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鍵を握ったのは活力のある根

日照不足の悪条件に負けず実収8.35俵を確保!
鍵を握ったのは活力のある根

  • 栃木県さくら市富野岡 / 秋元 利彦さま
  • 水稲16ha(コシヒカリ4ha・なすひかり5ha・あさひの夢2ha
    WCS+新規需要米5ha) 全面積鉄コーティング直播
  • 収穫
  • 栃木県
  • 秋元利彦さま
  • 2014/09/29

4月25日に播種をしてから、146日後の9月18日に成熟期を迎えた秋元さまの圃場。収穫適期のこの日、天候に恵まれ、絶好の収穫日和となりました。8月中旬以降、曇りや雨の日が続き、関東地方の8月下旬の日照時間は平年と比べ50~70%と少なく、出穂期以降の日照不足に悩まされましたが、根づくりをポイントにした栽培管理で、実収501kg/10a、8.35俵を確保。満足のいく成果を収めることができました。

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活力のある根づくりが、収量確保につながった

出穂始期を迎えた8月5日より収穫までの約1ヶ月半、特別な管理はしませんでした。ヒメトビウンカや、カメムシなどの害虫の被害もありませんでしたので、防除もしませんでした。水管理は水を溜めないようにし、3~4日に1回程度、走り水を行うぐらいで、干し気味の水管理にして、最後まで根に酸素を与えることを意識し、管理しましたね。お盆に穂が出揃ってきましたが、それ以降天候不順で日照時間が少なく、実の入り具合を心配しましたが、無事に収穫時期を迎えることができました。

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この辺りで移植栽培をされている方の声を聞きますと、平均収量は7俵台で8俵を下回っている方が多いですね。昨年と比べて、1俵~1.5俵ぐらい少ないと言われています。理由はお盆明けから続いた日照不足ですね。登熟を迎える時期に日照時間が足らず登熟不良になり、それが収量の低下につながったのではと思います。屑米も多いようですよ。

それでも、鉄コーティング直播より10日ぐらい早く出穂期を迎えた移植は、鉄コーティング直播より登熟期の日照時間が長かったはずです。鉄コーティング直播は、天候不順になってから登熟期を迎えたので、移植よりも条件的に不利でした。にもかかわらず、なぜ収量を確保できたのかと言うと、やはり根を大事にした稲作りですね。根量が多く活力のある根が登熟に大きく影響を与えたと思っています。干し気味の水管理を徹底し、根に充分酸素や養分を与えることで、最後まで栄養を送り続け成長を止めないようにしたことが、急な気象変動で悪条件になったのにも関わらず、良い成績につながったのだと思います。

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来年は播種量を抑え、さらに理想的な稲に育てたい

今年1年を振り返ってみて、思い描いていた以上に理想的な稲になったと手応えを感じています。特に条件が悪くなった生育後半においては、鉄コーティング直播の実力を確認する意味で、非常に良い年になりましたね。とにかく生育初期の稲づくりが最大のポイントです。2.5葉期まで干し気味の水管理を行い、酸素をたっぷり与えながら、根を張らせて稲をつくること。そして、活力のある根づくり。あとは移植と同じ管理をしていますから、そこだけです。

来年の課題としては、いかに無効分げつを減らすかということですね。今年は最高分げつ期を迎えたときに、分げつが旺盛で過繁茂になりやすかったため、来年は無効分げつを抑える目的で播種量をこれまでの10a当たり3.0kg以下から2.5㎏にしたいと思います。1株当たりの粒数で言うと、6~8粒を4~6粒にして、一つの茎の充実を図るようにします。1株でもがっしりして充実した茎が取れますし、今年、出芽率が8割以上と高かったですから、播種量を抑えても収量は変わらないと思っています。

来年の準備として、来月秋起こしをする予定で、冬には今年初めて米ぬかを散布する計画を立てています。実際に野菜づくりで利用している方に聞くと、「甘味が出ておいしい」と言うことですし、有機質ですから根の生育にも非常に良い効果が得られるのではと期待しています。

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取組み5年目の来年は、請負いを含む22haを鉄コーティング直播に

私はこの近辺の農家の方8軒から、田植え作業を頼まれています。今年は、わずか2軒だけ移植を希望されましたが、その2軒の方が移植と変わらない生育ぶりを見て、来年からは鉄コーティング直播でして欲しいということになりました。これでもう育苗ハウスはお役御免です。請負いを含めて、全て鉄コーティング直播になるわけですが、面積で言うと自作地を含め、22haにもなります。22haを息子と2人で播種することになりますが、移植と比べると半分の時間で作業が済むわけですから、同じ面積でもずいぶん違います。大変な仕事ではないですよね。

来年は生産者仲間がもっと増えると思いますよ。今年、試験的にやっている仲間の圃場を見ていますが、皆さん結果が良いようです。来年はもっとやってみようと言うので、年々仲間は増えていくでしょうね。過去4年間取り組んできて改めて思うのは、いつか日本の農業は直播が主流になるだろうと。ここまで手応えを感じてくると、きっと定着し始めるのではないかと思います。移植から鉄コーティング直播へ。そういう流れが今、出来てきているのではと思います。

