水田転換畑での大豆栽培の収量・品質の向上のため、小畝立て播種技術と深層施肥技術を組み合わせた「小畝立て深層施肥播種技術」を導入し、また中間管理に中耕ディスク式培土機を用いて培土作業・除草剤散布作業の効率化が図れた実証事例をご紹介します。
調査のねらい
酒田市の大豆は、水田転換畑が多く①連作による地力低下、②作業の遅れや連作による雑草害、③湿害による生育不良等で収量、品質が低迷し、大豆生産者の所得向上には、収量・品質の向上が喫緊の課題となっている。
本実証調査では、小畝立て深層施肥技術導入による収量・品質の向上を目的とし、肥料の違いによる生育への影響を検証する。また中耕ディスク型培土機及び除草剤の畦間・株間散布技術を導入し効果的な除草体系の検証を行う。
結果の概要および考察
1.小畝立て深層施肥播種機の圃場作業量は45.1a/hrであった。播種量は目標5.1kg/10aに対し、実証区および慣行区の目標比約85%となり設定どおりの裁植密度を確保できなかった。
また施肥量はアグリフラッシュで目標比89%、尿素で87%、石灰窒素で96%となり設定に比べ、やや少ない施肥量であり目盛りの調整が必要であった。
2.実証区の中耕培土は1回目をディスク式、2回目をローター式で作業を行った。デイスク式の中耕培土機による圃場作業量は48a/haで、大豆に損傷なく作業を行えた。畝間・株間への除草剤散布は大豆への飛散が少なく、後発雑草へ茎葉散布が可能であった。中耕培土と除草剤散布が同時に行え、慣行に比較し、作業時間の短縮が図られた。
3.7月2日の生育調査では、実証1(尿素)、2(石灰窒素)は慣行に比較し、草丈、主茎長が長く、地上部・地下部乾物重が多かった。7月29日、8月27日の生育調査では、実証1、2と慣行を比較すると実証1、2がいずれの項目でも優った。また実証1と2では、地上部乾物重が実証1で多かったが、他はほぼ同じ傾向であった。
4.㎡当たり莢数は慣行に比較し、実証1、2で多く、百粒重も大きく、子実重は慣行の約160%となった。実証1と2の子実重は同等であった。品質はマメシンクイガによる被害、また病害の発生も少なく良好であった。
5.実証技術を導入することで、農薬費や減価償却費等生産費が慣行区より増加するが、生産物の収量向上による販売価格の増加で収益慣行より多くなった。
今後の課題・展望
1.除草剤、機械除草、中耕培土等雑草防除技術の組み合わせによる効率的な除草体系の効果確認。
2.小畝立て深層施肥播種機を利用した大豆栽培は連作ほ場での増収効果が高く、今後の一般販売に伴い、トラクターで平畝栽培を行っている農家が取り組みやすい技術で普及性は高いと思われる。
3.ディスク式中耕培土機の導入により効率的な培土作業が図られ、同時に除草剤散布も可能なことから、作業の省力化、雑草防除としての効果が期待され、今後も普及が見込まれる。
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http://www.jeinou.com/2014/09/post_17.html
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