クボタ ソリューションレポート #26
熊本県|
大豆|
トリプルエコロジーで一発耕起播種をおこなった大豆圃場が11月15日に収穫を迎えました。今回の収穫作業は、「複数作物に農業機械を汎用利用することによるコストの低減」をテーマとした全国農業システム化研究会の現地実証調査として実施されました。
播種が7月19日と例年より少し遅れたことで、生育が不安視されていましたが、順調に生育し隣の圃場で行われていた慣行区と遜色無い収量を確保できました。麦、水稲、大豆の播種は、一発耕起播種機「トリプルエコロジー」で、収穫は普通型コンバインWRH1200で行うことによって、機械の汎用利用による生産コストの大幅な削減を目指しています。
【 耳より情報 】
❶ トリプルエコロジーによる一発耕起播種で慣行区と遜色の無い収量を確保❷ 普通型コンバインWRH1200で高品質でロスの少ない大豆収穫
❸ WRH1200は麦・稲でも満足できる収穫性能を実証
実証されたお客様の声
大豆の圃場も周りの評価もよく、収量も問題ありません
トリプルエコロジーで大豆を播種した圃場は、満足のいく生育で、周りの評判も良かったです。近年大豆が小粒になっているのですが、それを補う形で粒数が増え、収量は確保出来ているので問題は無いのかなと考えています。
大豆だけではなく、水稲も組み合わせてバランスよく経営していきたい
大豆の収量・品質を上げるために、以前実証を行って結果が良かった「花吹雪」という肥料を使用しています。「花吹雪」を使用することで大豆の根につく根粒が増えて、以前は2粒の莢が多かったのですが、3粒の莢が増えて増収につながっています。
大豆は交付金などの関係で収益が高い作物です。ただ、そのことばかりを考えすぎて、大豆ばかり栽培されているところもあります。同じ圃場で大豆ばかり作ると連作障害が起こり、結果的には収量、収益に影響が出ることも考えられます。稲麦大豆を上手くブロックローテーションしながらバランスよく経営していきたいと思います。
WRH1200 は 格段に刈り取り・脱こく性能が向上しています
稲の収穫に引き続き普通型コンバインWRH1200で大豆の収穫を行いました。企業努力の結果でしょうか、従来機に比べて良くなっていると感じますね。稲麦大豆を収穫する中で、大豆に関してもロスもなく、きれいに収穫してもらいました。稲麦大豆の収穫を1台で行えることはやっぱりすごいと思い ます。
実証調査担当者の声
トリプルエコロジーの播種でも慣行区と遜色ない出来です
播種が7月19日とギリギリ適期の範囲ではありましたが、やはり少し遅かったのか、草丈が伸びてなかったことを心配していました。しかしながら、今年はかなり莢がついていたこともあってか、実際収穫を行うと収量は悪くありませんでした。慣行区と遜色の無い結果で、大豆の実証に点数を付けるなら、90点以上ですね。
菊陽・大津地区は以前より大豆や飼料用米の作付が多い地域です。主食用米だけではなく、色々な作物を組み合わせて所得を最大化するという考え方が定着しているからです。特に大豆は収量さえ上がれば安定的に収益が確保できる作物として取り組まれています。
排水の悪い圃場では、排水対策は必須です
大豆は昔から基本技術をしっかりとこなせば、収益が得られる作物ですが、近年では外来雑草が一部で問題になっており、発生した場合、対策が必要です。難防除雑草の発生が多い圃場では、非選択性の除草剤を使わざるを得ない場合があります。この場合、大豆株元の畦間・株間に高精度・高能率散布が可能で、ドリフトによる薬害も抑えられる「万能散布バー」の使用をお奨めしています。
また、収穫時期に断続的に雨が降って収穫が出来ない時期があります。ネットワーク大津様の圃場は火山灰土壌で、水はけが良い圃場が多いので、あまり心配はしていませんが、他の地域で大豆を栽培する場合には排水対策に気をつけないといけません。ですので、額縁明きょの施工は必ず行うよ
うに指導をしています。耕盤下まで溝を深くすることで、排水がよくなります。天候不順が多い近年の状況には必須の作業となります。
クボタ技術顧問による解説
実証圃場の大豆は、莢付きは良いのですが、粒は例年より小さく、中粒が多いようです。今年7、8月が高温で雨が少なかったので大豆が例年より小さく育っていますが、その割に莢が多く付いています。このような年はどうしても百粒重が小さくなる傾向にあります。その他、粒が小さくなる原因として、登熟期の天候不良、ダイズ黒根腐などの立枯病による根傷みなど、様々な問題が考えられます。作土深が浅かったりすると、気象条件によっては、湿害や干ばつなどの影響を受けやすくなりますので、注意してください。また、生育後半まで根の活性を維持できるよう、たい肥などの有機物を上手に入れて、地力を上げ、維持するための対策が必要です。