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特集|ふれあいトーク

確かな技術と生産力で世界の農業をけん引する

〜クボタ・農業を支えるモノづくり〜

クボタ・農業を支えるモノづくり

クボタの製品は、今や国内だけでなく海外でも多く求められ、世界中の農業現場になくてはならない役割を担っています。
今回は、その一大生産拠点であるクボタ筑波工場で、高品質なモノづくりへの熱い思いや、生産現場での取り組みについてお話をうかがいました。
(この記事は、2019年2月発行のクボタふれあいクラブ情報誌「ふれあい」39号を元に構成しています。 )

高品質・最新鋭の技術を誇る、トラクタ・エンジンの製造拠点。

加藤氏(以下、加藤) 今回は、茨城県にあるクボタ筑波工場にうかがいました。国内外のトラクタ・エンジン製造でトップクラスの生産台数を誇る工場だとお聞きしました。農業を支えるモノづくりの現場の様子やこだわりについて、詳しく教えていただきたいと思います。よろしくお願いします。

山本氏(以下、山本) こちらこそ、よろしくお願いします。

加藤 早速ですが、筑波工場の特徴を教えてください。

山本 大阪の堺製造所と並び、トラクタとそれを支えるエンジンを生産するクボタの製造の中心拠点です。1975年に第一工場が竣工し、2015年には操業40周年を迎えました。約10万坪の敷地には、機械加工や組み立てのための工場の他にも、テストコースやテストほ場が設けられています。

加藤 生産量はどれぐらいでしょうか。

山本 トラクタは1,000型式の製品を年間約7万台、エンジンは3,000型式を年間30万台超生産しています。海外への出荷が多く、北米や欧州を中心に現在トラクタは70か国、エンジンは40か国へ輸出しています。

加藤 世界中でクボタ製品が活躍しているんですね。

山本 はい。今後は新興国市場でも需要が見込まれますから、ますます筑波工場の重要性は増していくと思います。

加藤 敷地がとても広いのですが、環境にも配慮されているとうかがいました。

山本 工場内から出された排水は浄化して、安全性を確認してから排出しています。これは操業当時からの取り組みです。品質保証の国際規格ISO9001や環境マネジメントシステムの国際規格ISO14001をはじめ、労働安全衛生に関する規格OHSAS18001も取得しています。

加藤 素晴らしいですね。環境保全への取り組みは大変重要なことだと思います。

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時代を超えて受け継がれる、クボタのスピリッツ。

加藤 御社には「5ゲン道場」というものがあるとお聞きしましたが、これは何ですか。

山本 古畑友三先生が提唱された「5ゲン主義」をもとにした指導を行う場のことで、定期的に研修が行われています。 「5ゲン主義」とは、「現場へ行き、現物を通じて現実の姿(現在の実力)を把握し、原理・原則(あるべき姿)という〝物差し〞と比較して、その差を改善する」という考え方です。この「5ゲン主義」を実践できる人材を育てる目的で、古畑先生から直接指導いただいて、まず堺製造所で道場がスタートしました。

加藤 どのような方が参加されるのでしょうか。

山本 各職場の職長や作業長クラスの人たちです。まずは約1週間の集合集中教育で、5ゲンの考え方を座学と実習で学びます。それから各自、作業の時間短縮や改善点などを設定し、各職場へ持ち帰って実践するのです。狙い通り改善できたと道場主が認めれば、道場を卒業できる仕組みです。

加藤 反対に、改善が認められないと卒業できない。

山本 はい。3ヶ月に一度は道場主が現場へ向かい、どれぐらい改善できたかを確認しています。これは1つのケースですが、エンジンのシリンダーヘッドの1工程において、普段の作業で何秒かかっているか、コンマ何秒まで時間を計ります。この作業時間を短縮する工夫を実施しましたが、取り組みを開始して3ヶ月後のチェック時には2.4秒しか縮まっていませんでした。しかし1年後には目標時間の短縮が認められたので合格となり、実施者は師範代になりました。

加藤 この取り組みは、国内だけで実施されているのでしょうか。

山本 国内の拠点に広めた後、海外へも展開しました。現在は北米とタイにも道場があり、現地人の道場主が5ゲン教育をできる体制としています。ただし、師範代の認定は日本の道場主が現地へ出向いて評価・認定します。

加藤 クボタスピリッツの継承ですね。理念というのは、言葉や人種を超えて共有できるものですから、こういう仕組みを作って浸透させていくのは、品質の維持・向上のためにも大変良いことだと思います。

山本 また2014年からは「5ゲン主義」に加え、「KPS(KUBOTA Production System=クボタ生産方式)」を推進しています。KPSの基本理念は、「お客様の『のぞみ』を超える商品とサービスを、『予測』を超えるスピードで提供することにより、感動を呼ぶモノづくりを目指す」ことです。すべてのサプライチェーン(原材料調達から生産管理、物流・販売までの一連の過程)で無駄をなくし、より良い商品をスピーディにお客様にお届けするための改善を行っています。

