クボタ ソリューションレポート #18
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クボタでは、直進キープ機能付田植機による「まっすぐ密播」で、オペレータの負担軽減と作業効率をより一層高める提案を行っています。今回は、岩手県と青森県で「まっすぐ密播」に取り組む二人の経営者の声を現地レポートします。
【 耳より情報 】
❶ 大規模経営では、育苗、田植えの作業負担、労力不足が悩みのタネ❷ 密播によって苗箱数を減らして、春作業を見違えるほど楽にしましょう
❸ GS田植機による「まっすぐ密播」で快適、さらに労力軽減・作業効率アップ
❹ クボタ田植機は全機種で密播に対応可能。省力・高品質・安定稲作をサポートします
稲作経営の大規模化が進む中、育苗、移植作業が大きな負担となっています。そこで、作業負担を軽減しつつ、規模拡大を図るため、今、多くの大規模経営体が注目しているのが、密播苗移植栽培(以下密播)です。密播は、苗箱に高密度に種籾を播種し、1箱から多くの苗株をかき取って移植し、苗箱数を削減することで、作業の効率化と資材の削減を図る技術です。クボタでは、直進キープ機能付田植機(以下GS田植機)による「まっすぐ密播」で、オペレータの負担軽減と作業効率をより一層高める提案を行っています。今回は、岩手県と青森県で「まっすぐ密播」に取り組む二人の経営者の声を現地レポートします。
実証されたお客様の声【1】
課題だった労働力不足を補うため、密播を導入
密播を導入したきっかけは、労働力不足です。募集しても人手はなかなか集まりません。だから育苗作業を省力化できる密播に魅力を感じました。実際に取り組んでみたら、苗箱がすごく減って、しかも収量もそれほど変わらなかったんですよ。それで昨年度、ほとんどの面積を密播に変えて、今年度からついに全面積を密播にしました。
密播は、今まで乾籾で120gくらいだった播種量を250gで播いたんですが、それによって、10a当たり20箱ほど使っていた苗箱を11~12箱と、およそ半分に減らすことができました。今までは苗は12,000箱ほど作っていたので、苗運びがとても大変でした。それが7,000箱に減ったのですから、本当に楽になりました。
経験の浅いオペレータにも安心して作業を任せることができるGS田植機
苗箱数の大幅な削減に加えて、田植えの期間が短くなったことも非常に大きな効果でした。田植えは5月10日過ぎから始まりますが、終わりは6月10日頃までかかった年もありました。田植えが終わると、すぐ大豆の播種が控えていますので、田植え作業が長引くとけっこう大変でした。
保有する3台の田植機のうち2台がGS田植機です。まだ経験の浅い若い人にも作業を任せることができるようになって、オペレータの配置にゆとりができました。自動で直進してくれるので、オペレータの負担も軽減されます。後ろを振り返って植付状態を確認できるのもいいですね。深水でマーカー線が見えないところでもまっすぐ植え付けてくれるので、この機能はすごいと思います。従業員にとっては、身体も楽ですし、作業に余裕が生まれました。
密播とGS田植機を組み合わせることで、人手不足を補うという点からも、うちの経営に大きく貢献していると思います。
実証されたお客様の声【2】
鉄コ・乾直と組み合わせてさらなる省力化を目指す
直播20haに加えて密播を8ha導入 10a当たり約30箱の苗箱を約15箱に削減
密播は、昨年度の試験栽培を経て、今年度から本格的に取り組みました。今までは、規模拡大に対応して、鉄コーティング直播や乾田直播を導入することで、春作業の省力化と作期分散を図ってきましたが、基本は移植ですので、その移植部分の省力化として苗箱を削減できる密播は魅力的です。
私は、米づくりにはまず確実性を求めていて、普段植える水稲は、栽植密度で坪当たり70株、10a当たり28箱から30箱の苗箱を使用しています。10a当たり7~8箱にするとか極端に減らす気はないので、密播で14~15箱で植えて、確実に収量を取りたいというのが私の考えです。それでもその圃場については大幅に苗箱を削減できますからね。
