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ソリューションレポート

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JA大潟村「潟たまねぎ」の新たな挑戦!たまねぎ直播栽培

JA大潟村「潟たまねぎ」の新たな挑戦!たまねぎ直播栽培

米価の低迷を受けて、水稲と園芸作物の複合経営を模索する動きが拡がる中、秋田県のJA大潟村では、高収益な複合品目としてたまねぎに着目。2019年から本格的な栽培に取り組み、産地化を進めています。同JAでは、今年、栽培規模の拡大を視野に、たまねぎの直播栽培に挑戦しています。

 


 

 8月25日に、秋田県男鹿市若美地区の黒ボク土質の畑地、29日には、大潟村の水田転換畑の2カ所で、「クボタたまねぎ直播機」によるうね立て・施肥・播種同時作業が行われました。今回の試験栽培は、秋田県農林水産部、JA大潟村、クボタグル-プの三者が連携して実施されています。 JA大潟村のたまねぎの栽培面積は、現在60haまで拡がりを見せていますが、収量の安定化や、作型が秋まきのため、夏場の育苗作業における労働負担など、様々な課題が山積しています。今回の直播栽培は、それらの課題解決に向けて、特に育苗作業の省力化、作期分散による規模拡大につながる技術として、JAでは大きな期待を寄せています。

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関係機関の声

育苗作業を省力化でき、しかも一発作業が可能な
「クボタたまねぎ直播機」に期待しています

これからの品目として注目されているたまねぎ

 秋田県では、園芸の重点品目として、ねぎ、えだまめ、アスパラガス、トマト、すいか、きゅうりを推進しています。たまねぎは、機械化一貫体系が確立しており、規模拡大が可能なことから、これからの品目として非常に期待されています。
 秋田県におけるたまねぎ栽培は、学校給食や地場産消費という形で、地域ごとに小規模に続けてきたところが多く、大規模に取り組んでいる産地はありませんでした。しかし、近年、JA大潟村が、収益力の強化を図るため、水稲との複合品目としてたまねぎ栽培に取り組み、乾燥・調製・貯蔵施設が完成した2019年から本格的に産地化を進めています。

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作業分散による規模拡大が可能な直播栽培に期待

 今回の「クボタたまねぎ直播機」を活用した直播栽培は、試験してみたいという生産者の声に、クボタさんが応えていただいた形で実現したもので、とても感謝しています。JA大潟村のたまねぎ栽培は、秋まきの作型のため、播種、育苗作業は、水稲の余力のある8月お盆過ぎから始まり、定植は、水稲の収穫後の10月に行います。ちょうど水稲作業の間に組み込むような体系ですが、天候によっては重なることもありますし、今後、産地化が進み、栽培面積が増えた時に、10月にすべてを詰め込んで、定植することはできません。直播栽培を導入することで、作業を分散できれば、今後の規模拡大につながるものと期待しています。

育苗作業の労力を軽減できる「クボタたまねぎ直播機」

 「クボタたまねぎ直播機」については、全国農業システム化研究会の現地実証調査の発表を聞かせていただき、関心を持っていました。使用できる除草剤の登録が増えてきたことで、直播栽培ができるようになってきたということが大きいですね。実際にその土地で栽培してみないとわからないことも多いので、今回の実演は、大きな期待を込めて見させていただきました。作業を見た感想は、育苗から定植までのたくさんの労力を省け、一発作業で終わることができるので農家の負担軽減につながると感じました。このほ場は黒ボク土壌で砕土率も高く、良いほ場条件ですが、うねもきれいにできていて、作業もスムーズに進んでいる印象です。発芽率が確保できれば良いなと思います。
 今後、JA大潟村が、安定した産地に成長すれば、たまねぎ栽培に取り組みたいという地域も増えてくると思います。今回の試験栽培で良い成果が上がれば、秋田県は、土地利用型の品目に取り組みたいというニーズは元々高いので、機械化で取り組める品目として、たまねぎ栽培への期待は今以上に高まると思います。

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お客様の声

毎日潅水しなければならない夏場の育苗作業は重労働。
直播栽培は、規模拡大に不可欠な技術です!

