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技術顧問によるワンポイントアドバイス・評価
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大豆300Aレポート#18

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【大豆300AレポートNo.8(後編)】一発耕起播種機のメリットと作業のポイントについて

【大豆300AレポートNo.8(後編)】一発耕起播種機のメリットと作業のポイントについて

耕起・砕土・播種の3つの作業が一発で、しかも高速で可能な一発耕起播種機トリプルエコロジー。そのメリットと作業ポイントについて、クボタの松永亮一技術顧問がポイントを解説します。
(この記事は、平成28年7月4日発行のクボタの営農ソリューション『大豆300Aレポート7月号』を元に構成しています)

 


 

アップカット播種機との違い

 トリプルエコロジーは、耕うんと同時に播種する作業機ですが、同じ播種作業を行うアップカットロータリと播種機を組み合わせた作業機(以後、アップカット播種機)があります。
 アップカット播種機は、重粘土壌での砕土性に優れ、重粘な圃場が多い北陸地方で大きな成果を挙げてきました。課題は、高い砕土率を維持するための作業速度が1km/hr前後で遅いということですが、重粘な圃場での良好な苗立ちを確保する上では優れた作業機です。
 トリプルエコロジーは、砕土率は、アップカット播種機よりもやや劣りますが、重粘な圃場での作業も可能です。今回、速度3~4km/hr前後で耕うんと砕土、播種という3つの作業を同時に出来ましたので、その性能が活かせる地域では大変お勧めの機械です。

トリプルエコロジーの排水対策

 トリプルエコロジーは平うねのままで播種しますが、2本のソイラを土中20cm深まで入れることにより、水の縦浸透を促し、表面排水を促進します(左の図)。播種時期が雨の多い地域では、種子が水に浸からないことは非常に大切なことなのでその効果が期待できます。ただし、ゲリラ豪雨のように短時間の大雨で圃場が冠水する危惧がある場合は、今回のようにサイドディスクと培土板をロータリの両サイドに着け排水溝をつくると良いでしょう。
 2016年に、トリプルエコロジーでの播種を富山県でも実施しました。サイドリッジャーを付けてしっかりとした排水溝をつくりながら播種出来たので、優れた苗立ちが確保できています。

トリプルエコロジーで播種する場合の注意点

 トリプルエコロジーは浅めの耕うん1回だけで播種します。従って、播種前の雑草が多い圃場では雑草が多く生き残る可能性があります。このような圃場では、播種前1 週間くらいまでに非選択性除草剤を全面散布することが大切です。
 トリプルエコロジーの大きな特長は圃場の地耐力を播種日まで維持することができるということです。トラクタが入れる条件になれば、播種作業を開始できますが、トラクタの出入口や枕地など凸凹が出来やすい所に水が溜まっていると、播種作業に移れません。従って、排水の良い水田圃場であっても、額縁明きょを施工し、このような圃場の荒れによる水の停滞水をなくしておくことが大切です。

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トリプルエコロジーのウェブサイトはこちらから→ https://agriculture.kubota.co.jp/product/kanren/list_triple_eco/
(トリプルエコロジーホームページにリンクします)



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