2014年にデビューした食味・収量測定機能搭載コンバイン。刈取り時にモミの水分量とタンパク含有量、そして収量を測定し、そのデータをほ場毎にKSASで管理することができます。食味・収量コンバインとKSASの連動で、どんなメリットが生まれるのか。いち早く利用された富山県の担い手の皆さまに伺いました。
予想外の結果が、課題を明らかにしてくれる ~S様~
これからの農業には数値化が必要ですね。実際、管理している圃場にはあまり良くないと思っていた場所もありますが、この度KSAS対応コンバインでそこの圃場を刈り取ってみると、意外とタンパク含有率の数値が良かった。そんな折、その近くで「今年はやらないと言っている圃場があるがそこを請け負ってみないか」という打診があった。そこは条件が良くないと思いこんでいた土地でしたが、実は結構な品質のものが作れると言う自信を得られたので、引き受けることにしました。
KSASの稼働情報で、あるオペレーターの作業状況を追っていると、これ以上刈り取ってももう乾燥機はいっぱいだから無理だ、という判断ができました。ですからオペレーターに連絡ができ無駄な作業をしなくて済みました。これは大きなメリットです。
GAP(農業生産工程管理)の必要性を感じています。やはりどこかと取引をする上でそういう資格があったほうが上手く物事が進みます。実際に仲介業者などからはGAPに取り組んでくれと言う要請もあります。時代なんでしょうね。そういった意味でKSASがGAPへの取り組みのプラスになる事はあると思います。
今までは作業日誌を、作業を終えて戻ってから書いていました。ときには1週間もためて書いていたりもしました。それだけ書き留めておくということが大変だったのだと思います。KSASは作業履歴がそのまま日誌なるので、非常に助かっています。ひょっとすれば人ひとり分ぐらいの省力化ができているかもしれません。
あらためて食味目標ができた ~Y様~
今回KSAS対応コンバインで食味を測ったら、タンパクの含有率が想定を超えるような値が出ました。これに刺激されました。試験の結果を突き付けられているようで、でも自分の目標に向かってやろうという気になりました。この結果が出たことによって、来年は肥料メーカーとも相談して施肥設計をしたいと思います。また、今回の結果によって肥料の入れすぎ、といったようなところは肥料を減らす。それが低コスト農業の1番の在り方だと思います。通常通りこの田んぼには、一反あたり何キロといったような、セオリー通りの農業ではダメだということを、今回のKSASで気付かされました。
どんな肥料を入れたか、どんな農薬をまいたか、またこれがどういう流れで消費者に届くかと言うことの明確化、といったところが求められてきます。取引会社からもあなたのところはどのように?と言われる。だからGAPにも取り組んでいかないといけないと思っています。データで示さないといけないんですよね。
とくに今が米価の低迷と言う中で、おいしいものを安定して供給できなきゃ無理だなと感じています。また米については先行き不透明なところも多いので、胸張って市場に出せるようなものを作っていかないといけない。KSAS対応コンバインでタンパクの含有率が出せるって言ったような事は、非常に有効なことだと思います。
私も冬に東京のマルシェに出店して、お客様とのコミュニケーションをとって、何が求められているのかっていうことを調査しました。どういった味なのか、どういう作り方なのか、って言うことを聞かれました。そこでもデータで示せれば、とつくづく思いました。同じ作り手が軒を並べるマルシェで、もうひとつ感じたことは、同業他者と差別化できるような作り方。そう考えるとKSASがそのツールとなりえると思います。
「おいしいね」の声を引き出すKSAS 〜T様〜
米を販売するには、やはり安全と味です。そうあれば多少高くても買っていただけます。実際購入頂いたお客様から「おいしいね」の声もよく聞きます。その声を聞くためにはこのシステムは必要だと感じました。タンパクの含有率が刈取時に分かる、これが味の裏付けになり、それが履歴に残ることが安全を証明する。ここに利があると思いました。また、みんなここの米はうまいというのは知っているのだけれど、じゃあどこの田んぼのがうまいかまでは知らない。だから1枚1枚個別の圃場管理ができない。かなり大雑把な管理しかできないのが現状です。そこをもっと細かな管理を可能にするのがKSASだと認識しています。
『食の安全』を調べているうちに世界標準のGAPに行き着きました。生産物の安全、圃場の安全、労働の安全を確保するためには生産工程の管理が必要であり、そして、そのためにはICT農業が不可欠であるということに。クボタの展示会でKSASのカタログを見た時、これだと思いました。理事会で協議し入会を決意しました。このカタログを見たとき、クボタもこれからの農業ビジョンをしっかりと見据えていると思いましたね。
KSASを使って行動や作業内容が見える化することで、データをもってしてディスカッションができ、17名の組合員の営農に対する意識のベクトル合わせがしやすくなる。これは経営にも有効ですね。
今からは、今年採取した食味や収量のデータを分析し、今年の課題を出し、来年の施肥計画等を行います。KSASはこのような単年度のデータを複数年で比較するとどうなるか、また課題改善のやり方がどうだったのかを経年で見ていける。年を追ってデータが蓄積されれば、ビッグデータとなりその活用も多岐にわたると思う。KSASに期待します。
田植機もKSAS対応機(施肥量電動調量ユニット後付けタイプ)を購入しています。これで今回の刈取時の食味データから、施肥設計し直した分量で設定し無駄な施肥散布はせず、低コスト化につなげたいと思います。
KSAS通信4号の続きはこちらから!
→
https://ksas.kubota.co.jp/voice/ksas004.html