梅雨時期の大面積播種を可能にする高速機械化体系 GSトラクタ+高速汎用播種機で、 大豆栽培の省力・低コスト、安定生産を目指す お気に入りに追加
令和3年度全国農業システム化研究会の現地実証調査
お気に入りに追加

ソリューションレポート

福岡県|

大豆|

梅雨時期の大面積播種を可能にする高速機械化体系 GSトラクタ+高速汎用播種機で、 大豆栽培の省力・低コスト、安定生産を目指す

梅雨時期の大面積播種を可能にする高速機械化体系 GSトラクタ+高速汎用播種機で、 大豆栽培の省力・低コスト、安定生産を目指す

福岡農林事務所北筑前普及指導センターは、令和3年度全国農業システム化研究会の現地実証調査として、クボタグループと連携し、大豆栽培の省力・低コスト、安定生産を目指す、「麦わらすき込みほ場における高速機械化体系の実証」に取り組んでいます。

 


 

 2021年7月7日、同センターは実証調査の一環として、福津市にあるアソウファームの実証ほ場で、直進アシスト機能付トラクタ(以下GSトラクタ)を使用して大豆の播種作業を実施。
 今回の実証では、①GSトラクタ+4条の高速汎用播種機による不耕起播種、②GSトラクタ+6条の高速汎用播種機による狭畦不耕起播種の2種類の実証区を設けて、慣行区とともに作業時間、播種精度等を調査しました。

 当日は、北筑前普及指導センターの挨拶の後、播種機メーカーのアグリテクノサーチ㈱が高速汎用播種機の機能を説明。続いて、クボタアグリサービス㈱がGSトラクタのメリットを紹介し、その後、各区ごとに播種作業が行われました。ほ場には、近隣農家も数多く集まり、高速汎用播種機での作業を熱心に見学。梅雨時期の播種作業の効率化を図ることができる技術として、関心の高さを示しました。

画像を拡大

実証担当者の声
高速汎用播種機の導入による、
降雨後、速やかに大豆を播種できる機械化体系を実証

画像を拡大

播種適期の降雨で、収量減につながる大豆
 管内の大豆栽培の作付面積は、約250haで、大規模農家の方が7~8名おられますが、近年、担い手への農地の集約化が進み、1経営体あたりの大豆の作付面積が拡大しています。大豆は適期播種が重要ですが、播種適期に降雨があると大幅に播種が遅れ、収量減につながります。そこで、収益性の高い農業経営を実践するため、大豆の高速かつ効率的な機械化体系の導入により、省力・低コスト、安定生産を目指して実証調査を行っています。

4条の高速汎用播種機に加えて、6条の狭畦播種を実証
 実証区1は、4条の高速汎用播種機による不耕起を、実証区2では、6条の高速汎用播種機による狭畦不耕起播種を実証します。実証農場のアソウファーム様は、大豆の作付面積が23haと規模が大きく、中耕・培土などの管理作業が間に合わないという課題を抱えています。そこで、中耕・培土を省略する狭畦密植栽培も試験を行うことにしました。ただ7月7日播きとしての狭畦播種はリスクを伴い、伸びすぎてしまうと、倒伏する可能性もありますので、途中で摘心を行うことを前提で実証区を設置しています。

オペレータの負担軽減につながるGSトラクタ
 GSトラクタは、直進時に気を遣わなくてよく、大規模農家が長時間作業を行う際、オペレータの負担が軽くなり、疲労が少なくなると思います。また従業員に作業を任せる時には、不慣れな方でも直進アシスト機能があると真っ直ぐに播種できます。条が曲がっていると、両側に均等に土入れができないこともありますので、中耕・培土等の中間管理にも良い影響が出ると思います。

規模拡大が予想される大規模農家に技術支援を
 今後、農家の高齢化が進んでリタイアされる方も増え、益々、大規模農家の経営規模が拡大していくと予想されます。そのため、作業の省力化は不可欠です。そういう意味でも、今回実証しているGSトラクタを使った高速汎用播種機等の技術は、きっと参考になります。大規模農家が安定した経営ができるように、技術支援を行っていきたいと思います。