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省力・低コストが図れる鉄コーティング直播は経営的に大きな魅力を
感じています

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去年まで請負いなどで移植も結構面積があったのですが、今年は鉄コーティング直播をメインに取り組みました。メリットとして一番魅力的だと感じたのは、省力化ですね。播種から稲刈りまで、全体の作業がラクになりました。なかでも特にラクだと感じたのは、播種ですね。今までは田植えに補助者を含めて、10人ほど人手が掛かっていましたが、今年の鉄コーティング直播では同じ面積をするのにたった2人だけで作業できましたからね。しかも、2人でも作業スピードは10人がかりでの移植の約1.5倍と速いです。鉄コーティング直播の方が、作業人数が少なくてすむばかりか、早く終えることができるのですから、これは良いなと実感しましたね。

また、人件費に関しても、相当変わってくると思います。10a分では、田植えとは数千円単位で違うと思いますし、1haだと万単位になりますから、面積が大きければ大きいほどコストが削減できます。今後、米の価格の落ち込みが見込まれる中で、いかに利益を出すかが課題だと思っています。すぐに着手できることとして、収量を上げるか、コストを下げるか、この2点だと思うのですが、天候によって収穫高は左右されますので、毎年安定して収量を確保するのは難しい。ただ、コストに関しては、毎年決まって下げることができるので、鉄コーティング直播に取り組むことで、利益を上げていきたいと思います。

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鉄コーティング直播に取り組むと、移植にはもう戻れない!

4年前に就農したタイミングで、鉄コーティング直播に取組みはじめたのですが、もう移植には戻りたくないですね。一緒に取り組んでいる後輩の生産者仲間とも話しているのですが、苗づくりや苗運びなどの重労働がないので、僕たちの時代は100%鉄コーティング直播でいこうと言っています。もはや鉄コーティングは、今の自分にとってなくなっては困るものですね。今後の農業を担う技術だと思っています。

こうしたらもっと良い成果に結びつくのではないかという、栽培においての課題はあると思いますが、毎年段階を踏みながら課題をクリアして、自分のものにして取り組んでいければよいと思っています。そして、次の若い世代には、鉄コーティング直播が当たり前になるように、若い仲間と共に鉄コーティング直播に取り組んでいきたいと思います。

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根を大事にする稲づくりで気象変動を乗り切った!
倒伏もなく理想的な稲姿 

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鉄コーティング直播は移植より5日から1週間、出穂期が遅れます。この鉄コーティング直播の圃場では8月7日に出穂期を迎えました。本来であれば、出穂してから約35日後に収穫できるのですが、今年は42日掛かりました。これは8月20日以降、天候不順で日照時間が少なかったために、でんぷん合成に時間が掛かり、その結果、成熟期が遅れた特異な年と考えてよいと思います。

今回で最後の生育調査を行いましたが、稈長が87㎝でした。コシヒカリで稈丈を90㎝以下に抑えることは、技術的に難しいのですが、秋元さまの圃場を見ると全く倒伏していません。これは秋元流の技術、干し気味の水管理にすることで生育制御をして草丈の伸長を抑え、倒伏を防止するという狙いが効果として表れた結果だと思います。

また肝心の収量ですが、収量を決める一番の要素は、一株にどれほどの穂数があるかということです。秋元さまの圃場では、1株当たり21.3本、㎡当たりで350本、確保できました。350本というと目標9俵の穂数としては少し少なかったという気がしますが、1穂で約80粒取れていますので、㎡当たりの籾数で言うとほぼ目標の28,000粒を確保されたと思います。今年は出穂期以降、日照不足で籾数を多く取ると逆に屑米が多くなりましたが、秋元さまは穂数を抑えられたことで、屑米が少なく、収量低下を最大限に抑えることが出来ました。


収量・品質向上のために成熟期まで稲を活かす

葉緑素計で葉緑素量を計測したところ、SPAD値が23.5ありました。葉色は出穂期から一気に落ちるということが一般的なパターンですが、この時期にこれだけ高い数値を示すということは、高い栄養状態を収穫までの40日間保ちながらデンプン合成を行っていたということです。移植の葉緑素量も計測しましたが、SPAD値は14で、鉄コーティング直播は移植より10ポイント高いことが分かりました。このことからも、根が活きている状態で成熟期を迎えたということが分かります。

また、鉄コーティング直播の根を引き抜いてみると、びっしり生えた白い根に土がたくさん付着していました。このことからも分かるように、土中深く入った根が最後まで養分や水を吸い、栄養を穂に移行していたことが言えます。これは秋元流の管理、水よりも酸素を与えるという、根を大事にする稲づくりの効果で8月20日以降、気象が急転し日照不足になったということにも関わらず、収量・品質とも確保できた、大きな要因だと思っています。直播栽培でも、いかなる気象変動でも高品質・安定収量確保には、適正籾数と根づくりが大きなポイントです。

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