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ふれあいトーク×クボタファーム探訪

新たな取り組みへの挑戦で目指す

〜持続可能な農業と地域貢献〜

持続可能な農業と地域貢献

農業界でも長らく課題となっている、後継者不足や経営確立の難しさ。その問題に対し、実証・モデル農場としてさまざまな改革に取り組み、持続可能な農業の形を一つずつ実現しているのが、富山県高岡市の株式会社クボタファーム紅農友会です。
今回は、その新たな挑戦と地域の発展にかける思いについてお話をうかがいました。
(この記事は、平成30年9月発行のクボタふれあいクラブ情報誌「ふれあい」38号を元に構成しています。 )

利益が出せる経営を続け、「持続可能な農業」を確立するのが目標。

加藤氏(以下、加藤) 今回は、富山県高岡市にある株式会社クボタファーム紅農友会さんにうかがいました。クボタファームの取り組みの中でも、中心になっている会社と聞き、楽しみにしてまいりました。よろしくお願いします。

増山氏・山口氏( 以下、増山・山口) こちらこそ、よろしくお願いします。

加藤 まず、御社はどのようにして誕生したのでしょうか。

増山 今から40年前、この地区の5軒の農家さんが、任意の協同組織を作りました。「べにや」という地域名から「紅農友会」と名付けられ、これがもともとの始まりです。15年後に法人化し、昨年にはクボタの販売会社である北陸近畿クボタも協力して現在の形になりました。

加藤 北陸近畿クボタさんと一緒に経営していくことになった理由は何でしょうか。

増山 紅農友会は当初、水稲を中心に県内でもトップクラスの耕作面積を誇る農業法人だったんですが、後継者問題や昨今の米離れ、都道府県ごとの生産量割り当ての廃止といった農業環境の変化もあり、今後も継続して利益が出せる経営モデルに変えていく必要があったんです。

加藤 全国の農家さんが抱えている深刻な悩みですね。

増山 はい。そこで私たちは、経営理念として次の3つの柱を軸に、人が生きていく上で不可欠な食糧生産を担う会社として事業を行っていくことを決めました。

時代に即した新しい視点で、週休2日制の導入や野菜作の拡大を実施。

加藤 「持続可能な農業」という点で、具体的にはどんな取り組みを始められたのですか。

増山 一つは、栽培品種の見直しです。現在当社が管理するほ場は全体で119haありまして、水稲が75ha、飼料米が18haです。さらに野菜などの栽培を始めて、こちらは今26haあります。以前よりも野菜作の面積の割合が増えてきましたね。

加藤 クボタファーム全体でほ場が170haとうかがっていましたから、そのうち19haというと、まさに御社がクボタファームの基盤になっている感じですね。ちなみに、どんな野菜を栽培されていますか。

山口 とうもろこしやキャベツ、にんじん、玉ねぎ、里芋が中心です。もともとこの地域は伏流水が豊富で、水田が中心でしたから、水はけが重要な野菜作には適していないんですが、転換できるように試行錯誤を繰り返しながら進めています。今後はもっと栽培品種を増やしていきたいですね。

加藤 スタッフの方は何人いらっしゃるのですか。

山口 20名です。119haのほ場面積に対しては多いでしょう。他の経営体と比較しても、おそらく2倍ぐらいの人数だと思います。

増山 その分、米や野菜の栽培だけでなく、農閑期には市から委託を受けた除雪作業をはじめ害虫や雑草の防除、環境整備など、さまざまな業務を請け負っています。だからこそ、これだけの人数で経営を続けていけると思います。

加藤 農業だけでなく、地域になくてはならない、いろんな役割を担っておられるのですね。

増山 そうありたいです。これは私が紅農友会の先代の社長から引き継いだ時にあった話ですが、「利益だけを追求するのではなく、地域に目を向けて腰を据えてやっていってほしい」と。私も同感です。直接利益につながらなくても、地域に貢献し、地元の農業を持続・発展させていきたいと考えています。

山口 スタッフに対しても農業を続けられる環境づくりが大切です。私たち2人は以前、北陸近畿クボタに勤めていました。紅農友会へ来る時、新しい持続可能な農業のスタートにあたって「農業に週休2日制を導入する」という〝働き方改革〞が一つの使命でした。農家さんは平日や土日関係なく仕事をし、また農機具のディーラーやJAなど農業に関わる人たちも、農家さんに合わせて働きます。そうした状況を、現場の第一線である農家から変えていこうということです。

