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鹿児島県伊佐市 マルチコプター
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クボタ ソリューションレポート #10

鹿児島県|

稲|

【クボタ ソリューションレポート No.10】注目を集めるマルチコプターによる防除技術

【クボタ ソリューションレポート No.10】注目を集めるマルチコプターによる防除技術

平成29 年度全国農業システム化研究会現地実証調査
マルチコプターによる薬剤散布に関する実証調査
鹿児島県 農業開発総合センター

 


 

【 耳より情報 】

❶ 市場ニーズ、農家の関心が非常に高い防除技術
❷ 薬効データがなく、実証試験の情報が求められている
❸ 普及には、試験機関、農薬メーカー、農機メーカーの連携が必須

 8月24日~ 25日の2日間、鹿児島県伊佐市で、平成29年度全国農業システム化研究会の現地実証調査として、「マルチコプターによる薬剤散布に関する実証調査」の現地検討会が開催されました。
 今回の検討会は、実証調査を行っている鹿児島県農業開発総合センター大隅支場が中心となり、クボタ、農薬メーカー8社を含む関係者35名が参加。1日目は、実証圃場でのマルチコプターによる水稲薬剤散布の実演、2日目は、室内検討会とし、試験機関から実証調査についての実施状況等の説明や、今後の農薬登録の適応拡大等についての意見交換が行われました。

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農薬の付着程度や作業能率を実証調査

 マルチコプターの試験については、農薬メーカーや農機メーカーとタイアップして実証試験を行うことで、よりマルチコプターの普及が進むと考えています。試験内容は、西日本で水稲の防除を行うときに問題になるトビイロウンカ、紋枯病と呼ばれる、稲の株元に農薬が散布されないといけない病害虫をターゲットに、どの程度農薬が株元に付着するかという試験と、マルチコプターを使った防除がどのくらい省力化が図られるかという試験を行っているところです。今年試験する中で課題も見つかってきましたので、その課題を整理して、次年度の試験に生かしていきたいと考えています。

無人ヘリと住み分けして普及が進むと推測

 大規模農家の中には、すでに導入されてる方もいますし、防除効果が確認されれば、今後普及も進んでいくと思います。ただ、無人ヘリが、マルチコプターに移行していくということではなく、マルチコプターの利点である機動性を活かして、小区画圃場や中山間地の圃場、住宅地の周辺で活用されることで、無人ヘリと住み分けをしつつ普及していくのではないかと考えています。

散布精度が高いクボタ農業用マルチローターMG-1K

 今回使用したクボタのMG-1Kは、大型のマルチコプターに分類されますが、散布した状態を見て、散布精度は高いと思います。信頼性の高さといいますか、もともと防除機は農機メーカーしか持っていませんので、そのあたりのノウハウの蓄積は、農機メーカーしかありません。新規参入されてるベンチャー企業もありますが、そこは農機メーカーに期待したいと思っています。また、クボタはKSASという圃場管理システムを持っていますので、そことできるだけ早い段階でリンクしていただけると、作業も効率的にできますし、生産履歴などの問題もより効率的に管理できていくんじゃないかと思います。

防除効果の調査結果が普及に弾みをつける

 来年度は、無人ヘリとマルチコプターの散布精度や防除効果について試験ができればと考えています。仮に無人ヘリと同じ精度や、防除効果が調査として結果が出れば、そういう情報を農家さんへデータとしてお返しができる。無人ヘリと効果が変わらないよということになれば、普及に弾みがつくんじゃないかと思います。


 

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 マルチコプターは、昨年あたりから急激に注目を集めており、無人ヘリと比べて安価で、比較的手軽に導入できそうな防除技術だと、農家の方の関心が非常に高くなっています。しかしながら、機械が先行し、本来の目的であります防除技術の検討がほとんどされていません。機械については、ベンチャー的な企業の方が作ってる実態が多く、許可もない登録もないような機体を飛ばしていることも多々見受けられます。そこで、今までの既存の信用できる農機メーカーと連携しながら、農家の方たちが安全に効果的に使うための研究をぜひ進めたいと考えています。

 農薬については、無人ヘリの登録の農薬はそのまま使用できますが、一部の北海道向けの野菜等を除けば、野菜関係に対応した農薬はほとんどありません。ところが農家のアンケートを取りますと、野菜関係、畑作関係でマルチコプターを使いたいという方が非常に多いんです。特に近年、労働力が低下していますので、そのあたりをカバーするために非常にいい道具であると皆様考えているようです。ぜひ、農薬メーカーの皆様にご協力いただいて、畑作物、特に野菜関係の農薬登録の適応拡大に向けて検討し、農業関係者が一丸となって、このマルチコプターの新しい防除技術の体系を作りたいと思っております。

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