

低コスト化や効率化が課題となっている野菜作。今回は、肥料をうねの内部や表層にピンポイントで施用することで減肥・肥料費の削減が実現できる局所施肥技術と、水田利用野菜作に適した高うね栽培に対応できる半自動移植機をご紹介します。
(この記事は、平成26年6月発行のクボタの営農情報誌『U(ユー)元氣農業 No.29』を元に構成しています)
1はじめに
現在、農家の経営は国際化の進展や農産物価格の低迷により苦況が続いています。加えて、経営を圧迫する要因となっているのが、近年の円安基調等を背景とした生産資材全般の価格上昇です。中でもリン酸肥料とカリ肥料は、資源の世界的な需給関係もあり長期的に上昇基調に在ります。低コストの農産物生産のために、肥料費の節減が課題ですが、農研機構中央農業総合研究センター(中央農研)が開発した「うね内部分施用技術」や兵庫県立農林水産技術総合センター(兵庫県農技センター)が開発した「うね内浅層施肥技術」により「減肥」できることが実証されています。
また、農業を取り巻く情勢の変化により増加傾向にあるのが「水田利用の野菜栽培」です。水田を利用して野菜栽培をする場合に最も重要となるのが排水対策ですが、その対策を考える上で有効な高うね栽培に対応できる「半自動移植機」を含めた機械化体系の整備も必要だと考えられます。

2うね内部分施用技術 中央農研の成果
施肥とともに、アブラナ科野菜の重要病害である「根こぶ病」に対する農薬の部分施用により、少ない農薬で充分の効果が得られるという成果が中央農研により報告されています。
降雨での養分の流亡、農薬の目的地外への流亡も最小限で、また、粒剤散布、うね立てが機械で一貫して行えることで、省力・低コスト生産ができます。実際に現地で作業を行っている立場からも、天候による作業の制約が少なくなることで適期作業の実現にもつながると考えます。
こうした成果は、大規模化の実現や農家経営の健全化に活かせると考えられます。ただ、野菜は品目により根群域の分布が異なるため、キャベツやハクサイでの「うね内部分施用技術」は根群域の浅いレタス等にはそのまま使えないと考えられています。
3うね内浅層施肥技術 兵庫県農技センターの成果
そうした際の対応として考えられるのが、兵庫県農技センターの成果である「うね内浅層施肥技術」です。
レタスのように根の分布が浅い場所にあれば、施肥も浅い場所に留めるほうが効率的で環境への養分の放出を避けることもできます。エコノミーで、エコロジー。いわゆる「エコ」です。
野菜に関する局所施肥は、図のように分類できると考えられます。

4秋播き春収穫の野菜と局所施肥の利点
秋に種子をまき翌年の春に収穫する野菜には、「グリーンプランツバーナリゼー
ション」という性質があり、一定期間低温にあうと「花芽分化」が起こって春に花が咲きやすくなります。
最近では品種改良が進み少なくなりましたが、年内にあまり大きく生育させたり気温が高く葉数が展開してしまうとこの現象が起きることがあります。
このような場合には、「局所施肥」の利点を活かして肥料を深層に施用することにより、年内はゆっくり生育させ「花芽分化」させずに、春になって養分吸収を促進させ、大きく育てるようにすれば、経営に合った大きさのキャベツをそろって収穫できます。
「グリーンプランツバーナリゼーション」とは、一定の大きさまで育った株が、ある期間連続して一定の低温にあうと「花芽分化 (生長点が葉でなく将来花になる新しい組織を作ること) 」する性質をいいます。例えばキャベツは品種によって異なりますが、7枚以上の葉が展開した大きな株に育ったとき、平均気温13℃、平均最低気温10℃以下で1ヶ月以上経過すると花芽分化します。その後、春になり気温が高くなるとこの花芽が生育し、花が咲きます。
春、菜の花と同じように花盛りになっているキャベツを見かけたことがありますが、これは秋播きに向かない品種を使い、前述のような環境で花が満開になってしまったためです。最近は品種育成が極めて進歩し、秋播き特性が安定した品種が多く育成され、作型ごとに分類されてきているのでこのような花盛りの圃場は少なくなりました。日本の種苗会社と、指導機関、農家の皆様の努力の成果です。

5機械化体系 クボタの取組み
このような土中への局所施用は、機械化により、ある程度以上の規模で高精度に行えると考えられます。クボタでは、肥料の施用とうねの成型を一度に行うことで施肥作業の省力化が実現でき、農家経営の改善に貢献できるものと考えています。 特に「車速連動局所施肥」の精度は、(一社)全国農業改良普及支援協会による全国農業システム化研究会の農家の実証でも評価が高く、無駄な施肥を抑えられることが確認されています。最近は車のナビでおなじみの「GPS」を利用した車速連動局所施肥機も商品化され、一層精度の高い施肥作業が可能となっています。 このようなエコで科学的な技術を活かした野菜栽培を、クボタと一緒に実現していきましょう。

水田利用に適応する 半自動移植機
さて、うねができ上がったら、播種をするか定植するかを選びますが、ここでは、定植する作目に「半自動移植機」を提案します。特に、今まで野菜栽培を行っていなかった農家の方が、農家経営の一助に水田で野菜を作ろうと考えているときにオススメです。
水田は、当然、水稲を作るために水が充分利用できる工夫がなされているため、野菜にとって都合の悪いところがあります。特に都合の悪いのが、排水性が悪いことです。水田は水を貯めるため「すき床」等があり、縦方向の重力による排水が悪くなっています。また、圃場外への水漏れを防ぐための「あぜ」が作られていますが、コンクリートあぜ等、簡単に圃場外へ排出できないような構造になっている水田もあります。
野菜は、根の酸素要求量が高く、水稲のように湛水の環境で酸素を運んでくれるシステムがありません。そこで排水性を高める工夫が必要になります。パラソイラーやハーフソイラ、プラソイラ等、土壌排水の改善機械の説明は後日とさせていただき、ここでは、高うねに対応する移植機を紹介します。
野菜栽培で水田利用が進んでいる九州では、排水が最も大きな課題でした。さらに最近では、時間当たり100㎜を超えるゲリラ豪雨の増加という問題もありますが、高うねで対応して予想できない豪雨での冠水を防ぐことで生産が安定します。
高いうねを作るには物理的に幅広いうねでなければなりませんが、畑等で行われている1うね1条植えでは高いうねができません。そこで「1うね2条植え」の体系ができたのです。
クボタの「ベジライダー」はこの体系に対応できる機械です。千鳥植えができるので光の利用率が高まり、雑草の生えるスペースも少なくなり、理想的な作付けができます。しかも「半自動移植機」ということで、苗を農家の目で選別して植えることができる優れものなのです。
クボタのべジライダーで、省力で効率的な水田野菜作を実現しましょう。