加藤 素晴らしいですね。週休2日を実現するための工夫はありますか。

増山 意外かもしれませんが、「やろう」という気持ちだけなんです。実際、昨年の12月から3ヶ月間テストで導入してみたのですが、「やっていける」という実感を得ました。春や秋の繁忙期は難しいかもしれませんが、私たちは20名いますから、うまくローテーションを組めば可能だと思います。

加藤 ローテーションはどのように進められるのですか。

増山 まず「この分野はAさん」「この分野はB君」というふうに、それぞれ役割と責任を分担していきます。そして全員がすべての分野を継続して経験していくと、いずれ農場全体の仕事の流れが分かってきます。

山口 全体の流れを知っているのが限られた数人だけという状況は、とてもリスクが高いんですね。農場規模が大きくなるほど、みんなで作業を分散し、みんなで全体を見ていくことが大切です。

加藤 今後、この農場をはじめ富山県、ひいては日本の農業を支えていく人材の育成の視点からも、とても重要で有効な考え方ですね。

増山 はい。時代に即した方法で、若い人たちがやりがいを感じることができる農業にしていきたいです。

クボタ・富山県の実証農場として、ほ場管理に先端の技術を活用。

加藤 新しい時代の農業といえば、ICT(情報通信技術)も積極的に取り入れていらっしゃると聞きました。

山口 クボタファームはクボタの実証農場でもあり、同時に富山県からもモデル農場としていろんなテストの依頼があるんです。
約3年前からKSAS(クボタスマートアグリシステム)に少しずつほ場登録をしていて、2年間データを蓄積したほ場もあります。昨年からは富山県とも協力して、ICTで肥料を自動調整するなど、収量や食味を向上させるための取り組みを進めています。

増山 ただKSASのデータを見ると、同じ肥料を散布していても、管理の仕方で収量がだいぶ違います。

加藤 それは水の管理ですか。

山口 はい。主に水ですが、これは人の問題でもあります。ほ場への水の入れ忘れや、除草ができていなくて稲の生育が悪いといったことが、見事にデータとして出てくるんです。

増山 今年から、都道府県ごとの生産量の割り当てが廃止になりました。それを補うためにも、ほ場管理がしっかりできるようになれば、収量を少しでも上げることができます。

加藤 それがボーナスに反映されたりすると、良いですね。

増山 ええ、そうしないといけないと思っています。ほ場1枚1枚の管理が、きちんとできるかどうか。評価の物差しを作ると、スタッフのやりがいにつながります。

加藤 いいですね。KSASは労務管理にも活用できそうですね。

クボタや行政との連携による相乗効果で、日本の農業をますます発展させていきたい。

加藤 今後の展望を教えてください。

山口 現在、後継者不足に悩む、特にご高齢の農家さんからほ場管理を依頼されることが多く、今後はもっと増えていくと思われます。できるだけ私たちがお受けし、ほ場を守っていくことが環境保全につながり、それがひいては国土保全にもつながると考えています。

増山 水田単作地帯で米だけに特化した農業というのは、今後ますます難しくなってくるのかなと個人的には思います。私たちも今はまだ水稲が中心ですが、将来的には半分を野菜作にして複合経営を完成し、経営を安定させたいです。そうすれば地域で雇用も確保できます。

加藤 その夢を達成するために、クボタさんの技術と融合して。

増山 はい。クボタにはハード・ソフト両面の技術があります。行政とも連携してどんどん新しい取り組みに挑戦し、農業を発展させていきたいですね。そこに、実証農場やモデル農場としての意義があると思います。

山口 農業の延長になりますが、最近は里芋で麺を作ったんですよ。

加藤 里芋の麺ですか!

山口 はい、乾麺です。最終的にはグルテンフリーを目指しています。他にも雪の下にんじんを使ったジュースや、カット野菜も製造販売しているんですよ。

加藤 もう6次産業まで視野に入れて、活動されているんですね。これだけ多品種を扱われていると、今後ますます広がりが期待できます。主要作物は経営の基盤として重要ですが、その上にスポットでボーナスのような作物や商品があると楽しくなります。

増山 そうですね。基本的に農業は楽しくないと続いていきません。いろんなアイデアを取り入れて、ますますやりがいや希望が持てる農業にしていきたいです。

加藤 農業界を前進させようと奮闘する、現場のみなさんの意気込みが感じられました。今日はありがとうございました。

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