大豆に発生する病害虫の種類は多く、開花期から子実肥大期にかけて病害虫の被害を受けると収量・品質低下に直結することから、「病害虫防除」は生育ステージや害虫の発生状況をよく観察するとともに、都道府県から発表される病害虫発生予察情報をもとに適期に行うことが重要です。
今回は病害虫防除のポイントと、作柄調査の様子をレポートします。
2015年7月31日に1回目の病害虫防除を行い、8月21日に、子実肥大期を迎えた前田さんの圃場において、それぞれの圃場で生育調査を行いました。
目立った病害虫の被害もなく、課題だった雑草防除もクリアし、莢付きも良く順調に生育していることが確認できました。
(この記事は、平成27年8月21日発行のクボタの営農ソリューション『大豆300AレポートNo.6』を元に構成しています)
莢・子実害虫の被害を防ぐために適期防除を行う
「今年の夏は天候が良いために、害虫が多く発生するのではないかと予想しました。また、ウコンノメイガによる葉巻の発生が若干見られ、ハスモンヨトウの発生も予測されたので、例年より早い時期にトレボン乳剤を散布しました」と、話される前田さん。トレボン乳剤は、カメムシ類やフタスジヒメハムシ、マメシンクイガ、ハスモンヨトウ、ダイズサヤタマバエなど幅広い害虫に効果を示し、速効性に優れています。
「この辺りの圃場を見てもらえば分かるのですが、防除をしている圃場と、防除をしていない圃場でははっきり差が分かります。防除していない圃場では、葉の色が白くなって、食害を受けているのが確認できます。今、葉を食害されると大豆自体の生長バランスが崩れて、収量にも影響を及ぼすので注意が必要です。2回目の防除は莢が伸びきって子実が肥大する時期に、子実を食害する害虫がいるので、早生の収穫が終わって次のコシヒカリの収穫が始まるまでの10日間の間に、トレボン乳剤を散布する予定です。トレボン乳剤は、値段は高いですが防除効果が高い剤ですので、それできっちりと発生食い止めたいと思います」と、話される前田さん。早期に害虫を発見し、適切な薬剤で適期防除を行うことで、減収を防いでいます。
適切な管理で良好な生育を確保した「耕うん同時うね立て播種」
「実証圃場の大豆ですが、播種した翌日から晴天が続き干ばつ気味だったことから、大豆がストレスを受け、初期生育があまり良くありませんでした。そこで注意深く圃場を見て、適宜かん水を行いました。今日、生育調査で色んな圃場を見た中で、実証圃場の大豆もそれらと変わらず生育が良くなったと思います。今のところ分かりませんが、ひょっとしたら目標とする収量も確保できるのではと期待しています」と、好感触を得ています。
「今年のテーマだった雑草対策についても、適期に万能散布バーで株元まで除草剤を散布できたことで、雑草がきれいに抑えられました。やはり雑草が多いと、木は細いですし、莢数も減って豆そのものも痩せた感じになります。養分が雑草に取られて大豆に養分がいかなくなるのではないかと思います」と、改めて雑草防除の重要性を話されます。
莢付きが良かった「小うね立て深層施肥播種」
「生育した大豆を見てみると、草丈がコンパクトに収まった印象を受けますね」と、圃場を見て話される前田さん。播種からこれまでを振り返り、「実証圃場と同じで播種前、晴天が続いたので通常3cmの深さに播種するところを播種深さを5cmにして深めに播種したのですが、播種後天候が良すぎて圃場が乾き過ぎました。芽が出たときには干ばつの被害を受けているような状況で、大豆にストレスを与えてしまいその結果、発芽が悪く生育不良になった箇所がありましたね」と、前田さんの話を裏付けるように6月の北陸地方は高気圧に覆われ、晴れて気温が上昇。1946年の統計開始以来の高温と多照となりました。
大豆づくりにおいて厳しい条件の中、前田さんは乾燥害による生育ストレスを大豆に与えないために、こまめな管理を実施。「暗渠栓を閉めて圃場に水を蓄え、適宜かん水を行ったことによって大豆が回復し、現在の生長につながっています。莢付きについては、まずまずですよ」と、評価されます。
乗用管理機
フルキャビンハイクリブーム
(株)丸山製作所
●旋回しやすくロスが少ないよう4WS機構を搭載。
●ディーゼルエンジン搭載でガソリンに比べ経費節減。
●HSTが標準装備で前後進がスムーズ。
■主要諸元
型式:BSA-650CE
寸法(㎜): 全長4120× 全幅2150× 全高2560
エンジン出力kW{PS}:15.4{20.9}
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#03 【大豆300AレポートNo.1(後編)】排水性を大きく向上させる「地表排水」と「地下排水」
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