大豆300Aレポート#03
大豆|
水田輪換畑で大豆の単収300kgを目指す、前田様の排水対策をご紹介した前編に続き、今回は、クボタの足立一日出技術顧問からのワンポイントアドバイスをご紹介。
水田輪換畑での大豆栽培は、地表排水と地下排水、それぞれの対策が重要です。
(この記事は、平成27年3月27日発行のクボタの営農ソリューション『大豆300AレポートNo.1』を元に構成しています)
クボタ技術顧問が動画でワンポイントアドバイス!→解説動画はこちらから
地下排水について
この圃場は粘質な土壌で、作土層は15cm、耕盤層は20cm 前後にあります。排水路の水位が低く、地下水位も低いため、硬い耕盤層を壊し、土中の水がきちんと排水できるように、横方向の補助暗きょとして、深さ40cm でカットドレーンを入れました。カットドレーンはその名の通り、土を切って孔を開けていきます。粘土質で水分が多い圃場で弾丸暗きょを行うと、孔の位置が耕盤を破砕した真下にあると潰れやすい傾向にあります。 しかし、カットドレーンは孔の位置が耕盤を破砕した横にあるので、孔が潰れにくく、重粘土や泥炭土などの多湿な土壌で効果が確認されています。
耕盤破砕と復田について
排水性が悪い湿田では、畑作物は根で土中の酸素を吸って生育していくため、カットドレーンやサブソイラなどで耕盤を破砕して大きな間隙をたくさんつくり、排水性を良くすることが大豆栽培において重要です。また、大きな孔隙は水稲に戻した時、適度な縦浸透を与え土壌の還元化を和らげ、根の伸長に役立ち、水稲の生育に良い影響を与えます。
水田輪換畑の場合、耕盤破砕をすることで、水田に戻した時の水持ちの悪化を心配される方もいますが、この圃場は粘土が比較的多いので、代かきだけでも浸透抑制はできます。ただ、下層が砂礫層で田んぼの水を耕盤層で保持しているようなところは、耕盤を壊すと戻すのは大変ですので、作土や下層土の条件、地下水位などから検討する必要があります。
地表排水について
豪雨が全国どの地域でも頻繁に発生していることから、大豆を豪雨から守るためには、地表からの排水対策が最も重要になります。降った雨の多くは、土壌中への浸入速度が遅いため、地表面から排水することがポイントで、一番簡単にできるのが、額縁明きょによる排水対策です。