農業生産法人や個人事業主となっている農家の皆さんの設備投資に活用できる「生産性向上設備投資促進税制」と「中小企業投資促進税制の上乗せ措置」について解説!
(この記事は、平成26年6月発行のクボタの営農情報誌『U(ユー)元氣農業 No.29』を元に構成しています)
1はじめに
本年1月20日、産業競争力強化法が施行され、それに伴い、「生産性向上設備投資促進税制」及び「中小企業投資促進税制<上乗せ措置>」の運用が開始されました。この制度を活用することで、農業生産法人や、個人事業主となられている農家の方が、一定の要件を満たす農業機械やソフトウエア等の機械装置等を取得した際に、税制上の優遇措置を受けることができます。
2生産性向上設備投資促進税制 ⑴対象設備
ア.先端設備
「機械装置」「工具」「器具備品」「建物」「建物附属設備」「ソフトウェア」で、
①最低取得価額以上、②最新モデル、③生産性向上1%以上のものをいいます。中古、リース、レンタルは対象外となりますので、注意が必要です。
❶ 最低取得価額
最低取得価額は、設備種類毎に設定されています。価額は税込価格です。
❷ 最新モデル
以下のいずれかのモデルをいいます。
●一定期間内(機械装置:10年以内、工具:4年以内、器具備品:6年以内、建物及び建物附属設備:14年以内、ソフトウエア:5年以内)に販売が開始されたもので、最も新しいモデル
●販売開始年度が取得等をする年度及びその前年度であるモデル
❸ 生産性向上1%以上
旧モデル(最新モデルの一世代前モデル)と比較して、「生産性」が年平均1%以上向上しているかどうかで判断されます。「生産性」の指標については、以下のようになっています。
イ.生産ラインやオペレーションの
改善に資する設備
「機械装置」「工具」「器具備品」「建物」「建物附属設備」「ソフトウェア」で、①投資計画における投資利益率が平均15%以上、②最低取得価額以上のものをいいます。
2生産性向上設備投資促進税制 ⑵税制措置の内容
①平成26年1月20日から平成28年3月31日までの期間については、即時償却と5%の税額控除(建物・構築物は3%)のどちらかが選択できます。
②平成28年4月1日から平成29年3月31日までの期間については、50%の特別償却(建物・構築物は25%)と4%の税額控除(建物・構築物は2%)のどちらかが選択できます。
税額控除額は、当期の法人税額の20%が上限です。上限を超えた分は1年間の繰り越しが可能です。
3中小企業投資促進税制の上乗せ措置
中小企業者等(資本金1億円以下の法人等及び個人事業主)については、「中小企業投資促進税制」により「先端設備」導入等に対して新たに上乗せ措置が適用されます(従来よりもさらに措置内容が拡充されます)。
⑴対象施設
中小企業等の生産性向上に向けた以下の設備投資が対象となります。
⑵適用対象となる方
青色申告者である中小企業者等(農業生産法人等及び個人事業主農家も含まれます)です。
⑶税制措置の内容
この上乗せ措置により、資本金3,000万円以下の中小企業者等では即時償却(従来:50%特別償却)と税額控除10%(従来:7%)のどちらかが選択でき、また、資本金が3,000万円を超え、1億円以下の中小企業者等では即時償却(従来:50%特別償却)と税額控除7%(従来:税額控除なし)のどちらかが選択できます。
以上の内容を図に示すと以下のようになります。
4その他
⑴適用期間
平成26年1月20日以降に取得をし、事業の用に供した設備が対象になります(平成28年度末までが適用期間となります)。
⑵本税制の適用を受けるためには、税務申告の際、確定申告書等に、要件を満たしていることの確認を受けた証明書を添付して税務署に提出することが必要です。
5おわりに
以上のように、本税制は、トラクタ等の農業用機械等のご購入をされるお客様に大きなメリットとなります。本制度の適用を受けるのに必要な証明書の発行については、クボタの担当者にお問い合わせください。
■参照ホームページ
経済産業省:http://www.meti.go.jp/policy/jigyou_saisei/kyousouryoku_kyouka/seisanseikojo.html