スマート農業の普及推進を検討する場として「スマート農業全国フォーラム」が埼玉県で、令和元年10月21日、一般社団法人全国農業改良普及支援協会の主催により大々的に開催されました。当日は農林水産省をはじめ、全国から普及指導員 や研究・行政機関の担当者、市町村・JA関係者の他、生産者や関連メーカーなど、230名を超える関係者が参集しました。
【 耳より情報 】
❶ スマート農業の普及を期待させる、クボタ最新鋭のスマート農機の実演・展示❷ 農林水産省をはじめ、現場でスマート農業を推進する関係者が、スマート農業技術を導入した事例や取組み、今後の展開方向について講演
❸ 今年からスタートした「スマート農業技術の開発・実証プロジェクト」及び「 スマート農業加速化プロジェクト」によって、スマート農業の普及に弾みを
クボタ最新鋭のスマート農機に熱視線!
3回目となる今回のフォーラム。開会にあたり、主催者の全国農業改良普及支援協会の岩元明久会長と、農業技術革新工学研究センターの藤村博志所長が挨拶を行いました。
フォーラムは2部構成で行われ、鴻巣市の農業技術革新工学研究センターの附属農場では、クボタ最新鋭のスマート農機の実演、展示見学を実施しました。実演後には展示見学が行われ、特に注目を浴びていたのが、急速に普及する「農業用ドローン」と、「ラジコン草刈機」。ラインアップが拡充した「アグリロボトラクタ」にも多くの人が集まっていました。参加者はカメラで写真や動画を撮影し、熱心に情報収集を行うなど、スマート農機に対する関心の高さが伺えました。
令和元年は、スマート農業元年
2019年からスタートした「スマート農業実証プロジェクト」は、全国で69件のプロジェクトが進行中であり、今回、予定人数を大幅に超える参加者を得たことからも、皆さまの実施状況に対する関心の高さをひしひしと感じているところです。
「スマート農業」という言葉は、進展が著しいハイテクノロジー、そのようなものを総称する言葉だと捉えています。その「スマート農業」が、農業の現場にこれからどう定着していくのかということになると、それぞれ直面している課題に対して、ハイテクとローテクとを融合させていきながら解決を図っていくことに掛かっているのではないかと考えています。
そのためには、関係者の皆さま方が先導して取組むことが、大いに期待されているのではないかと感じています。今回のフォーラムで皆さま方の交流を深めていただき、農業・農村のスマート農業を実現する一つの契機になればと切望しています。
現場で真に役立つ、スマート農業技術の確立が課題
「スマート農業実証プロジェクト」がスタートしましたが、課題も出てきていることから、これから皆さま方とどう連携しながら対応していくかが、大きな課題となってくると思います。
もちろん技術そのものは、本日お集りの方々、研究機関などが一体となり対応していきますが、一方で基盤整備の問題やメーカーごとにデータがバラバラに存在していることに対して、どう一つにまとめていくかなど環境整備の問題もあります。そういったこともしっかり見直しながら、本当に現場で役立つスマート農業技術を確立していくことで、これからの農業をしっかり支えるものにしていきたいと思いますし、バックアップしたいと考えています。
スマート農業技術は、まだまだ赤ん坊のようだと思うこともありますが、ここにいらっしゃる皆さま方と一緒になって育てていくという気持ちで、これからも皆さまと協力して取り組んでいきたいと考えています。
「スマート農業実証プロジェクト」の取組み状況を交えながら、
今後のスマート農業の普及推進を検討
第2部では会場を、むさしの村さくらホールに移して、検討フォーラムを実施。台風19号による農業被害への対応のため欠席した農林水産省 大臣官房生産審議官の鈴木 良典氏に代わり、農林水産省 生産局技術普及課の今野課長が来賓挨拶を行いました。その後、現在進行中の「スマート農業実証プロジェクト」での取組み状況を交えながら、4つの講演が行われました。
(講演1)スマート農業の実現に向けた取組みと今後の展開方向
農林水産省 生産局技術普及課 課長 今野 聡氏
(講演2)スマート農業技術を導入した新たな営農モデル
国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構本部
総括調整役 梅本 雅氏
(講演3)北海道におけるスマート農業の推進状況
北海道農政部 生産振興局技術普及課 課長 上西 新次氏
(講演4)ICT農機などを活用したスマート農業の取組み
