【クボタ ソリューションレポート No.19】不耕起乾田直播栽培に注目!担い手農家へ向けた現地検討会を開催! お気に入りに追加
千葉県香取市 乾田直播栽培
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クボタ ソリューションレポート #19

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【クボタ ソリューションレポート No.19】不耕起乾田直播栽培に注目!担い手農家へ向けた現地検討会を開催!

【クボタ ソリューションレポート No.19】不耕起乾田直播栽培に注目!担い手農家へ向けた現地検討会を開催!

平成30 年度全国農業システム化研究会現地実証調査
乾田直播栽培による省力・低コスト効果の実証
千葉県 香取農業事務所

 


 

 7月31日、千葉県香取市において、「平成30年度香取市地域水稲研修会」が行われました。研修会では、昨今の水田農業の担い手が不足する中で、労働負担軽減や効率的な農業経営の手法として、スマート農業や省力・低コスト栽培技術の検討が行われました。また、今年度の全国農業システム化研究会で実証調査を実施している大島様の圃場では、乾田直播栽培(以下乾直)の現地検討会も行われました。

 クボタからは、直播栽培とKSASを活用した経営発展について解説。鉄コーティング直播の普及状況や、乾直のメリットの他、KSASを核としたクボタのスマート農業への取組みを紹介しました。担い手農家様が抱える圃場管理・作業記録の負担軽減、省力・低コスト化、品質・収量向上等の課題を、ICTを活用して解決する提案を行いました。

 また、今回は5月1日の播種後からの生育状況についてもレポートします。


乾直は育苗の手間が省けるのが魅力です

 私達には、川沿いにある条件の良い圃場がところは少なく、山間地の谷津田(やつだ:谷地にある田んぼ)みたいな圃場が多いため、ほとんどがスマート農業の技術が活かせないような条件となっています。
 それでも今回研修会に参加したのは、地域の担い手として規模拡大を図るために、私達のような条件でも活用できる技術を見つけたいと考えたからです。
 今回の研修会で特に気になったのが乾直栽培の技術でした。この技術ならやってみたい、できそうだねと二人で話をしていました。神経を使う苗づくりの手間を軽減できたり、作業分散できる点が魅力でしたね。直播技術のなかでも、鉄コーティング直播は私達の地区では土壌条件が合わず、取り組むには難しい技術ですが、乾直なら私たちのような山間地でも導入可能な技術のように感じました。

常に新しい技術の知識を得て、一歩先の農業を展開したい

 乾直などの新しい技術を導入すると共に、圃場管理システムや、システムと連動できるKSAS対応農機も取り入れていかないとこれからの農業は生き残って行けないと感じています。地域のおじいさん達の経験豊富な知識なども、これからはデータとして蓄積していけば、振り返る事ができるので、栽培に活かすことができます。


苗立ち数、苗立ち率ともに目標の生育数を確保!
水を入れすぎない飽水管理で、出穂までに根張りを強くする

【 耳より情報 】

❶ 苗立率63%で、乾直での目標数確保
❷ これからの乾直の除草剤!ラウンドアップMRと、マーシェット乳剤の混合散布
❸ 飽水管理の徹底で、出穂前にしっかりと根の張った稲に仕上げる

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実証されたお客様の声

昨年より、雑草の数が少ないように感じます

 播種のときに、圃場の一部で少し柔らかいところがあって、播種深度が少し深くなったため出芽しなかった場所はありますが、全体的に見て出芽、苗立ちは満足しています。

 1回目の除草剤は、ラウンドアップとマーシェットを混合して散布しました。昨年より雑草は少ないと感じるので、除草剤の効果が高かったと思います。

 また、「雑草も肥料を吸って大きくなるので基肥を入れずに播種をするほうがいい」と他の地域で乾直をされている農家に聞いていたので、今年は雑草対策の一貫として播種前の基肥は入れませんでした。今年はこの除草剤効果と、施肥を行わなかった組み合わせで草が出なかったように思います。この体系を確立できれば、乾直の面積拡大に一役買ってくれると期待しています。


実証調査担当者の声

出芽の時期が遅れましたが、生育は良好です

 苗立状況は5月の下旬に調査を行いました。少し播種深度が深かったため、出芽が遅く心配でしたが、苗立数が㎡あたり87本、苗立率は63%ということで、出芽してみると比較的に芽は揃っていたので安心しました。幼穂形成期頃の生育では、草丈茎数ともに目標の生育量を確保できています。しかし、移植と比べると葉色が36とやや淡かったため、7月19日に追肥を実施しました。

 除草に関しては、ラウンドアップとマーシェットを混合した除草剤を散布したあと、雨が降ってしまい、水が溜まった場所の効きが少し弱かったように感じますが、それ以外はある程度抑えられたと感じています。


クボタ技術顧問による解説

出穂までにしっかりとした根を作るために、飽水管理を行ってください

 播種深度が深くなったところで、少し出芽が良くないところがありますが、全体的な揃いは乾直としては、いい感じに出芽しています。その後の生育も特別問題があったようには見受けられないので、しっかりとした水管理を行ったものと考えられます。

 出穂期も近づいているので、今後の水管理については、このままだらだらと水をかけ続けることがないことが重要です。湛水深が5cm程度でも夏場だと手を入れてみると水温がとても高いことがわかります。水温が高いと溶存酸素量も少なくなるため根は傷みます。根にしっかりと酸素を供給する管理を行うためには、明きょに水がある程度で、田面は手で触るとしっとりするくらい、いわゆる飽水管理を継続し、根の活力も維持します。穂が出てからでは新しい根はできませんので、この時期にしっかりと根を張らせる水管理を行ってください。


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