クボタ ソリューションレポート #43
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現在、日本の畜産業は濃厚飼料の9割近くを輸入に依存しています。政府は2006年の配合飼料価格の急騰を踏まえ、2025 年までに濃厚飼料の自給率を20%まで引き上げることを目標としています。このような中、濃厚飼料として最も重要な子実トウモロコシの栽培は労働生産性が高く、多量の作物残渣を残してくれることから、水田輪作の新たな品目に加えて生産振興を図る取組みが北海道を中心に始まっています。
【 耳より情報 】
❶ コーンキットを装着したWRH1200で子実トウモロコシの収穫作業❷ 初めての子実トウモロコシ栽培で期待以上の収量
8月19日、畜産の盛んな宮崎県都城市において、「南九州地域子実用トウモロコシ生産・利用に関する研修会・収穫実演会」 (都城市はざま牧場主催、参加者約80名)が生産者や関係機関を対象に開催されました。当日は、生憎の雨により、子実トウモロコシの収穫実演会は中止になりましたが、研修会では、はざま牧場様が今春から行っている子実トウモロコシ生産の取組結果について報告があり、協力メーカーとしてクボタがコーンキットを装着した普通型コンバインWRH1200を紹介し、現地で事前に撮影した収穫作業の映像が上映され、参加者から高い関心が得られました。 今回は、オリンピック・パラリンピックを前に、プレミアムな豚肉の生産を目指すはざま牧場様の子実トウモロコシ生産の実証結果と研修会の様子をレポートします。
良い条件が重なって、平均以上の収量を確保することができました
【生産者の声】
好条件に恵まれた栽培のおかげで平均以上の収量を上げることができました
収穫直前に台風が来て最後まで心配しましたが、特に目立った被害も無く、無事に収穫を迎えることができました。研修会当日に雨が予想されていたので、事前に収穫を行ったのですが、予想した反収以上の収量があったので、良かったです。正直ここまで上手くいくと思ってなかったのですが、圃場状態や、養豚経営から発生する堆肥を使用した施肥、防除のタイミング、取組みに参画していただいた関係機関のプロによるアイディアなど、すべての要素が重なった結果だと思います。
WRH1200は選別精度が高いですね!
計画当初コンバインは、大豆用のコンバインが使用出来ると思っていたのですが、それでは能力不足ということで、クボタのWRH1200で収穫を行いました。コンパクトなサイズで、ちょうど良いですね。選別精度も良いと思います。乾燥施設などで、更にふるいをかけてきれいにして、粒度の選別を行い、プレミアムの更にプレミアムなきなこ豚ができればいいですね!
子実トウモロコシでさらにプレミアムな豚肉を目指す!
養豚業を維持、拡大していくためには、設備ができても堆肥の問題や環境問題が常に課題にあげられます。最近は、高齢化や担い手不足で堆肥を取りに来ていただける戸数が以前に比べると確実に減ってきています。今回の取組みは、土地利用や、堆肥処理の問題も解決できるのではと始めた面もあります。子実トウモロコシや、飼料米のような土地利用型作物をいかに畜産農家が利用できるか、買い手が発信しないと作り手も不安になります。実証を通じて、このような水田輪作の方法もあることを示していきたいです。
今年ではざま牧場は50周年になります。オリンピック・パラリンピックも迫り、去年くらいから、より付加価値の高い特別な豚肉を仕上げるためには、早々に計画を進めなければならないと考え、子実トウモロコシの栽培に至りました。構想は色々ありますが、収穫した子実を豚にどう食べさせて、どう仕上がるか、おいしさはどうか、販売はどうするかなど、色々な仕掛けが必要になります。第一段階として、子実トウモロコシが実ったことが喜ばしいですね
WRH1200 はコーンキットを装着することでトウモロコシの収穫も行えます
【クボタ技術顧問による解説】
生育後半、2度、台風が近くを通過したにも関わらず、ほとんど倒伏することなく、収穫日を迎えることができました。収穫の目安は、完熟後、子実の水分が30%以下になっていることです。さらに選別を良くするためには、茎葉の枯れ上がりも必要です。茎葉の水分が少ないほうが収穫は楽になります。しかしながら、あまり遅れると雨にあたる可能性が高まり、カビや穂発芽など、品質低下が問題になります。今回の収穫作業は台風以降の降雨が多かったため、子実の一部にカビ、穂発芽が発生していました。今回使用した品種は雌穂を包む苞葉(外皮)が開き気味で剝き出しの雌穂が多くみられことも一因と考えられます。
トウモロコシが台風など激しい風雨に見舞われると、根元から倒れる危険が高まります。そうなると、コンバインでの収穫が非常に困難になります。南九州地方ではこのようなリスクを避けるため、台風シーズンに当たる9月前に収穫できる作期、品種の選定も重要になります。
今回の収穫作業にはクボタ普通型コンバインWRH1200 を使用しました。従来の普通型コンバインは大豆と麦の収穫が多かったのですが、WRH1200は米の選別性能を高め、汎用性をアップしています。さらにコーンキットを装着することによって、トウモロコシ子実の収穫も行えます。
国内で子実トウモロコシを生産振興していこうという機運が徐々にではありますが、高まっています。クボタは、濃厚飼料を自給したいという組織、地域があれば、それを支援しています。初めは小さな取組みであっても、持続的な支援を通じて、子実トウモロコシの生産拡大、ひいては地域の農地保全にお役に立てればと思っています。はざま牧場様のように、自給飼料を核とした自社製品のブランド化のため自ら国産濃厚飼料を生産しようとする取組みはとても貴重です。
WRH1200は選別性能がいいです
【参加されたお客様の声】
改良普及所にいったら、今回の研修会の話を聞いたので、参加しました。自給のトウモロコシ生産には前から興味がありましたが、このあたりは台風があるので、風速30mでも耐えられる子実トウモロコシの生産ができればいいですね。
今日はあいにくの雨で収穫作業は行われませんでしたが、別日に行っていた収穫作業を見学しました。WRH1200の収穫は選別精度が良かったので、子実トウモロコシの収穫には問題ないですね。
▶クボタコンバインWRH1200 製品情報はこちら
→https://agriculture.kubota.co.jp/product/combine/wrh1200/
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