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クボタ ソリューションレポート #31

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【クボタ ソリューションレポート No.31】点播で稲乾田直播!担い手の声から生まれた高速高精度播種機

【クボタ ソリューションレポート No.31】点播で稲乾田直播!担い手の声から生まれた高速高精度播種機

4月18日に富山市の株式会社GFM様の乾田直播圃場で「高速高精度汎用播種機」を用いた播種作業の実演が行われました。
「高速高精度汎用播種機」は農林水産省が担い手向けにH26年に実施した「新たに開発してほしい担い手向けの農業機械に関する調査」において、要望が多かった「速度を現行国産機の2倍」「稲乾田直播での点播」「不耕起栽培に対応」などの声を参考に、農研機構とアグリテクノ矢崎が共同開発。H31年3月から販売が開始されたばかりで注目の最新播種機です。

 


 

 株式会社GFM様は昨年度V溝播種機による乾田直播の試験栽培(1.3ha)行い、導入の確かな手応えをつかみ、今年度から乾田直播の面積を10haまで拡大し本格導入、さらなる省力化・低コスト化を目指しています。
 今回は「高速高精度汎用播種機」の実演に至った経緯や乾田直播のポイント、アグリテクノ矢崎株式会社のご担当者様から機械のポイントなどをレポートします。

【 耳より情報 】

❶ 点播で播種が行える「高速高精度汎用播種機」
❷ 稲、麦、大豆、トウモロコシ、そば、牧草など幅広い作物に対応
❸ 高速播種が可能で大規模圃場での作業効率がアップ

生産者の声

乾田直播は経営の主流になります

 昨年V溝乾田直播栽培を約1.3ha試験的に導入した結果、慣行(移植)のコシヒカリの平均反収が7.5俵でしたが、乾田直播の反収は約9俵半と好成績でした。そこで今年度は乾田直播の面積を10haまで拡大し取り組む予定です。
 受託面積が増える中で、移植だと設備や費用もかかります。春作業には育苗ハウスを2回転していたので、1回目の田植えは時間に追われながら行っていました。今年度、育苗ハウスを1回転で済ます代わりに、残りの1回転分の種子を直播栽培にあてる予定です。直播はうちの今後の経営の主軸になると考えています。

点播だと播種量が少なくなります

 乾田直播を本格導入するにあたりV溝播種機を購入しましたが、良い機械があれば、導入を検討するという考えなので、北陸近畿クボタに様々な機械の実演をお願いしています。「高速高精度汎用播種機」はそのうちの一つです。
 実際に「高速高精度汎用播種機」の播種をしてわかったことは、条播のときより播種量が少なくて済んだことです。条播のV溝播種機ですと、10a当たりの種籾が約7kg必要だったところ、今回点播の播種機なら約5kgで済みました。また、昨年の栽培を通じて、条播だと分げつが少ないので、その点が課題だと感じていました。点播だと6粒前後の播種なので、鉄コの点播播種と似ており、その点から想定しても分げつは取れると思っているので、今後の生育にはとても興味があります。

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関係者の声

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高速高精度汎用播種機について

 「高速高精度汎用播種機」は、近年、大規模経営体に農地が集中する中、省力・低コスト技術として、移植だけではなく乾田直播に注目し導入するこで規模拡大を図っています。このような現在の農業業界の状況に対応するため、大型でかつ、高速作業及び様々な作物の播種に対応できることをコンセプトに農研機構と共同開発致しました。
 機械の特徴としては播種のプレートを交換することによって、稲、麦、大豆、その他様々な作物に汎用利用が可能で、特に稲乾田直播では今まで主流だった条播に変わり、点播ができる機械となっております。更に、高速播種作業が可能で、作業の拡大や、時間短縮にもなります。大規模経営体や、複合経営をされている方におすすめの機械です。

農家の皆様の声を聞いてより良い機械にしていきたい

 「高速高精度汎用播種機」を販売するにあたり、全国の試験場で多くの実証をさせてもらいました。移植との比較や点播と条播の比較を行い、良い結果が証明されましたので、昨年からは実際に経営体に使っていただき、農家の皆様からも好評のお言葉をいただきましたので、販売に至りました。
 試験を重ねて販売をしていますが、圃場条件は経営体によって様々ですので、実演をさせていただいて、ご納得の上、購入頂くのが一番です。

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クボタ技術顧問による解説

乾田と湛水は2 年に一度入れ替えてください

 経営面積が多くなると、どうしても作業効率を求めるので、作業時間が早い乾田直播は好まれる技術です。ただ、乾田直播を連続して何年も続けることは難しいと考えていて、雑草や浸透性に問題が生じます。乾田直播を2年行った圃場は一般的な移植に戻し、翌年乾田に戻すなど、ローテーションを行ってください。

点播と条播の相違点

 点播と条播ではそれぞれにメリット・デメリットがありますが、農家の皆様は点播を好む傾向にあります。鉄コーティング直播の場合も点播が行える鉄まきちゃんが販売されてから、取り組む件数が増加しました。また、点播は株の形成が行えるので、倒伏に強く、生育途中に風の通りが良くなり、光が全方向から入るなどのメリットを含め、長年農業をされている方にとっては、点播が行える播種機は受け入れやすいと考えます。
 基本的に経営面積が増えれば、稲だけの経営体でも移植だけでは難しく、直播の選択肢ができてきます。複合経営を行っている経営体にとっては、稲、麦、大豆やその他の作物の播種が行える汎用性の高い機械は導入するメリットが大いにあります。機械をより効率的に使用し減価償却を考えたときに、乾田直播は今後の経営にとって省力・低コスト化が図れる選択肢として入れていただきたいです。

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