5月11日、12日の2日間、G20 新潟農業大臣会合の開催に合わせて開かれたイベント、「AGRI FES NIIGATA (アグリフェス新潟)」。「未来につなぐ農業の今」をテーマに、新潟クボタが特別協賛しました。会場となった新潟日報メディアシップでは、昨年放映のドラマ「下町ロケット」でも話題となった自動運転トラクタ(アグリロボトラクタ)やドローンを展示。また、講演やパネルディスカッションも同時開催され、重労働のイメージが強かった従来の農業の姿を大きく変えようとしている「スマート農業」に大きな関心が集まっていました。
G20新潟農業大臣会合に合わせたイベント「アグリフェス新潟」に、 スマート農業を積極的に進めてきた新潟クボタが特別協賛!
今年6月、大阪で開催されるG20サミットの関係閣僚会合として開催された「G20新潟農業大臣会合」。開催地となったのは、国内最大の水田面積を持つ新潟市です。新潟市は、食料自給率が政令市ナンバー1、農業産出額では全国ナンバー1とまさに大農業都市。2014年には「大規模農業の改革拠点」として国家戦略特区の指定を受けました。
以降、市では規制緩和を活用した事業に加え、革新的技術を持つ企業と連携して農業のICT化に向けた実証プロジェクトなどを展開。国内最先端のスマート農業を積極的に進めています。
新潟に拠点を構える㈱新潟クボタでも昨年、国内では初めてとなる、無人自動運転トラクタと自動運転コンバインの連携による、稲刈り同時耕うんのデモンストレーションを実施。今年は農水省の「スマート農業技術の開発・実証プ ロジェクト」に参画しています。
G20新潟農業大臣会合でもICTやロボット技術などの先端技術を活用し、生産性の向上を目指すことを盛り込んだ大臣宣言が採択され今後、農業の主役となっていくスマート農業について、新潟クボタの吉田社長にお話をお聞きしました。
新しい時代、新しい農業が花開く時代に
「普段お付き合いのある農家の皆さまだけでなく、農産物の最終的な消費者である一般の方に向け『今、農業の現場で何が起こっているか』、身近に感じてもらう場を設けたいとの思いから、新潟日報社さんの協力をいただき、アグリフェス新潟に協賛しました。昨年放映された下町ロケットのロケ地の一つ新潟での視聴率は非常に高く、農業への関心が高まっていると感じられました。特に注目度が高かったのは、スマート農業です」と話す吉田社長。
「ドラマで描かれた日本農業が抱える課題、例えば農業従事者の高齢化や担い手不足などに対して、自動運転トラクタやコンバインなど最先端のテクノロジーでブレイクスルーしたことは、農家の皆さまをはじめとして、見ていただいた方には、大きなインパクトがあったようです。ドラマ放映以前は『スマート農業でこんなことができる!』、『あんなことも実現可能になる』とこちらからのアプローチだったのに対し、今は現場から『こんなことがしたい!』、『あんなこともできたら、こういう新しい農業ができる』と具体的な要望が出てくるようになりました」。
スマート農業が次世代のソリューションとして、多方面から期待されているからこそ、吉田社長はこう断言します。「こうした先端技術は、大規模営農で取り組む担い手や若い人だけでなく、だれでも使える技術であるべきだと考えます。たとえば中山間地域などの条件不利地や、体力の落ちてきた高齢者の方を支えるような技術であるべきで、今まさにそのような方向に発展する過渡期。これからブレイクするのではないでしょうか。そうするともっともっとスマート農業が農業に携わる皆さまにとって、使いやすい、身近に感じる技術になってきます」。
「令和は新しい農業がどんどん花開く時代。これが一気に花開くと、農業がさらに注目され、活性化していくことでしょう。新潟県の農業発展のため、私たち新潟クボタも貢献していきたいですね」と、お話くださった吉田社長。近い将来、これまで見たことのない、ワクワクする農業が生まれるかも?可能性は無限に広がります。
先端技術の導入で、農業に未来を感じた!
