【クボタ ソリューションレポート No.5】乾田直播で取り組む飼料用米 トリプルエコロジーで麦との汎用利用を提案 お気に入りに追加
長崎県雲仙市吾妻町 乾田直播(一発耕起播種機トリプルエコロジー)
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クボタ ソリューションレポート #5

長崎県|

稲|麦|

【クボタ ソリューションレポート No.5】乾田直播で取り組む飼料用米 トリプルエコロジーで麦との汎用利用を提案

【クボタ ソリューションレポート No.5】乾田直播で取り組む飼料用米 トリプルエコロジーで麦との汎用利用を提案

長崎県内の市町村の中で、トップの農業生産額を誇る雲仙市。じゃがいも、いちご、レタス、ブロッコリー等の野菜栽培の他、肥育牛、養豚などの飼育も盛んです。その雲仙市吾妻町で、養豚業を営む㈱柿田ファーム様は、飼料用米を乾田直播で栽培しています。クボタでは、柿田ファーム様に麦跡にも対応できる一発耕起播種機トリプルエコロジーを提案。5月19日に、播種作業の実演が行われました。

 


 

【 耳より情報 】

❶ 鉄コ直播栽培の補完技術としての乾田直播を提案
❷ 稲・麦二毛作体系における機械の汎用利用
❸ サーフロータリなので麦跡を不耕起で砕土が可能

 自家配合飼料に添加する飼料用米を栽培している柿田社長は、作業の省力化とコスト低減を目指し6年前から乾田直播を導入。昨年まで、スガノのバーチカルハロー + アグリテクノ矢崎の播種機で播種作業を行っていました。その播種機が故障し、新たな機械を探していたときに、諫早の展示会で実機確認したのが、トリプルエコロジーでした。クボタの提案を聞いた柿田社長は、今秋から計画している麦作との汎用利用に魅力を感じ、トリプルエコロジーによる播種作業の実演を依頼しました。




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飼料用米で自家配合飼料の肉質向上を図る

 吾妻町で、母豚500頭規模で養豚業を営んでいます。飼料は自家配合にこだわり、自家栽培した飼料用米を25%添加することで旨味成分を増やし、肉質の向上を図っています。昨年度、畜産クラスター事業を活用して飼料用米保管倉庫を整備、飼料用米を236トン分保管可能になりました。

低コスト稲作を目指し乾田直播を導入

 飼料用米の乾田直播には平成24年度から取り組み、今年で6年目になります。離農した農家からの農地集積と作業受託の増加から、代かき、育苗を省略した低コスト稲作で、労力とコストを低減したいと思ったからです。今まで使用していたスガノのバーチカルハローとテクノアグリ矢崎の播種機は、雑草の鋤き込み後に、浅耕で砕土しながら播種したとき、圃場の均平が取れて、水管理が容易になったことが決め手で導入しました。今回、その播種機の調子が悪くなったため、機械を探していたときに、クボタの諫早の展示会で、一発耕起播種機トリプルエコロジーを見つけたんです。

稲・麦の汎用利用が魅力で実演を依頼

 飼料用米のもちだわらは、高収量が期待できる水稲の新品種ですが、背が高く籾も大きいため倒伏しやすいのが難点です。本来なら800kg/10aほど取れる品種なんですが、これまでも倒伏し、600kgを下回った収量でした。そこで本当は点播ができる播種機を探していたのですが、今秋、新たに麦を作付ける計画なので、汎用利用を考えて、トリプルエコロジーでの試験栽培をお願いしました。麦の播種にも使え、稲の播種時には、サーフロータリで麦跡の砕土ができるのでメリットは大きいと思います。今日、実際の播種作業を見て、播種深度も播種精度もよかったと感じています。




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 今、福岡地区では、鉄コーティング直播の栽培面積が伸びていません。ツインこまきによるスクミリンゴガイ対策で再度、普及を図りますが、1俵6000円を目指す低コスト稲作を提案する中、鉄コーティング直播の補完技術として、お客様からのニーズもある乾田直播栽培の提案にも力を入れています。
 柿田ファームさまは、諫早の展示会に来場されたときに、MR97-PCに一発耕起播種機トリプルエコロジーKTBM2200の展示に関心を持たれ、機械の説明をしたことが今回の実演につながりました。現在、使用している播種機は7条播種で条間30㎝で設定されていますが、トリプルエコロジーは8条播きで条間28㎝※となり、耕幅が10㎝広くなること、稲刈り後は今年から麦の播種も行うということで汎用利用ができることをメリットとして提案させていただきました。(※播種当日の条間は30㎝で設定)
 トリプルエコロジーは、現在Mトラでしか対応できておらず、地域で導入されているトラクタより馬力帯が大きいという課題が残っていますが、乾田直播のような低コスト稲作技術は、この福岡地区の農業において、近い将来、必ず必要になる技術だと思われます。10年後の地域農業を見据えて継続的に提案していきたいと考えています。

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 平成26年、長崎県の農業産出額は1,477億円ありましたが、雲仙市はその17%の256億円に達し、21市町のうちNo.1でした。(いちご・レタス・ブロッコリー等の野菜が106億、じゃがいも49億、肉用牛30億)ちなみに、島原半島の3市で3位まで独占し、県全体の産出額の46%占めています。また、畜産の飼養頭羽数では肥育牛、養豚が堅調に増加傾向にあります。その一角に今回のトリプルエコロジーによる乾田直播の実証圃場を設定した雲仙市吾妻町があります。この地域の営農課題としては、担い手の高齢化があげられます。この10年間に、専業農家は11%増加しましたが、全農家数は10%、販売農家数は21%減少しています。
 柿田ファーム様では、飼料は「こだわりの自家配合」で、自家栽培した飼料米を25%添加することで、脂身に機能性を示し、うまみ成分のひとつであるオレイン酸を増加させて肉質の向上を図っています。また、自家配合はコスト低減もさることながら、機能性を付加した豚肉改善により生産された豚肉をブランド化することにより高値取引を模索する目的で行っています。そのため、オレイン酸は毎年一回分析(外注)して確認していますし、一部を雲仙市内の直売所で直接販売して消費者の反応を見ています。直売所には加工施設を併設し、付加価値をつけて販売しています。

 平成24年に乾田直播栽培への取組みをはじめ、雑草多発、秋うんかの多発と倒伏等を経験しながら今日に至っています。現播種機ではすじ播き作業になる為どうしても株間が広く取れません。病虫害や分けつに影響がありますので、乾田直播の場合は点播播種の技術を早急に確立する事で普及が期待できると思います。
 今回提案した一発耕起播種機トリプルエコロジーの特長は、麦跡、不耕起であっても砕土可能なことです。お客様は事前耕うんを行っていますが、一発耕起播種が行えますので作業時間と労力が削減できます。播種の状態を見て、満足されていましたので、結果がよければ導入につながると考えています。

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