最近、「第4次産業革命」※という言葉を耳にしますが、これは、現在進行中の、IoT、ロボット、ビッグデータ、AIなどの技術の利用によるイノベーションのことです。
※18世紀末に英国で始まった蒸気機関による工業化のことを第一次産業革命、19世紀末から20世紀初頭の大量生産革命を第2次産業革命、20世紀後半からのオートメーション革命を第3次産業革命と呼んでいます。
(この記事は、2019年6月発行のクボタの営農情報誌『U(ユー)元氣農業 No.37』を元に構成しています)
第4次産業革命とスマート社会
第4次産業革命が進展した先には、「超スマート社会」、いわゆる「society 5.0 」が実現すると言われています。具体的には、①大量生産・画一的サービス提供から個々にカスタマイズされた生産・サービスの提供、②資源・資産の一層の効率的な活用、③AIやロボットによる労働の補助・代替などが可能となるとされています。
農業においても、超省力・高生産なスマート農業を実現することが可能になると期待されています。
世界的に注目される農業イノベーション
2030年には85億人まで増加すると予想される世界人口に対して食料を安定的に供給し、気候変動や資源・環境問題に適切に対応した持続的で生産性の高い農業を実現していくという観点から、世界的にICTやデジタル技術を活用した農業のイノベーションが注目されています。今年5月に新潟で開催されたG20の農業大臣会合でもその重要性が強調されました。
欧米において進展するスマート農業
米国や欧州諸国においては、人手不足や労働コスト削減の観点から、ロボット農機の開発・導入が進んでいます。例えば、米国では有人コンバインとトレーラーをけん引する無人運転トラクタを組み合わせ、1人で収穫作業ができるシステムなどが提供されています。欧州でも、自動除草機械、イチゴ収穫機等の開発が進んでおり、搾乳ロボットはオランダの乳牛の30%で使用されています。
また、持続的で環境に配慮した農業の推進という観点から、ドローンを利用した生育状況等のセンシングや気象データを活用した精密農業により、肥料や農薬の過剰使用を防止することや、特に乾燥地を中心に貴重な水資源を有効に利用する取組みが進んでいます。
我が国のスマート農業
国内では、近年、人工衛星からの位置情報を利用したガイダンスシステムや自動操舵装置、直進キープ機能付田植機等の導入が進み、人手不足への対応や作業者のストレスの軽減等に役立っており、直近ではロボットトラクタ、ロボットコンバインの販売も始まりました。
また、センシング技術や営農支援システムは、土壌・気象の条件に応じたきめ細かな栽培管理を可能とし、収量や品質の向上とともに環境負荷の軽減にもつながっています。さらに、水管理労力の軽減と節水の可能な自動給水栓、きつい作業や危険な作業から解放してくれるアシストスーツや除草ロボット等も農業現場で活用され始めています。
スマート農業のための支援体制・環境整備
このような中で、農林水産省では、2025年までに農業の担い手のほぼすべてがデータを活用した農業を実践することを目標に、2019年度から農業現場でスマート農業技術を実際に導入してその効果を実証する2年間のプロジェクトを全国69地区で開始しました。このプロジェクトは、現在利用可能な最先端の技術を地域の課題に応じて導入するものとなっており、輸出米産地形成のための超低コスト生産や中山間地域の特色ある米づくり等につながることが期待されます。
加えて、「農業新技術の現場実装推進プログラム」を策定し、農業経営の将来像を具体的に示し、その実現に向けたロードマップとその推進方策を公表しました。推進方策では、「知る」段階としては農業大学校生・農業高校生に新技術に関する授業を受講できるようにすること、「試す」段階としては実証圃場で体験できるようにすること、「導入する」段階としては相談窓口の開設をすること等が挙げられています。
また、実装促進に向けた環境づくりとしては、自動走行農機等の導入・利用に対応した農地整備や5Gを含めたICT利活用基盤の整備を進めるとともに、農業者がデータを使って生産性向上や経営改善に挑戦できる環境を生み出すことができるよう農業ビッグデータの活用に向けた農業データ連携基盤(WAGRI)へのデータ蓄積等を進めることとしています。さらに、新技術を発展させるため、産学官が集結した新技術の開発・改良のためのオープンイノベーションを推進するとともに、自動走行農機の安全性確保策やドローンの利用拡大に応じたルールの見直し等を行うこととしています。
「クボタスマート農業」への取組み
クボタは、ロボットトラクタ等の「スマート農機」と鉄コーティング直播、乾田直播、密播などの営農技術を組み合わせ、超省力・高品質生産を実現する「クボタスマート農業」を目指しています。2019年度から開始されたスマート農業実証プロや研究プロジェクトに積極的に参加し、スマート農機の社会実装に貢献していくこととしています。
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