クボタ ソリューションレポート #51
スマート農業加速化実証プロジェクト
宮城県|
稲|
宮城県が代表をつとめる『超低コスト「輸出米」生産実証コンソーシアム』では、労働力不足、急速な集積・集約等地域農業が抱える様々な課題を解決すべく、東松島市野蒜地区の(有)アグリードなるせ様のほ場にて「スマート農業実証プロジェクト」に取り組んでいます。今回は、2019年8月に開催された「スマート農業機械現地実演会(第2弾)」の様子をレポートします。実演会では、自動航行で防除作業をさらに進化させる農業用ドローン、遠隔操作で草刈り作業を快適にするラジコン草刈機、水田の給水や排水を思いどおり自動制御できるほ場水管理システムWATARAS等が紹介されました。
会場には、生産者や関係機関の担当者約150名が参加。報道関係も数多く見受けられました。宮城県農政部の佐藤部長は、「今回紹介したスマート農業の技術は、水稲移植後の基本作業である水管理や雑草管理,防除作業を省力化できる技術です。
担い手の高齢化や減少が進む中,宮城県の稲作を守っていく上で重要な技術になると考えています」とあいさつ。10月には第3弾として収穫作業におけるスマート農業機械技術の現地実演会も予定されています。
●開会あいさつ ~宮城県農業の未来にはスマート農業の普及が重要
宮城県の沿岸部では、震災からの復興の過程で、大規模な土地利用型農業が増えてきています。100haを超える大規模土地利用型農業法人が今年3月時点で昨年度より6法人増えて26法人となり、益々大規模化が進んでおります。そのような中で、大きな面積を限られた人数で作業しなければならないとか、農山村では少子化の影響からさらに担い手が減少するなど課題も山積しており、スマート農業は、大規模な法人で、今後しっかり農業をやり続けるには非常に大事な技術だと思います。宮城県としても、これからの農業をしっかり守っていくために、スマート農業を県下全域に普及していくことが重要であると考えています。
今回の実証は、水管理、ドローンを活用した防除やラジコン草刈機といった、もちろん大規模法人でも力を発揮しますけど、中山間地域などの小規模な法人でも役に立つような技術を、メーカーの担当者から詳しく説明しながら、使い 方やメリット等について発信していきたいと思います。ご参加された皆様は、ぜひ本日の技術を持ち帰っていただき、生産者の方はご自身の営農への展開、関係機関の方は地域への普及をご検討ください。
研修会内容 ❶マルチローター(ドローン)の活用 講師:株式会社ケーエス
❷給排水遠隔制御装置(電動アクチュエータ)の仕組み 講師:株式会社クボタケミックス
ほ場水管理システムを活用し、水管理にかかる労力削減を検証したい
夏場の水田管理は重労働です。特に水管理は朝早くからすべてのほ場を見回り、バルブの開閉を行なっています。その日の気温、天候によって、昼、夜問わず開閉に時間を費やしているのが現状です。そのような状況ですから、水田管理においては、ほ場の給排水を自動制御できるほ場水管理システムWATARASに大いに期待しています。
近年、猛暑やゲリラ豪雨等の異常気象が増えていますが、例えば高温障害を回避するために、水管理によって夜間ほ場を冷やすこともできます。間断かん水は稲の生育管理には非常に大切なことなのですが、それが手軽に自動で出来るとなれば、このような好条件はないと思います。また、作業履歴がデータとして蓄積されることも、大きなメリットだと思います。
筆数が多くなると、バルブの開閉忘れも増えるわけです。WATARASなら、そのような作業ミスが解消され、用水のロスが軽減できます。水管理にかかる労力が国の報告では8割程削減になるということですけど、その辺どの程度まで削減で きるか、私たちは期待を持って検証していきたいと思っています。
大規模稲作において、いかに水田管理作業を省力化できるかが最大の課題
今後、担い手が減っていく中で、少人数である程度の面積をカバーしなければならないので、管理作業をいかに省力化できるかということが最大の課題ではないかと考えています。農業用ドローンに関しては、まずは散布作業の省力化です。今回、規制緩和によって新たなガイドラインが示されましたが、少ない人数で効率的な散布作業が可能になりますし、低コスト化も含めた実証が出来るのではないかと考えております。
また、今後、リモートセンシング、生育状況に応じた施肥であったり、農薬、病害虫防除というところでの効果っていうのも見込めると思っております。
ラジコン草刈機については、農地の集積によって夏場の除草作業にかかる負担が大きくなってくる部分があるので、そこを省力化できればいいかなと思っております。こうしたさまざまな技術導入で、全体的な作業負担をいかに減らすかによって、品質であったり収量も上がってきますので、今後さらに技術開発が進むことを期待しています。
作業実演❶マルチローター(ドローン)による農薬散布
優れた位置精度による自動散布で作業効率が格段に上がり農作業の省力化を実現
●リモートセンシングドローンにカメラを搭載して飛行・撮影することで、ほ場の生育マップを作成し、作物の状況を把握できる最新のテクノロジー
●自動航行による農薬散布
地図から散布エリア(ルート)を設定することで、自動航行による農薬散布も可能
作業実演❷ラジコン草刈機による除草作業
斜面に立つことなく、安定した場所から機体を操作。安心、楽々、ほこりの影響もなく、より快適に草刈作作業
●最大の法面角度40°対応重心位置を機体の山側にするとともに谷側の車輪幅をワイドにすることで、40°の法面でも安定した作業が可能
▶農業用ドローン 製品情報はこちら
→https://agriculture.kubota.co.jp/product/kanren/index_drone/
▶ほ場水管理システムWATARAS 製品情報はこちら
→https://agriculture.kubota.co.jp/product/kanren/wataras/
▶ラジコン草刈機 製品情報はこちら
→https://agriculture.kubota.co.jp/product/kanren/grasscutter_radicon/
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