【クボタファーム探訪】入り口から出口まで農産物を プロデュース<群馬県前橋市 おれん家農園> お気に入りに追加
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クボタファーム探訪

群馬県|

【クボタファーム探訪】入り口から出口まで農産物を プロデュース<群馬県前橋市 おれん家農園>

【クボタファーム探訪】入り口から出口まで農産物を プロデュース<群馬県前橋市 おれん家農園>

1都9県をサポートする「㈱関東甲信クボタ」は、クボタが全国13カ所で展開する「クボタファーム」の一つとして「おれん家(ぢ)農園」を群馬県前橋市で運営。先行して手掛けた直売所「おれん家ふぁ~む」と連携し、栽培、商品企画、販売など"入り口から出口まで"農産物のプロデュースを実現しています。設立の経緯や目指す農業について、お聞きしました。
(この記事は、2019年8月発行のクボタふれあいクラブ情報誌「ふれあい」40号を元に構成しています。 )

 


 

施設の展示場で栽培方法などの実証の場

 関東平野の北西、赤城山のふもとに、「おれん家農園」はあります。2016年に設立され、3棟のビニールハウス、畑、作業棟などを合わせた敷地面積は約1町歩。
 「先端技術を集めた施設の展示場であり、収量増と付加価値のある農産物の栽培をめざす実証農場でもある。新規就農される方への営農提案の場としての役割も果たせる」と、大和經宜代表取締役社長は話します。
 ハウスは無柱、軽量鉄骨、普及型パイプハウス――と全て違うタイプ。クボタのアイメック栽培システムを使ってトマト「アイコ」を栽培するほか、「おれん家栽培システム」と名付けたポットによるトマト栽培など、様々な栽培方法を実践し、出荷する傍らデータを蓄積、生産者へ還元・提案しています。

 「1ℓの人工培土を入れたポットで1本の苗を育てるポット栽培は、苗4千~5千本に対して水分センサ1つあれば、水分量を自動調整できて、病気が出ても1本処理するだけでいい。苗から作るので小ロットで多品種を作ることもできます」と農場長の後藤大悟さん。福岡の種苗小売会社に15年勤務した経験を生かし、栽培計画、施肥設計など全てを担当。換気システム「換気王シリーズ」、ヒートポンプ空調「ぐっぴ~バズーカ」、CO2施肥機「ダッチジェット」などをフルに活用して、アルバイト2人と計3人で農園を維持管理しています。
 「水や土の管理が最も難しいプロのノウハウ。そこが自動になれば、週末休みや9時~5時労働も実現できるはず」と話します。「ただ、機械だけに頼らず、人が見る部分、する部分を残して、少しでも人の経験値を上げることも大切ですね」。

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直売所は農場、農家と連携 特徴ある品ぞろえ

 農場から車で20分ほど、JR両毛線前橋大島駅にほど近い「おれん家ふぁ~む」は、同社直営の農産物直売所。2013年、「地元の農家に農産物の販売をしてもらうため、販路を確保しようと始めました」と同社新規事業推進部の深石浄治部長。
 農家との取り引きは少しずつ増え、今では扱い商品の約90%が委託品で、取引先農家は群馬、栃木、茨城、埼玉、長野、山梨、静岡などに250軒を数えるまでに。直取りならではの鮮度の良さをはじめ、前橋市の推奨農産物「赤城の恵み」ブランド商品や群馬県認証ブランド商品、地元産健康食品、北関東・東北・山梨・信州の国産ワインなど、特色ある品ぞろえで地域に溶け込んでいます。
 また、外食チェーンなど販路開拓にも取り組み、まずは依頼のあった作物を農場で栽培し、軌道に乗れば取り引きのある農家に栽培を委託するなど、農場―農家―直売所をうまく連携させています。
 更に、店内の野菜や果物を使ったバイキングレストランも行列ができる人気ぶりです。ワークショップやあまざけ・塩こうじ造り教室などのイベントも開催しています。

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実験や改善の繰り返し 日本の農業を守りたい

 「だめだったらやめる。悪い結果の中にも気づきや学びがあります」と大和社長。
 「農産物の入り口から出口まで」、このユニークな取り組みに、今では全国から企業や福祉施設の視察が絶えません。
 「『豊葦原千五百秋瑞穂国』という言葉が古事記・日本書紀の時代から見られるように、農業は古くから日本の大切な産業で、日本人にとっての精神的なよりどころでもあります。農産物を全て外国から買えば良いというものではありません。日本農業を守りたい。農機や施設を通じておつきあいいただいている農家の方々への恩返しをしたいと思っています」と笑顔を見せました。

クボタファーム探訪 バックナンバー
#01 兵庫県養父市 クボタeファームやぶ
#02 富山県高岡市 株式会社クボタファーム紅農友会
#03 福岡県嘉麻市 株式会社FKKファーム

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