時間と手間のかかる野菜作の中間管理作業。近年、作業の省力化・軽労化のために、さまざまな機械化が提案されてきています。除草・中耕・追肥・土寄せ・防除作業など、野菜作の中間管理作業におすすめの機械をご紹介いたします。
(この記事は、平成26年12月発行のクボタの営農情報誌『U(ユー)元氣農業 No.30』を元に構成しています)
1はじめに
農業の担い手が少なくなる中で、農作業の省力、軽労化、快適性は農業関係者にとって大きな課題です。
その中で、水稲作に比べ、野菜作は品目が多く地域性が強いため、機械化が遅れていましたが、最近様々な分野で広がりを見せています。
露地野菜の中間管理も、この数年で様々な機械化が提案されています。品目によって作業に違いがありますが、大きく分けると、除草、追肥、中耕、土寄せ、防除などがあります。
2機械除草
前作で雑草が繁茂している圃場では、雑草の種が圃場に多く残り、野菜を植えるために耕起すると、雑草が芽を出します。また、土に埋まっている雑草の種子は、その後の作業で土がかき回され、埋没雑草が発芽します。〔表1〕。
このようにバラバラと発芽する埋没雑草の除草作業は大変です。また、梅雨時期の除草作業ができない時は雑草が急激に育ち、野菜の生育を阻害します。
また、消費者が求める食の安全・安心に対応した特別栽培農産物ガイドラインに沿った野菜生産の動きが広がっています。そのガイドラインでは、農薬の使用量を慣行栽培の半分以下にするよう定められており、除草剤についても使用回数等を表示することが必要になります。〔表2〕。
その除草剤の代替案として、環境にやさしいタイン型除草機を提案します。株周りの雑草だけを引き抜いてくれる優れものです。
キャベツ栽培で手取りで除草した場合の9分の1で除草作業ができ、省力・軽労化を実現できます。〔図1〕
3中 耕
定植後、雨が多いと、土の種類にもよりますが、土壌の表面が固まってしまうことがあります。野菜は全般的に根の酸素要求量が大きいため、このような土壌状態になると生育が悪くなり品質・収量に影響します。
また、温度が高いと根の酸素要求量が高くなるため、夏から秋にかけてその影響が大きくなると考えられます。〔図2〕
そこで、中耕作業を行う時も、タイン型除草機に装着すれば、除草と中耕が同時に行え、省力化が可能になります。最近の天候不順で作業時間が少ない時に、非常に有利になります。
4追 肥
中耕とセットで行うのが追肥作業です。肥料を土に混ぜて初めて硝酸化成が始まり、作物に吸収されすい形となるため、今までは、追肥を行ってその後に中耕するというのが作業の流れでした。
この中耕と追肥という二つの作業の省力化を目指し、施肥と中耕・除草機メーカーが参画して機械化一貫体系を実現しています。
5土寄せ
キャベツ、ハクサイ、ダイコン、バレイショ等は、マルチをしていない時には根元に土寄せを行い、株の倒伏を防ぐとともに排水性を良くします。
作業の機械化では、乗用管理機に除草、施肥、土寄せなどを同時にできるように工夫されています。
根深ネギでは、ネギの軟白を促進するために3~4回土寄せを行います。最後の土寄せでは、ネギの草丈も伸び、土寄せでうねも高くなっているので、最低地上高の高いハイクリアランス仕様の乗用管理機が有効です。
6防 除
農業者が農薬で被爆をするという危険を極力減らすために、作業機械はキャビン仕様がおすすめです。
また、車速連動して精密に農薬散布できる作業機械もあります。この装置は将来的には防除作業と同時に、農薬の種類、濃度、散布量、同一作物への散布回数等が自動的に記録できるシステムと連動し、トレーサビリティ、GAP等に寄与することが考えられます。
機械化で効率よく中間管理作業を行い、経営をより安定させましょう。