加藤 徹底されていますね。品質やサービスの維持・向上への熱意が伝わってきます。

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筑波工場独自の生産システムで、多機種少量生産を実現。

山本 それでは、実際に筑波工場の内部をご案内しながら、引き続き品質管理のお話をしましょう。

加藤 よろしくお願いします。

山本 製品の品質を考える上で、ムダを洗い出し、顕在化したムダを徹底的に排除してSEQCD(安全・環境・品質・価格・納期)の各レベルの底上げを図り、さらにこれを標準化します。この標準を決めて実行していくことが重要で、先ほどのKPS(クボタ生産方式)の根幹になっています。その通りに横展開すれば、どの国のどの工場で生産したとしても同じ製品ができるはずです。

加藤 高い品質が保たれますね。

山本 はい。以前はよく「Made in Japan」と言われていましたが、これが「Made by KUBOTA」です。私たちは、世界中どこでつくってもクボタ製品だから信頼されるモノづくりを目指し続けているのです。

加藤 標準を決める視点や判断が必要ですから、製造機械だけで実現するのは難しいですね。

山本 機械を使うのは人間なので、いろいろなノウハウを知っている人がプログラミングする必要があります。設定は、一番詳しい者がするようにしています。例えば溶接であれば、角度や電圧、溶接材の出し方まで標準を決めます。組み立ても同様です。作業手順書を作ってその通りに組み立てれば、基本的には同じ製品が完成します。

加藤 繰り返し標準を守って製造していくんですね。その中で、プロフェッショナル人材が育っていくのでしょうか。

山本 いえ、標準を守っているだけでは育ちません。大切なのは「標準を作れる人材」を育てることです。

加藤 そのために先ほどの5ゲン道場などで学ぶのですね。

山本 そうです。具体的に、生産現場を見ていきましょう。筑波工場は、多機種少量生産を行っていて、同一の作業ラインでさまざまなエンジンをつくる「ミックス生産」を採用しています。

加藤 なぜ、多機種少量生産をされているのですか。

山本 お客様の「欲しいモノを、欲しいときに、欲しい分だけ手に入れたい」という要望を叶えるために、「必要なものを、必要なときに、必要なだけつくったり運んだりする」ジャストインタイムを目指しているからです。結果的に、在庫の削減や、発注から納品までのリードタイムが短縮できるという側面もあります。

加藤 なるほど、実際に1台1台異なる種類のエンジンが、ラインに運ばれてきています。

山本 個別の組立説明用紙がエンジンと一緒に流れてきたり、モニターに表示されるようになっていて、ひと目で部品や使用する工具がわかるようになっているんですよ。

加藤 それだと間違いが起こりにくいですね。

山本 徹底的なポカよけや検査によっても、不良を流さないように心を砕いています。それから、ピッキング(部品収集)にも工夫があって、型式別に必要な部品箱のランプが点くようになっています。集めた部品は、自動操作の無人搬送で運ばれます。

加藤 ミスを防いで品質を確保するのと同時に、ムダな動きをなくして省力化も実現しているのですね。

山本 はい。すべてはお客様に安心して快適に使用していただくために必要なことだと考えています。

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より安全・快適な製品づくりで、日本の農業を支え続けたい。

山本 工場部門では生産だけでなく、製品の開発にも携わります。製造工程を一番理解しているので、新製品の試作の第1回目・2回目という開発の初期段階から関わり、開発部門と協力して組み立てなどを行います。その際に問題点を洗い出し、次の設計に反映されているかも技術部と一緒に確認しています。「コンカレント活動」と言いますが、開発部門が製品開発をするのと同時並行で、生産準備を行うのです。

加藤 最初の開発の時点で、生産工程を考えた設計にするということですか。

山本 もちろん機能が優先なので、できる限りの範囲でということです。新しい機能や課題が前提ですが、工場で実現できる工程や時間も考慮しなくてはいけません。こうして試作のステージが上がっていくほどに、細かい点までクリアにしていきます。

加藤 新しい機能などは、農業者さんからの要望を聞いて形にしていくのですか。

山本 そうですね。ユーザーの皆さまのご要望や、普段農家の皆さまと接しているセールススタッフ・サービススタッフの声も参考にしています。

加藤 今後、いろいろなタイプの農業者さんが増えると思います。例えば一次キャリアを卒業された60歳以上の方や女性、外国人などです。そうすると、製品の設計も変わってくるのでしょうか。

山本 そうですね。今後も検討が必要ですし、現在もICTを活用し高精度な作業を可能にする高機能ハイエンドモデルや、必要な機能だけに絞り込んだシンプルな機種、安全・安心・使いやすくリーズナブルな機種など、性能や効率、価格に合わせていくつかのシリーズをつくっていますので、お客様の環境や目的に合わせて選択いただければと思います。

加藤 最後にユーザーの方へ、メッセージをお願いします。

山本 私たちは安全で快適な製品を安くお客様にお届けして、さらにご満足いただけるように、工場一丸となって日夜取り組んでいます。これからもより良い製品づくりを目指し、農業者さんや日本の農業を支えていきたいと思います。

加藤 今日はありがとうございました。

山本 ありがとうございました。

【加藤百合子 取材後記】

 農業は食材の製造業、また工業も機械などの製造業であり、自動車や産業用機械をつくっている現場の視点には、農業の生産性向上に活かせるヒントがあると感じました。例えば、収穫から出荷までを行う作業台の高さをそろえる、または下になるよう設置することで効率化が図れます。また毎日の作業達成度を見える化して、目標を持ちやすくするメリットも共通しています。
 今回の取材で得たアイデアを、私も今後の農業生産現場に活かしていきたいです。

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