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富山県富山市 乾田直播 (生育調査)
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クボタ ソリューションレポート #38

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【クボタ ソリューションレポート No.38】富山県で乾直の生育調査を実施 3種類の播種機の比較で経営体に適応した乾直体系を選ぶ

【クボタ ソリューションレポート No.38】富山県で乾直の生育調査を実施 3種類の播種機の比較で経営体に適応した乾直体系を選ぶ

令和元年7月2日、㈱GFM様の圃場で栽培されている3種類の水稲乾田直播(以下乾直)の生育調査が行われました。㈱GMFでは、既に導入している乾田V溝直播(以下V溝)に加え、当年は、北陸近畿クボタからの提案で、高速汎用播種機、不耕起汎用ドリル播種機による、3種類の乾直方式の比較をおこなうこととしました。

 


 

【 耳より情報 】

❶ 経営体にあった乾直のは主体系を選択
❷ 乗用管理機での追肥作業で夏場の作業も安心

 それぞれ播種機により、播種時の圃場条件や、播種速度、播種量などが異なるため、経営体の栽培体系によって選択する播種機は異なってきます。今回は、大規模経営を行っている㈱GFMが取り組まれた各々の乾直播種機の特徴及びこれまでの生育調査の結果を踏まえ、今後の対応や経営の考え方などをレポートします。

【自分の経営に活かせる乾直の機械を選択したい】

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クボタからの提案でV溝以外に2種類の乾直に取り組みます

 昨年は乾直播種機を導入するにあたり、まずは提案していただいたV溝で乾直栽培に取り組むこととなりました。昨年のV 溝の試験栽培が成功したので、本年は乾直の面積を10haに拡 大して取り組んでいます。秋と春先の降雨により圃場がぬかるんだ状態が続き、播種床形成が難しく、V溝ができる条件が揃わない圃場があったため、北陸近畿クボタの担当に相談したところ、一般的にはV溝では推奨されている代かき作業による播 種床形成が不要となる高速汎用播種機(アグリテクノ矢崎製)、不耕起汎用ドリル播種機(グレ-トプレ-ンズ製)を試しにやってみないかと言うことで、本年は3種類の播種機による乾 直で栽培を行っています。

3種類の播種機での乾直圃場の生育は順調です

 それぞれの圃場での生育はいずれも順調です。V溝圃場の一部は土壌条件が砂質で同時施肥した肥料が地下に流亡したものと思われ、葉色がかなり落ちていました。すぐに追肥をしたほうが良いということで、乗用管理期+ブロードキャスタで追肥を行いました。普通移植では機械を入れる事が困難なため、追肥は大変ですが、乾直の圃場は土壌が硬いので管理機を容易に入れることができ、暑い時期の動力散布機での作業に比べれば非常に体への負担が少なく作業が楽です。乾直の追肥や雑草対策、特に除草剤のタイミングはどれが正しいのかまだわかりません。しかし、KSAS等をうまく活用して、データを蓄積していくことで、次年度からの的確な栽培管理等も容易に行えるようになると思います。何もかも省力化といって簡略化してしまうと、最終的には収量が落ちて経営に悪影響が出てしまうので、KSAS データの蓄積・分析をしてしっかり行い、栽培管理していきたいと思います。高速汎用播種機は点播が特徴ですが、溝を切って播種しているので、分げつの発生方向は条方向偏り、同じ点播でも鉄コ直播のように、開張するような分げつの発生は少なくなります。これは条播のV溝のように作溝播種されたものと同様の分げつ発生となります。しかし、点播されているので株化しており、圃場の見た目はいいですね。最終的に収穫してみてどうなるか、楽しみですね。

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【3種類の播種機の特長と生育調査結果】

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3種類の播種機による乾田直播の特徴

 ㈱GFM様で行っている3つの乾直の作業性の特徴は、高速 汎用播種機と、不耕起ドリルについては、秋期から春期にかけて行う代かきが不要です。春先、雪が消えてから余裕がある時期に、耕耘、均平整地しておくだけで、播種日を迎えることが出来ます。整地作業には播種床の鎮圧による漏水軽減のためにケンブリッジロ-ラ等を用いることが極めて有効です。V溝に 関しては、秋期から春期に代かきをして均平を取り、春先に圃場を乾かして播種をします。播種床形成の過程は違いますが、播種時の条件はほとんど同じです。だた、V溝の場合は秋に水が無いと、場合によっては、代かきが困難となるため、春先に代かきをする方法もあれば、代かき無しで耕起・鎮圧して播種床を作る方法も可能です。
 一般的に乾直では、こまめな水管理は必要ありません。生育状況に応じて、稲の生育する力に任せるときがあります。通常、乾直は出芽後、初・中期除草剤を散布した後は湛水状態を継続します。要するに、水は入れっぱなしで、中干しする必要はありません。しかし、出芽数が多かったり、生育が進みすぎて過繁茂になるようであれば、生育の状況に応じて中干しを行う場合があります。また、溝切りは乾直においても重要な作業です。水管理が容易に出来るため、夏場のフェーン現象などにもすばやく対応ができます。

経営に応じた低コスト稲作の選択

 クボタは、水稲の低コスト技術として、鉄コ直播、乾直、密播、普通移植という3本柱で提案をしています。大規模化するにあたり、低コスト技術の導入は必要不可欠となってきますが、直播に抵抗が無い方は、通常 移植と直播での経営を行いますが、直播に多少なりとも抵抗がある場合は、密播を導入して省力・低コスト化を図っています。ただし、農地の集積が急激に進んだ場合や、春先に予定外の委託面積が増えた場合などは育苗が間に合いません。そういったときには、直播技術を活用せざるを得なくなると考えています。

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