は、機械が活用できるので防除以外の作業もとても楽。乗用草刈機も肥料散布機も入りやすい。収穫時も運搬車がすっと入れるので、作業がとてもはかどります。成育状況の観察も車でサッと行けますしね。園地整備と機械化で作業能率がよくなったので、栽培面積の拡大に取り組むことができたんです。平成10年、近隣の園地を2ha程譲っていただき、そちらもSS体系で整備しています。
美味しいみかんを家族経営でつくっていく
私は、良い木をつくれば、良いみかんができる、良い果物ができるという考え方で栽培に取り組んでいます。良質な有機物が入った肥料等、木が欲しがるものを十分に与えるんです。美味しいみかんができますし、木が丈夫になり、寒波等にも耐えてくれます。
今後も、この体系で管理がしやすいこれぐらいの規模を維持して、家族経営で行きたいと考えています。園地整備ができていたから、息子も継いでくれましたし、家族で、みんなでがんばろうってやると、やる気と仕事の質がやっぱり違うと思います。