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熊本県菊池郡大津町 機械の汎用利用
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クボタ ソリューションレポート #22

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【クボタ ソリューションレポート No.22】稲麦大豆+にんじん! 水田フル活用に貢献するトリプルエコロジー

【クボタ ソリューションレポート No.22】稲麦大豆+にんじん! 水田フル活用に貢献するトリプルエコロジー

平成30年度全国農業システム化研究会現地実証調査
冬ニンジン栽培の大規模栽培技術確立に関する実証
熊本県 県北広域本部農業普及・振興課

 


 

【 耳より情報 】

❶ 農業機械の汎用利用でコスト低減
❷ 播種ユニットを交換してトリプルエコロジーでも野菜播種
❸ 稲麦大豆+にんじんで冬場の作業確保と収益アップ!

 8月21日、ネットワーク大津株式会社様の圃場でトリプルエコロジーによる、にんじんの播種が行われました。今回のにんじん栽培は平成30年度全国農業システム化研究会の「冬にんじん栽培の大規模栽培技術確立に関する実証」として、冬にんじん栽培における大規模栽培技術の確立及び導入メリット等について検討を行う予定です。

 トリプルエコロジーは同法人で稲麦大豆の機械汎用利用の実証としても使用されており、にんじん栽培にも活用することで、大規模露地野菜生産での機械化一貫体系の確立と同時に、集落営農法人における収益性向上効果の検討も行われます。


実証されたお客様の声

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にんじんを導入することで、暇な冬の時期にも作業ができます

 トリプルエコロジーでのにんじん播種は、今年で2年目になります。昨年、安定した収量が確保できたので、今年も継続してにんじんの栽培に取り組むことになりました。

 うちは稲麦大豆でブロックローテーションを行っていますが、そうすると冬の期間が暇になってしまいます。「他の作物もローテーションに組み込みたい」「稲麦大豆以外の収入も得たい」と考えていたところ、トリプルエコロジーを汎用利用したにんじん播種を提案していただき、実証に参画することとなりました。

 

トリプルエコロジーで一発耕起播種ができれば、さらに省力化が図れます

 大津町と菊陽町では、圃場に2~3 ヶ月間湛水し地下水をかん養する事業を行っており、うちでもそれに取り組んでいます。自然落水して乾田状態になってからにんじんを播種しますが、その場合、ロータリ等で数回耕起しなくてはいけません。それが省略できれば大幅な省力になると感じています。トリプルエコロジーは6枚爪のサーフロータリが付いているので、にんじんでも一発耕起播種が可能と考えています。今年は作業の段取りの関係で、昨年と同様に一度耕起をしてからトリプルエコロジーで作業を行いました。

 トリプルエコロジーでのにんじんの播種は、来年もやってみたいですね。トリプルエコロジー1台で稲麦大豆+にんじんの耕起から播種ができ機械台数の削減につながりますし、にんじんでも一発耕起播種作業ができれば、さらに省力化になると感じます。


実証調査担当者の声

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産地化されている「にんじん」で収益向上を図ります

 菊池地域には16の集落営農法人があります。どの法人も稲麦大豆が中心ですが、そこに収益性の高い露地野菜を導入できないか検討をしています。今回「にんじん」という作物を選んだ理由は、播種から収穫まで機械化されており、労働力が少なくても栽培できることと、大津・菊陽地域は県内で一番のにんじんの産地で、農協に選果場があり売り先も確保でき、収益向上の期待が持てるからです。そのような背景から「にんじん」を候補として実証することとなりました。

 

トリプルエコロジーだけで4作物の播種が行えることは課題の解決にもなります

 集落営農法人だと、稲麦大豆の作業が一段落つく頃ににんじんの播種作業が行えるので労働力の有効利用になります。しかし、4作物の播種作業には、それなりに機械が必要ですが、トリプルエコロジーだと、播種部分を取り替えるだけで4作物に対応できるので、機械を減らしたいというネットワーク大津さんの課題も解決できます。少し欲張りですが、あとはにんじんも一度で耕起・播種が行えれば理想的ですね。もし一発耕起播種ができれば、作業時間もおよそ半分程度短縮できますし、天候が不安定な条件でも合間を見て作業ができるメリットなどもあります。

 今後の目標としては、集落営農などに露地野菜の栽培が普及し、できれば法人への雇用という形で、若手の担い手が増えることや、にんじんの産地としての規模も広げられたら良いと考えています。


クボタ技術顧問による解説

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 菊陽・大津地域は稲の栽培をしない場所でも水をためている圃場があります。これらの地域では水田に水張りすることによって、熊本市の地下水を養っているのです。

 熊本市は美しい地下水が豊富にある街で、上水道は100%地下水でまかなわれています。その地下水は阿蘇から流れる水が田んぼをかん養してくれることによりできたものです。ですので、熊本市は菊陽・大津地域の農家に1 ヶ月間以上水田に水を溜め、地下水かん養を行った水田を対象に助成金を交付する事業を行っています。助成金の10a当り単価は湛水期間によって異なります(1 ヶ月間:11,000円、2 ヶ月間:16,500円、3 ヶ月間:22,000円)。このような事業は農家にプラスの収益となり、水田に水を溜めることで、作物の大敵である病害虫のセンチュウもいなくなります。この事業は、流域全体での資源維持、環境保全、地域農業振興に貢献していると考えます。


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 トリプルエコロジーでのにんじんの播種は、播種ユニットを交換するだけで行えます。同様に、稲麦大豆も同じように播種ユニットを交換するだけでよいので、同じトラクタとトリプルエコロジーが使えます。経営体にとって、1つでも多くの作物に対し同じ機械が使用できることは、機械にかかるコストが下がるので経営的にとてもプラスになります。

 ネットワーク大津様の主な経営は稲麦大豆だけでしたが、それだと冬場が比較的労力に余裕があり、その時間を有効に活用するため、栽培時期が稲麦大豆の作業とあまり重ならない冬にんじんを選択し、提案させてもらいました。収益性の高いにんじんの導入が経営的にもプラスになり、かつトリプルエコロジーでの播種を行うことで新たに大きな投資の必要がなく、経営的なメリットが出てくるという狙いです。

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