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クボタからのご提案

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農業機械の汎用利用で 生産費削減

農業機械の汎用利用で 生産費削減

クボタでは、農機具費の削減を可能とする省力で水稲直播にも利用できる播種機、汎用性を強化した高性能・高耐久コンバインを開発し、担い手農家の皆さまのニーズに応えています。
(この記事は、平成30年6月発行のクボタの営農情報誌『U(ユー)元氣農業 No.36』を元に構成しています)

 


 

 大豆、麦、ソバなどの土地利用型の畑作物は、一部の畑作地帯を除き、水田での生産が定着しています。これらの作物を水田で生産するために、主力の水稲移植栽培では使わない播種機や普通型コンバインが導入され、ほとんどは対象作物だけに利用されてきました。農機具費は、肥料、農薬などの資材費と並んで、生産費のなかで大きなウエイトを占めています。水稲を中心に大豆、麦、ソバなどを生産されておられる生産農家・組織の皆さまにとって、主力となる米の価格が低迷するなかで、生産費の削減は喫緊の課題となっています。農機具費を削減するには、複数品目での汎用利用を図ることなどで機械の稼働時間を延ばすことや、省力化機械の導入が有効です。
 クボタでは、農機具費の削減を可能とする省力で水稲直播にも利用できる播種機、汎用性を強化した高性能・高耐久コンバインを開発し、担い手農家の皆さまのニーズに応えています。

汎用利用可能な省力化播種機
一発耕起播種機「トリプルエコロジー」

 クボタが開発した一発耕起播種機「トリプルエコロジー」は、基本ユニットとして砕土性に優れる6枚爪のサーフロータリと先端がチゼル爪となった2本のソイラを備えています。畑作物の場合、良好な砕土率を得ることが良好な出芽・苗立ちを確保するために大切ですが、サーフロータリは事前の耕起がなくても十分な砕土率を確保することができ、事前の耕起を必要としない省力化播種機です。これまで、アップカットロータリによる耕うん同時播種機が重粘土壌地帯の北陸地方を中心に畑作物の苗立ち向上に大きく貢献してきましたが、遅い作業速度に難点がありました。トリプルエコロジーはサーフロータリを採用することによって、条件が整えば3.0〜4.0㎞/hrの作業速度を可能にしています。さらに、2本のソイラは浅くなった耕盤層に届く20㎝の深さまで亀裂を入れることにより、表面排水を促し、生育初期の湿害を抑え、根の生長促進が期待されます。

 さらに、本機の播種ユニットには、異なるユニットを選べるようになっており、大豆播種に最も利用されている目皿式播種ユニットの代わりにロール式播種ユニットを選択することにより、大豆に加えて、麦、ソバなどの畑作物、水稲の乾田直播と汎用利用が可能となります。

汎用性を強化した高性能・高耐久コンバインWRH1200

 全国の大豆作付面積は、近年、14〜15万haくらいで推移していますが、組織当りの生産規模は大きく拡大し、作付面積5ha以上の作付け割合が全体の3分の2まで増加しています。品質が収穫時期の天候に大きく影響を受ける大豆にとって、生産規模の拡大は、品質低下のリスクを高めることになります。このようなリスクを低減するためには、作業能力に優れ、高い選別能力を持つコンバインが必要となります。しかしながら、高性能の大型コンバインは高価格で、大豆の収穫だけに利用するのでは、減価償却費が割高となり、生産コストを押し上げてしまいます。

 クボタが新たに開発したWRH1200は、汎用性を強化した高性能・高耐久コンバインです(緊プロ開発機)。これまで、作業能力、選別能力に対する不安から普通型コンバインで稲を収穫することは一部の生産者に限られ、ほとんど大豆・麦の収穫に利用されてきました。しかしながら、WRH1200は、稲の収穫性能をさらに高めるため、こぎ胴長の延長を施した新型バータイプの脱穀機構に加えて、選別処理面の拡大とトウミ、チャフシーブの自動制御等を追加した新型選別機構を採用しており、刈幅3.2 mのヘッダを装着することで5条刈自脱コンバインと同水準の作業能力を有することが確かめられています。
 大豆を生産されている経営体のほとんどは水稲を生産されており、麦を栽培されておられる方も多いと思います。WRH1200の導入によって、これまで、大豆、麦の収穫に限って利用してきたコンバインを水稲の収穫にも利用することで、コンバインの稼働率を高め、生産コストの大幅な削減を可能とします。さらに、完熟トウモコロシ子実の収穫を可能とする子実コーンキットも2018年8月には販売が開始され、汎用利用できる品目がさらに増えることになります。

 WRH1200は、収量センサと食味・水分センサを普通型コンバインでは初めて装備し、稲、麦では収穫と同時に収量、水分含量、蛋白含量(食味)を、大豆では収量と水分含量を測定できるようになりました。稲・麦の測定値は、センサ付き自脱型コンバインと同様に、水分含量による収穫物の区分乾燥、圃場単位での施肥設計に活用できます。大豆は子実の水分含量によって乾燥温度の設定が変わります。特に高水分で収穫した大豆では、しわ粒、裂皮粒が発生しないよう、無加温で通風乾燥をしてから、加温乾燥するのが原則です。
 共同乾燥施設では、乾燥ムラがおこったり、低品質の大豆が混じらないよう、高水分の大豆の荷受を制限しています。乾燥機に入れる前に水分含量が分かることにより、乾燥温度の調整、水分含量の違う収穫物単位での区分乾燥、共同乾燥施設に入れる場合は、予備乾燥の要・不要の判定に役立てることができます。また、低収となった圃場では、その原因を残すことによって、次の大豆作の改善方策に役立てることができます。さらに、食味・収量メッシュマップキットを装着したWRH1200では、KSAS本格コースに加入することにより、圃場内の稲・麦の収量・タンパク含有率を最小5mのメッシュで把握できるようになり(2018年7月予定)、従来よりもきめ細やかな圃場管理が可能となります。

 今回は稲・麦に限られますが、2018年12月には、自動運転アシスト機能を持たせた普通型コンバイン「アグリロボWRH1200A」を発売予定です。クボタは、独自の最新ICTを集積させた最新鋭普通型コンバインで、未来農業を支援します。

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