画像を拡大

■試験区の概要

画像を拡大

画像を拡大

実証経営者の声
大豆の収量向上、経営改善に期待する高速汎用播種機の実証

画像を拡大

逆転の発想で同時作業を分散し播種作業の効率化を模索
 大豆栽培のいちばんの課題は、収量が上らない事です。麦後の大豆は、どうしても連作障害が出るので、大豆の前に鶏糞ペレットとか有機物を施用するなど、色々な方法で改善を試みています。
 作業面では、今まで、作業の効率化を図るために、播種、除草剤散布、施肥の3つを一工程の作業を同時に行う体系に取り組んできました。ただ、除草剤は10a当たり100ℓ散布という設定基準があるので、そこに合わせると車速が、どうしても2.3 ~2.4km/hくらいでセーブされ、結局、日数がかかってしまいます。
 そこで、今年から、逆転の発想で、本来なら一工程でした方が効率が良い作業を、逆にばらばらにして、要は、播種作業に特化させて、1日で播く量をとにかく増やしてやろうと、そこを改善してみました。播種だけにすると、トラクタが止まる時間が少ないんですよ。速度も3km/hくらいまで上げて走れるようになった。それを考えると、半日で1ha、うちは、普通2台で播きますので、1日で4haも不可能じゃないなと実感しています。

経営改善につながる技術を実証から吸収
 今回の実証で、高速汎用播種機という、さらに短時間で大面積をこなせる機械を提案してもらって、こういうやり方もあるんだなって、感心して見ていました。良いところは取り込んでいきたいと思っています。それと、大豆は大豆の播種機、麦は麦の播種機というカタチで、2つの機械を持っていると、どうしても機械費がかかります。今回の播種機は、大豆にも、麦にも使える汎用タイプですので、単に大豆の多条播きというだけじゃなく、機械の汎用利用という面で、経費の軽減につながるメリットもありますね。
 GSトラクタは、すでに個人的に導入していますが、従業員は1日中トラクタに乗りますから、広いほ場に入り込むと、精神的に楽になると思うんですよね。自動操舵で直進している間は、手放しでひょっとするとスマホでも見てるかもしれないですね(笑)。従業員を雇用する形態を取っていますから、GSトラクタのような軽労化につながる機械を使いながら、みんなが楽をすることも考えていこうと思っています。

画像を拡大

クボタからのご提案
直進アシスト(GS)機能付トラクタ+高速汎用播種機で、
高速・高精度播種を実現

画像を拡大

 慣行の播種作業では、ロータリ耕うんとの同時播種なので、時速は2km/h程度まで落ちてしまいます。高速汎用播種機は、事前にロータリ耕うんを行い、8km/hの高速で、不耕起播種が可能です。効率が3倍から4倍違います。また、この播種機は、大豆では出芽後の株間のばらつきが従来機よりも小さく播種精度が高いことが実証されています。さらに、GSトラクタを組み合わせれば、ラクに真っすぐな作業が行える上、長時間作業での疲労を軽減できます。

GS機能がもたらす3つのメリット
❶疲労軽減 直進作業や長時間作業でのストレス軽減
❷作業効率の向上 作業機や作業状態を確認する余裕ができる
❸人手不足の解消 不慣れな方でも簡単に作業できる

画像を拡大

クボタの解説
作付面積の拡大で避けては通れない播種作業の高速化
高速播種機に対応したほ場づくりが課題

画像を拡大

 福岡県は全国でも単収の高い地域で、10年前くらいまでは県の平均単収が200kg/10aを超える年もありましたが、最近は単収の低下が目立つようになっています。今回、実証調査を実施いただいているアソウファーム様でも最大の課題は「いかにして単収を前のレベル(300kg/10a以上)に戻すか」ですが、地域から頼りにされておられ、年々、大豆の作付面積は増えているそうです。単収を以前のレベルまでに戻すためには、大豆の力を最大に発揮させるための土づくりが最も重要ですが、播種時期が梅雨と重なる地域ですので、まずは適期の播種と良好な苗立ちの確保が重要となります。
 アソウファーム様では、昨年まで、一連の播種作業(施肥、播種、土壌処理剤散布)を一工程で実施し、作業の省力化、効率化を図っておられましたが、各作業を分業できる労力を確保することで、必要な労力、合計の作業時間が増えても1日に播種できる面積を増やすことが可能となりました。さらに、今回、使用した高速汎用播種機は従来の播種機よりも高速で精度よく点播が可能です。この高速汎用播種機を導入すれば、1日に播種できる面積を大幅に増やすことができます。年々託される農地が増える中で、播種作業の高速化は避けて通れません。ただし、速度優先で出芽が悪く、苗立ちが不揃いとなるのでは本末転倒です。高速播種機を使いこなすには、播種機が安定して走行できる状態にほ場を仕上げることが1番の課題となるでしょう。また、増え続ける作付面積に播種作業が対応できても、後の中間管理作業が追い付かなければ単収をもとの水準までに戻すことは難しくなります。現有機の1日当り作業可能面積、作業可能日数などからどれだけ大豆を作付けできるのか事前に把握しておくことも大切です。

画像を拡大

スマート農業実証プロジェクト 現地レポート!(PDF)のダウンロードはこちら


▶GSトラクタサイトはこちら
▶お問い合わせはお近くのクボタのお店まで

この記事をシェア

よく一緒にみられている情報