たまねぎ栽培の規模拡大を可能にする作業能率の高い機械化体系確立のため、既存のたまねぎ機械化体系の中で導入の遅れている育苗、農薬散布、収穫作業および排水対策に関する機械化を実証しました。
調査のねらい
南淡路地域では、たまねぎ、レタス、キャベツ、はくさいなどを中心とした三毛作体系が確立されているが、近年、農業者の高齢化や後継者の減少による労働力不足が問題となり、基幹作物であるたまねぎの生産量は減少傾向にある。たまねぎの生産拡大のためには、兼業農家の生産量を維持するとともに、専業農家による栽培面積の拡大が必要であり、より作業能率の高い機械化体系の確立が必要とされる。そこで、現行の20kgポリコンテナを利用し、淡路地域に適した機械作業体系の推進を図る。
結果の概要および考察
1. 乗用管理機によるたまねぎ農薬散布作業の省力化
乗用管理機を用いた、たまねぎ農薬散布作業の省力化実証を行った。慣行と比較して62%作業時間が短縮でき、作物への付着も良好で、作業者への農薬被ばく量も少なかった。
2. たまねぎ収穫・搬出作業の省力化
収穫・搬出作業の効率化および軽労化を目的として、フロントローダー+リフトキャリアを装着したセミクローラトラクターを用いて、作業の省力化実証を行った。作業時間は若干短縮され、作業者の労働負担も軽減した。さらに、供試機械は低コストであるので導入はしやすい。
3. サイドドライブロータリー用溝掘機による排水対策
サイドドライブロータリー用溝掘機による表面排水溝設置は10aあたり30分弱と短時間で作業が可能であった。また、排水効果も良好で、機械の価格も安く、農家が導入しやすいと考えられた。
4. ポット苗箱押さえ機による鎮圧作業の省力化
新しく開発された全自動移植機用のポット苗箱押え機を用いて、鎮圧作業について実証した。この機械を用いると姿勢も楽になり作業速度も格段に速くなった。均一に鎮圧されることで苗質の向上が見込め、作業効率も高くなる。
今後の課題・展望
1. 今回は20kgポリコンテナによる収穫作業について実証を行った。おおむね現行の作業体系における機械化一貫体系については確立できたと考える。しかし、作業効率を考えた場合、20kgポリコンテナによる収穫作業は限界があり、さらなる機械化を考える場合、もっと効率の良いコンテナを検討する必要がある。
2. 北海道と異なり、柔らかく痛みやすいたまねぎを扱うため、北海道のような1.5tの大型コンテナは向いていないので、さらに機械化を進めるためには、取り扱いが簡便で、コストが低く、高品質を保持できるコンテナが必要である。
3. 今後は貯蔵性や操作性の良いコンテナを検討し、その規格に見合った収穫作業機の開発を望む。
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http://www.jeinou.com/2013/07/post_12.html
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