農業の明るい未来について考えようと、さまざまな催しが開かれたアグリフェス。なかでも関心が高かったのが、「最新技術が導く農業の明日」をテーマに意見交換が行われた、パネルディスカッション。110名あまりの来場者で賑わいました。
パネルディスカッションではスマート農業を中心に、農林水産省北陸農政局長の奥田さん、宇宙航空研究開発機構(JAXA) 第一宇宙技術部門ALOS-2プロジェクトマネージャの祖父江さん、新潟大学農学部の伊藤助教、クボタ アグリソリューション推進部の渡辺技術顧問らが、意見をやり取り。
クボタの渡辺技術顧問からは、日本農業が抱える課題、労働力不足や規模拡大にともなう収量・品質の低下、技術の継承について、スマート農業がそれら課題の突破口になると解説。今年、新潟クボタが取り組む大規模水田輪作(水稲・大豆)における園芸作物(枝豆)導入に向けたスマート農業一貫体系の実証事例を例に出し、スマート農機の導入で、後継者へ技術の伝承を図りながら、農地の効率的な維持・管理を行い、農業所得の向上も目指す取り組みが紹介されました。
新潟大学農学部の伊藤助教は「今、新潟の農業現場では、イキイキとした若い世代が増加中で、女性の農業者も増えています。農業のかつてのイメージはほぼ払拭されつつあり、農家が憧れの職業になるなか、男性だけでなく女性向けの機械や技術も必要で、そのような場面でスマート農業に大きな可能性を感じています」と、女性農業者の負担軽減と活躍の場を広げる、スマート農業の可能性に触れました。
パネルディスカッションに参加した長井さんは、「今後の農業がどうなっていくのか、興味があります。高齢化で担い手が不足している農業において、無人で作業ができるようになって省力化が図れる。非常に面白いですし、未来を感じます。スマートフォンをはじめ普段から情報に接している若者が農業にどんどん参入し、情報を使いこなして農業を面白いものにしていく。これから農業がもっと活気づいてくるのではないでしょうか」と新しい農業、スマート農業に期待を寄せられています。
将来はドローンパイロット?未来の農業女子、あらわる
展示ブースでは実際に下町ロケットで使われた、自動運転トラクタやドローンを展示。記念写真を撮るコーナーでは、母親がトラクタのキャビンに乗り込んだわが子の写真を撮る、なごやかな場面も。
実作業に近い状況でのフライトシミュレーションが体験できるドローンコーナーでは、ゲーム感覚でドローンが操縦でき、子供たちに大人気。夢中で操縦していた小学生の女の子は「おもしろかった!農家さんになって、ドローンで除草してみたいな!」と満面の笑顔。「農業に興味があります。学校の畑で野菜をつくったり、田植えをしたり、いろんなことをします。農家さんのお仕事を体験してみて、おもしろいと思って、農業をやってみたいなって!」農家が憧れの職業だと、目を輝かせながら教えてくれました。
また、市内で特産品の黒埼茶豆を中心に野菜をつくる、本間さんは「ドローンが自社の経営にどう役立つか考えながら聞いていました。うまく取り入れられると、効率の良い作業ができるかなと。使ってみたいなとは思いましたね」と興味津々。夏場の防除作業は、農家にとってハードワーク。作業の効率・軽労化が図れるドローンは今、急速に普及が進み、新潟クボタでは今年累計70台販売しています。
若い従業員を抱える経営者でもある、本間さん。「若者や子供たちに『やりたい仕事は農業!』と胸を張って言って欲しい」との願いがあります。「手のかけかたであったり、創意工夫であったり、日々テクニックを磨きながら、消費者が安心して美味しく食べられるものを、自分たちの手で販売する。そのスタイルやマインド、生きざまを見て、後に続く若い人に憧れを持ってもらえるように、カッコいい農業を目指しています」。一方、従業員には「農家というより、会社を経営する意識で農業に向き合って欲しい。そうでないと成長はない」とエールを送ります。
農業への思いや夢は、十人十色。「スマート農業」を追い風に、農業が大きく変わりそうな予感。新しい時代を迎え今、農業の世界に新しい風が吹きはじめています。