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稲|小麦|大豆|
岩手県北上市で、稲・麦・大豆の輪作体系に取り組んでいる千田成彬さん。2018年、当時保有していた自脱型4条刈コンバインの更新時に、今後の規模拡大と大豆栽培への対応を見据えて、クボタ普通型コンバインWRH1200を導入。稲・麦・大豆の収穫をWRH1200 1台で汎用利用することで機械費を削減し、効率的な農業経営を確立しています。
近隣農家も驚いたWRH1200での稲の収穫
北上地域では、高齢化や後継者不足を背景に離農する農家が増え、中核農家である千田さんも農地の受け皿となり、年々経営規模が拡大しています。千田さんのWRH1200導入も、栽培面積の拡大がきっかけです。「離農された方の田んぼが集まり、面積も増えてきたことから、そろそろコンバインを4条刈から6条刈にランクアップしようかと考えていた時期に、WRH1200が発売されたんです。いずれは大豆もやろうと思っていたので普通型コンバインにも関心があったんですが、クボタさんから、「これは稲も刈れるよ」と聞いて、WRH1200が1台あれば全部できるなと考えて、親と話し合って、自脱型コンバインを下取りに出し、WRH1200を購入することを決断しました」と千田さん。
「最初は、みんなびっくりしたと思うんですね。あれで本当に稲刈るの?って。父親でさえ半信半疑でしたから。けれども実際に稲を刈って、何の問題もありませんでした。父親も作業を見て、納得してくれましたし、4年経った今では、当たり前の光景になって誰も何も言いません」と千田さんは笑います。
WRH1200による汎用利用で生産コストを削減
千田さんが農業に取り組む中で、今もっともこだわっていることは「作業の効率化」です。「作業する上でほ場の四隅は効率が悪いので、複数のほ場を1枚にして、1回の四隅で終わったら楽じゃないですか。昔と違って、父親がやってきた時と米の値段も半分くらい違いますし、ほ場も大きくして、効率よくやらないと利益が出ないと思います。だから効率化をいちばんに考えて農業に取り組んでいます」。
その効率化への考え方が、乾田直播のような低コスト技術の導入や機械選定のベースになっていると千田さんは言います。「乾田直播を例に挙げれば、田植機を買わなくても、トラクタ1台で、そばも播けるし、麦も播けるし、米も播けます。田植機は1年間に1回しか使わないから、贅沢だと思うんですよね。だからコンバインについても、WRH1200だったら何でも使えるじゃないですか。自脱型コンバインだったら大豆は刈れません。コンバインってやっぱり高価なものだから、僕は汎用利用することで生産コストを下げていきたい、そういう考えです。そこで浮いた経費を違うものにも投資できるし、いずれは子実用とうもろこしなんかもやってみたいなと思っています」。
満足できるWRH1200の稲の収穫、脱こく&選別作業
WRH1200での稲刈作業について、千田さんの評価は、「作業速度については、稲が乾いて条件が良い場合、倒伏していなかったら1.4m/sくらいでいけますね。自脱型コンバインと比べると少し遅いかもしれませんが、僕は全然満足しています。麦はもっと稲よりもスピードが出せるので、麦のときこそ僕は乗っててもっと快適ですね。1.8 m/sまでは平気で出てると思います。」さらに「WRH1200にはモンロー機能(車体水平制御)がついているので、ぬかるんだ水田でも、常に車体を水平に維持してくれて、安定した刈取りが行えます。そこが結構大きかったですね。脱こくや選別もいいので、自脱型コンバインで刈った時と比べて遜色ありません」と高い評価を与えています。また、千田さんはWRH1200の居住性、視界性にも大きなメリットを感じています。「とりあえず座り心地がいい。クボタさんの椅子が一番疲れなくてよかったですね。それに窓が大きく全面見えるのがいいですね。自分は刈るときに稲株を見るので、その時に下まで見えると、どれくらい稲穂の下まで刈ってるか見えるので、とても助かっています」。
新しいことに挑戦して農業を変えていきたい!
メンテナンスに関しても、WRH1200は、導入前に使っていた4条刈コンバインよりも脱穀部が開きやすく、掃除もしやすいと喜ぶ千田さん。以前よりこまめに掃除するようになり、メンテナンスに対する気持ちも変わったそうです。「WRH1200を導入して、僕は大満足です。面積も、昨年一気に13ha増えるなど尋常でない形で農地が集まってきています。もう1台コンバインを増やすなら、次も普通型ですね。WRH1200 2台で稲を刈り取りたいと思います。僕は、楽しくラクに良いものを取りたいです。昔からの流れで、これだから正しいじゃなくて、何か新しいことにどんどんチャレンジして、それを続けていきたいと思います。分からないことがあったら、多くの人と交流を深めて、聞いて、知識を増やしていきたいですし、親のことを尊敬しつつ、自分のやりたいことも尊重していきたいなと思っています」。千田さんの言葉から、『新しいことに挑戦して農業を変えたい!』、そして『地域農業を守りたい!』という強い意志が伝わってきました。