集積する畑地を活用してたまねぎ栽培を拡大

 たまねぎ栽培は、2017年から取り組み、2019年には栽培面積を10haまで増やしました。主にたまねぎを栽培している若美地区のほ場は、黒ボク土壌の畑地で、高齢化よる離農や休耕地の利用などから、農地が集まってきています。このほ場でたまねぎの団地化を図り、経営の柱にしたいと考えています。ただ、反収が安定せず、昨年は3.5トンだった反収が、今年は天候不順で適期収穫を逃し、2トンくらいしかとれませんでした。次年度は、一旦、面積は増やさず、収量を安定させるために防除や管理作業に力を注ぐ計画です。

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育苗の手間が省ける直播栽培に大きな期待

 直播栽培は、これからの面積拡大に向けて、必要な技術だと思っています。育苗ハウスも限界があるので、直播栽培なら面積を増やしていけるんじゃないかと。しかも育苗の手間が省けるんですから。育苗管理は、40~50日間、毎日潅水しないといけません。これは夏場、けっこう大変な作業です。
 クボタたまねぎ直播機については、今日、作業を見ましたが、20a区画を約3時間で作業を終了していました。順調な作業で問題はないと思います。うね立て同時播種なので、定植の前作業のうね立てもしなくてよくなりますから、これは楽ですね。この直播栽培の取組みには期待が大きいです。今後の生育を楽しみにしています。

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お客様の声

うね立てと同時に播種でき、種子の直下に施肥。
「クボタたまねぎ直播機」は良くできたシステムだと思います!

 米価の下落を受けて、収益の高い作物を検討し、たまねぎ栽培に取り組み始めたのは2015年からで、機械化体系を整え、面積を拡大したのが2019年です。複合経営の悩みは繁忙期が重なることで、JAの講習会でたまねぎ直播栽培のことを知り、作期を分散できればと試験栽培をお願いしました。クボタたまねぎ直播機は、うねの上の小さな溝の底に播種したり、リン酸を種子の直下に施肥する技術が盛り込まれているので、良くできたシステムだと思います。高発芽や収量の安定化につながることを期待しています。

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ワンポイントアドバイス

クボタたまねぎ直播機の特長と注意点

 クボタたまねぎ直播機は全国から実演の依頼が多くなっています。育苗作業から解放されて、収量が確保できるのなら、自分の畑で試してみたいという要望です。直播機のメリットに期待してのことだと思いますが、その特長と注意点を確認していただきたいと思います。

●特長
 主な特長は、①育苗や定植の作業が無くなる、②うね上溝底播種により多湿・乾燥・低温・高温に対応しやすくなる、③溝底播種+リン酸直下施肥技術により出芽率と収量が期待できる、ことです。このほか、逆転ロータリと櫛状のレーキ効果により、下層は粗く、上層は細かい2層構造の土壌になり出芽率向上につなげます。フローティング装置はうねの立ち上がりが早くなり、うねの始点と終点が揃えやすくなります。殺虫剤の同時施用も可能です。車速が変化しても安定した施肥量につなげるGPS車速連動装置もセットできます。
●注意点
 次に、主な注意点は、<①播種開始は移植の播種適期より半旬から1旬遅らせて播種晩限は20日から30日間、早いと抽苔リスク、遅いと減収リスク、②高温乾燥で出芽率低下、大雨等により溝が崩れて固まると出芽困難、③黒ボク土(壌土)が適、砂土は除草剤の薬害リスク、粘質土では砕土性が悪く出芽不良リスク、④玉揃いが劣るリスク、加工・業務用向け等の配慮必要、⑤直播栽培に使用できる登録除草剤の効果・薬害等の注意事項の確認必須、です。このほか、種子の覆土は1~1.5cm、うね高さは20cmを基本とします。直下施肥したリン酸と種子が接しないように覆土を確認します。ほ場の排水対策が必要です。雑草が多いほ場は播種前の雑草対策も重要です。
 こうした特長を活かすためにも、注意点を意識し対応することで、最初は思うようにいかなくても、関係者と連携して地域に応じた工夫等により成功につなげることが可能だと思っています。
 最後に、たまねぎ直播機は、キャベツ等の直播栽培への汎用利用の取組も見られてきており、これまで移植しか考えられていなかった作目でも、直播できるという認識に変化させる契機となる、一種の革命的な技術であると思っています。そして、この機械が野菜の規模拡大を図ろうとしている担い手農家の救世主となれるよう、推進していこうと思います。

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