株式会社クボタ 取締役専務執行役員
研究開発本部長 佐々木 真治氏
生産規模の維持・発展には、新技術を生産現場へ
積極的に導入することが不可欠
農業従事者の減少が今後も見込まれる中、生産規模を維持し、発展させていくためには、一人当たりの生産性を飛躍的に向上させていかなければならない状況のため、新しい技術を生産現場に積極的に導入することが不可欠であると考えています。
農水省としても今年から全国69ヵ所にスマート農業実証拠点を設置し、6月には「農業新技術の現場実装推進プログラム」を策定して、農業者の皆さま方にスマート技術に触れていただく機会を全国各地で開催したり、全国の普及指導センターにスマート農業の相談窓口を設置するなど、先端技術の現場への導入や実証を進める他に、地域での戦略づくりや情報発信、また教育段階でのスマート農業への取組みの推進など、社会実装に向けた取組みを総合的に推進しています。
ご参加の皆さま方には、今後の農業の新技術の発展・普及に向け、こうした活動をますます推進していただきたいと考えていますし、このようなフォーラムを通じ情報収集などを行い、生産現場に導入の検討を進めていただければと思います。
クボタスマート農機実演・紹介内容
1、アグリロボコンバインによる収穫とアグリロボトラクタによる耕うん同時作業
周囲刈りを3周手動で行い、残った未刈り部分を自動で刈取ります。有人での作業で、前後進・ 旋回、作業クラッチのON/OFF、刈取部の昇降のすべてを自動操作。グレンタンクが満タンになると、自動で排出ポイントに向かいます。コンバインに乗車したオペレータが、無人トラクタを監視しながら作業が行えます。収穫と秋起こしを1人のオペレータで行えるため、省力化でき効率アップが図れます。
2、直進アシスト機能付きトラクタ(SL350GS)による作業
直進時のハンドル操作が不要。簡易ガイダンス機能(※直進アシスト機能使用時のみ)を使えば、次工程の位置合わせが簡単に行えるため、無駄な重複作業が少なくなり作業効率向上・コスト削減が図れます。
3、アグリロボトラクタによる作業
オペレータが乗車し安全を監視したうえで、自動運転が行えます。また、直進時でのハンドル操作が不要なオートステア(自動操舵)機能を装備。 肥料散布や播種などで高精度な直進作業が行えます。
4、乗用田植機による可変施肥
ほ場1枚を細かくメッシュ化し、そのメッシュごとに最適な施肥を行います。ほ場内の生育のムラを抑えることで、バラつきの少ない安定した生育が図れるため、収量・品質の安定に貢献します。
5、農業用ドローンによるセンシング紹介
現在、開発中のKSASリモートセンシング。搭載したマルチスペクトルカメラでほ場全体を撮影し、解析。簡単かつスピーディーに生育状況を把握できます。
6、農業用ドローンの自動飛行による薬剤散布作業
RTKアンテナを使って、自動飛行の精度を高めることができます。2020年には、KSASとの連携も予定しており、作業軌跡の再生と自動日誌作成が可能になります。
7、ラジコン草刈機による除草作業
斜面に立つことなく、安定した場所から機体を操作できます。ほこりの影響を受けにくく、ラクに快適に草刈作業が行えます。また、等高線直進アシスト機能付きで、横滑りを防止します。
▶直進アシスト機能付きトラクタSlugger GS仕様 製品情報はこちら
→https://agriculture.kubota.co.jp/product/tractor/slugger-gs/
▶アグリロボトラクタMR1000A 製品情報はこちら
→https://agriculture.kubota.co.jp/product/tractor/agrirobo_mr1000/index.html
▶乗用田植機ナビウェル可変施肥仕様 NW8S-PF-GS 製品情報はこちら
→https://agriculture.kubota.co.jp/product/taueki/naviwel/points/index2.html#jump2
▶農業用ドローン製品情報はこちら
→https://agriculture.kubota.co.jp/product/kanren/index_drone/
▶ラジコン草刈機 製品情報はこちら
→https://agriculture.kubota.co.jp/product/kanren/grasscutter_radicon/
▶お問い合わせはお近くのクボタのお店まで
→https://jp.locator.kubota.com/#Japan