11月17日に、熊本市の(農)すぎかみ農場のほ場において、アグリロボコンバインWRH1200A2による大豆の収穫作業が行われました。当日は、スマート農業に関心が高い生産者や関係機関の皆様を対象に熊本県とクボタが共同で実演会を開催。WRH1200A2の最新機能である、らく直や直進キープ機能を紹介し、収穫ロス軽減や作業効率アップを図る大豆収穫作業を提案しました。今回は実演会でのWRH1200A2による大豆収穫作業の様子と関係者の声をレポートします。
お客様の声
WRH1200A2は大規模経営に有効だと感じます
WRH1200A2の直進アシスト機能を活用した大豆収穫はオペレータの負担を軽減します
すぎかみ農場が保有している普通型コンバインのうち、クボタ独自の脱穀機構ミラクルバースレッシャーが搭載されているクボタ普通型コンバインは雑草などを取り込んでも粒の汚れが少ないので、雑草が多いほ場にはWRH1200で大豆の収穫を行っています。
今回WRH1200A2の実演機で、大豆の収穫作業を行いました。大豆を収穫するほ場が約183haある中、天気が良い時にいかに効率よく収穫作業が進められるかが日々の課題です。WRH1200A2はWRH1200の脱こく選別性能を兼ね備え、なおかつ直進は自動で走行してくれます。オペレータは刈り高さに集中でき、負担軽減に繋がるので大規模経営に有効だと感じました。
まっすぐに播種することで、その後の中間管理が楽になりました
今年、全国農業システム化研究会の実証調査に参画しており、試験区において大豆播種時にはアグリロボトラクタMR1000Aとグレーンドリルにて播種を行いました。精密なRTK-VRS方式で補正された自動運転機能のおかげでまっすぐな播種が行えたことで、中耕培土が楽に行え、また、収穫もまっすぐ行えるためロスが少なく済むことがメリットだと感じました。
グレーンドリルで播種をしたほ場は水分が多い時期にロータリ耕うんを行ったため、排水性が低下したことや播種後すぐの降雨などが重なり、期待していた収量には届きませんでした。しかしながら、グレーンドリルは播種速度が早く作業能率が上がるとともに、さらに1台で稲、麦、大豆を播種できるので、経営にとって欠かせない播種機です。大豆栽培において、グレーンドリル体系の試験を重ね技術を極めていくことが現在の目標です。
WRH1200A2は経験が浅い私でも、
熟練者との差を埋めてくれるコンバインです
すぎかみ農場に就農して8ヶ月目で、大豆の収穫のため普通型コンバインに乗るのは今日で3回目です。大豆の収穫は、雑草を巻き込まないように見極めながら収穫を行うので気を使います。今日は初めてアグリロボコンバインWRH1200A2を試乗しましたが、直進を自動で行ってくれるので、刈取部の上げ下げに集中することができ、とても楽でした。経験が浅い人間と熟練者とでは収穫した刈跡が全然違いますが、その差も埋めてくれると感じます。また、この時期は暗くなってからも作業を行う場合があるので、直進アシスト機能があれば、暗くてほ場が見えにくい状況でも収穫が楽に行えて負担軽減にも繋がります。
妻の実家が農業をしており、将来的には私が引き継ぐ予定です。経験を積むためにすぎかみ農場に就農しました。ここは経営規模が大きく、作業も多岐にわたっているので経験も多く積め色々なことにチャレンジをしながら農業を学ぶことができます。肥料の高騰や高齢化で農業を辞められる方が多く大変なこともありますが、それをチャンスに変えて今後も農業を行っていきたいです。
クボタ技術顧問による解説
高速播種ためのほ場づくりの重要性と、
WRH1200A2による収穫作業について
土壌と天候をみながら適切な播種床作りを行うことで高速播種が実現できます
麦跡に大豆の高速播種を行う場合、麦収穫直後にショートディスクをかけて麦稈を潰し一度乾かした後、スタブルカルチ、バーチカルハローという工程が理想です。このような作業工程が可能であれば、麦跡であってもグレーンドリルによる高速播種作業がさらに安定すると考えます。
すぎかみ農場様は粘質なほ場が多いため、今回の実証では適切な播種床作りに課題が残りました。排水性の良いほ場であれば、ショートディスクで麦の切り株を処理し、スタブルカルチとバーチカルハローで播種床作りを行います。しかしながら、水分が高い粘質な土壌ではスタブルカルチをかけたあとの土塊が大きく、バーチカルハローをかけても砕土が上手くいきません。
WRH1200A2の高い選別性能とアシスト機能によって
収穫作業の効率をアップさせます
大豆の収穫では、刈り高さの調整が重要になります。オペレータは、莢は残したくないが、土は掻き込みたくないため、常に刈高さの調整に苦心しています。土が脱こく部に混入してしまうと、内部の清掃のため収穫作業を止めてしまいます。1日中、コンバイン運転し、刈残しをしないために集中して作業を行うと、非常に疲労が蓄積されます。今回、実演会で使用したWRH1200A2はWRH1200に自動運転システムを装備した普通型のアグリロボコンバインで、大豆については、直進キープ機能と、らく直キープ機能が使用できるようになりました。条だけ合わせれば、直進はコンバインに任せて刈高さに集中することができるため、作業精度も上がり疲労度も軽減されます。
WRH1200A2は脱穀・選別精度が非常に高いことが特長です。ミラクルバースレッシャー機構により脱こく空間が非常に広いため、少しくらい雑草が入ってきても大豆を汚すこと無く脱こくし、また、スピードを出して詰まったり、選別が悪くなることはほとんどありません。さらに、らく直や直進キープ機能を活用していただくことで、一層、作業効率を高めた収穫作業を可能にします。