【クボタ ソリューションレポート No.15】鉄コ・密播に組み合わせて更なる作期・作業分散 大規模経営体で導入進むV溝乾田直播 お気に入りに追加
富山県 乾田直播(V溝乾田直播栽培)
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クボタ ソリューションレポート #15

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【クボタ ソリューションレポート No.15】鉄コ・密播に組み合わせて更なる作期・作業分散 大規模経営体で導入進むV溝乾田直播

【クボタ ソリューションレポート No.15】鉄コ・密播に組み合わせて更なる作期・作業分散 大規模経営体で導入進むV溝乾田直播

新技術の実証情報を現地レポート!

 


 

【 耳より情報 】

❶ 富山県での乾田直播の栽培面積は、V溝乾田直播を中心に約600haに拡大
❷ 既に鉄コ、密播を導入している大規模経営体がV溝乾田直播を導入
❸ 導入理由は、トラクタによる高速播種と移植同等以上を見込める収量
➍ デメリットは機械の初期投資の負担

 規模拡大が進む大規模経営体にとって、水稲の春作業の省力化は不可欠です。中でも育苗作業を省略できる直播への関心が一層高まっています。富山県では、平成29年度の直播栽培面積は約3600ha。その内訳は、最も普及している鉄コーティング直播が約1800ha、次いでカルパーコーティング直播が約1200ha、乾田直播が約600haとなっています。中でも、乾田直播は、その作業効率の高さと移植と同等以上の収量が見込めることから、同県では、愛知県農業試験場が開発した不耕起V溝乾田直播を中心に普及が進んでいます。

 今回は、V溝乾田直播について、昨年の試験栽培を経て今年度から本格的に導入する高岡市の㈱クボタファーム紅農友会様と、営農への導入を見据えて、今年初めて取り組む富山市の㈱GFM(グリーンファームマエダ)様の播種作業を取材、乾田直播への考え方をレポートしました。クボタファーム紅農友会様は、冬季代かきを基本とするマニュアル通りのV溝乾田直播体系で栽培しますが、前田様は、冬場に用水が使用できない圃場条件から、冬季代かきを行わず、春にプラウ・レベラー等による耕起・鎮圧を施す体系でV溝乾田直播に挑むこととなりました。


 

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V溝乾田直播を主食用米で10ha、
鉄コ直播を飼料用米で20ha 栽培

 直播栽培は、6年前から鉄コーティング直播に取り組み、育苗作業の削減を図るとともに、多様な品種を組み合わせることで、作期を分散して規模拡大に対応してきました。それでも煩雑化する作業の流れにバランスを取るために乾田直播の導入を検討。北陸近畿クボタの提案もあり、雑草対策が確立している技術体系が良かったので、愛知県農業総合試験場が開発した冬季に代かきを行うV溝乾田直播を選びました。

 昨年、V溝乾田直播を30a試験的に栽培し、播種機の取り扱いや水管理、雑草対策等の栽培管理を学習。移植栽培と遜色ない収量が得られたことから、今年度から本格的に10ha栽培することにしました。乾田直播の予定圃場は、昨年の11月下旬から12月上旬に、耕起、代かきを行い、その後、圃場には何も手を加えず今回の播種作業を迎えています。品種はすべて主食用米のコシヒカリです。ちなみに今年度の鉄コーティング直播は、飼料用米として、やまだわらを20ha作付けします。

 

除草剤はラウンドアップマックスロードと
マーシェット乳剤を混合して散布

 播種後、出芽前に除草剤を散布します。ラウンドアップマックスロードとマーシェット乳剤を混合し、ハイクリブームで散布します。ラウンドアップマックスロードは茎葉処理剤で出てる草をたたき、マーシェット乳剤は土壌処理剤なので後から出てくる草を抑えます。稲が2葉になったら入水し、その後に生えてくる水田雑草は初中期一発剤、その後、ヒエと広葉の雑草があれば、通常のようにクリンチャーバスでたたけばいいという考えです。うまくいけば、クリンチャーバスは散布しないでいいかもしれません。

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乾田直播に取り組む理由は、
トラクタでの高速播種と移植と同等以上を見込める収量

 この地区では、冬場に用水を止められて代かき作業ができません。そのため、富山県で普及が進んでいる愛知式のV溝乾田直播は、冬季代かきを基本とする技術なので、うちでは無理だと思っていました。乾田直播に取り組んでおられる農家さんから、トラクタでの播種は春作業が楽になるし、収量も移植と同等以上取れると話を聞いていたので、できれば自分で取り組んでみて、実際のところ、良いのか悪いのか判断したいと常々考えていました。そこで北陸近畿クボタの大石さんに相談したところ、代かきをせず、プラウ耕起+バーチカルハロー砕土+レベラー均平・鎮圧体系で試験的に取り組んでみませんか?と提案を受けたので、今年、90a栽培し、結果を見て来年度の本格導入を検討することにしました。

良い技術、機械を自ら実証し、
経営に取り入れていくことで経営発展につながる

 乾田直播は初期投資が大きいと言われますが、私のところは大豆を栽培しているので、必要な機械はV溝播種機だけです。資材費は移植よりかからないですね。導入されている方は、収量が移植より1俵ほど多いって言いますね。考えてみれば多く種籾を播いて、条間も狭いですからね。多くて当然かとも思います。それに乾田直播は倒れにくいとも聞いてるので、安心して栽培に取り組めると思っているんです。

 私は良い技術、機械はどんどん導入すべきと考えています。そうすることで、規模拡大に対応できたり、経営発展につながるんだと思います。鉄コ直播や密播、GS田植機がいい例です。乾田直播もとにかくやってみないとわかりませんからね。トラクタで播種して米づくりが出来るのが魅力ですよ。今日、V溝播種機での初めて播種は、慣れるまで3km/hくらいで作業していましたが、最後には速度を5.6km/hまで上げて播種しました。作業が速いし、とにかく楽でしたね!代かきをしていないのでうまく播種できるかは少し不安でしたが、溝もきれいに切れて良い状態だと思います。出芽が楽しみです。

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