今年の育苗は全部で13,700箱、その内、密播は、まっしぐらで8ha分、1,200箱の苗を作りました。播種量は、昨年は催芽籾で260gでしたが、今年は種籾が多めに手に入ったこともあり、300g(催芽籾)で播種しました。育苗日数は、約20日間、葉齢は2葉から少し超えたくらいの若い苗で移植しました。3葉を超えると老化してくる感じがしたので、このくらいで植えるのがちょうどいいのかなと思います。
人手不足・規模拡大に貢献できるGS田植機
今年、密播を本格的に導入しての感想は、予想以上に、作業体系を段取りよく考えないといけないということです。密播を播種した日から計算して作業体系を考えて、鉄コーティング直播の播種を例年より前倒しにして調整しましたが、密播を育苗から20日前後で植えるとなると代かきが間に合わなくなることもありました。そう考えると、うちのような直播・密播・普通移植という作業体系では、2,000箱くらいが限界かなという気はしています。
GS田植機については、人手不足対応に貢献できる田植機だと思っています。大面積を作付けする私たちにとって、労力を軽減してくれる大きな力となってくれます。後継者不足、人手不足が問題となっている農家が多いのが現実です。私のところでも今は父親が元気なので、現状の面積をこなせていますけど、これが誰か一人でもかければもう大変です。今後、一人当たりの負担も大きくなるので、機械化できるものは機械化して、従業員の負担を少しでも減らしながら、ゆとりある農業を目指していきたいですね。
クボタ技術顧問による解説
収量や品質を確保するため無理のない密播技術をご提案しています
密播によって、苗箱の数を従来の約半分にまで減らすことで、育苗だけでなく苗運搬、田植えの一連の作業が見違えるほどに楽になります。労働力や育苗ハウスの削減分を、栽培面積の拡大や、園芸など複合部門の充実につなげることもできます。
クボタでは、健苗育苗、安定稲作の基本に沿った密播をお勧めしています。無理な疎植や極端な苗箱の削減は、穂数不足による減収収量低下や、登熟のばらつきによる品質低下のリスクが高まるので、初めての方は、株数や1株本数を基本どおりとし、10a当たり9~11箱程度、播種量は、230~250g前後で取り組むのが良いでしょう。播種時期の遅れは出穂期の遅れに直結するので、遅れないよう注意しましょう。栽培の感覚さえつかんでしまえば、あとは自分で最適な栽培方法にアレンジしていくことができます。
密播に直播を組み合わせて、さらに労力軽減
根澤様、飯塚様ともに、これまで鉄コーティング直播や乾田直播に取り組んできましたが、規模が拡大する中で、移植栽培でも苗箱数を減らして省力化を図る必要があることから、密播に取り組んでいます。密播だけ、直播だけで省力化するのではなく、これらを組み合わせることによって、春秋の作業を分散し、さらなる低コスト効果を生み出すことができます。
お手持ちのクボタ田植機は全て、もちろん新型のGS機も密播に対応します
クボタの田植機なら、ほぼ全機種で密播に対応しているので、すぐに取り組んでいただけます。植付爪やプッシュロッドの交換も、専用の田植機も要りません。簡単な切り替えと安価な密播キットの装着だけで済みます。なお、新型田植機ナビウェル(NW8S/6S)では、横送り30回を標準装備しています。根澤様、飯塚様ともにGS田植機を組み合わせていますが、GS田植機は、密播との相性が良く、苗箱を減らした上にハンドル操作も楽なので、一層の疲労軽減を実感いただいていると思います。
病害虫のリスクに対応できる移植同時側条施薬機
殺虫殺菌剤の苗箱施薬が広く普及していますが、密播や疎植で苗箱数が減ると、本田面積当たりの施薬量が少なくなり、初期害虫の食害やいもち病感染のリスクが高まります。これに対応すべく、密播でも普通苗でも、苗箱数に関係なく面積当たり決まった薬量を施用できる「移植同時側条施薬機(SSY6/SSY8)」をご提供します。側条施肥機付きの田植機に限りますが、施肥と同じ場所に殺虫殺菌剤をしっかりと施用できる新しい方法です。