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渡辺喜代司税理士の なるほど!経営さぽーと#04

〜決算書の見方(その1)〜

決算書の見方(その1)

経営を安定的に行うためのに必要となるのが決算書の知識。損益計算書とは?貸借対照表とは?基本的な考え方を解説します。
(この記事は、平成27年11月発行のクボタの営農情報誌『U(ユー)元氣農業 No.32』を元に構成しています)

お金が大事!?

 決算書といってもすぐに思い浮かぶのは、「損益計算書」だと思います。それは損益計算書が簿記の知識がなくても見た瞬間、直感的に内容が分かる計算書だからです。ざっくりと言ってしまえば、その内容は「収入」「経費」とその差額の「利益(又は損失)」しか書いてありません。つまり「売った金額から経費を引いたらこれだけ儲かった」ということが一目でわかる構造になっています。このため多くの人が損益計算書を見て自己経営の良し悪しを判断されています。しかしそれで経営のすべてを把握できるならばどうして「貸借対照表」というものを作るのでしょうか。実際に貸借対照表を見ることがあっても、単なる残高表としてみているのではないでしょうか。その内容は「資産」「負債」「純資産」だけです。このため貸借対照表をみても「預金がいくら有るな」とか「機械装置の帳簿価額がいくらだな」といった見方をしているのが一般的ではないでしょうか。本来貸借対照表は、自らの経営においてどのようにお金を集めてきて、それをどの様に運用しているかを表しています。
 例えば〔図1〕のように100円で仕入れた商品を150円で販売するという取引があった場合で考えましょう。この取引で利益は50円になり、損益計算書を作ると〔図2〕のようになります。もしこの決算書を見せられて、経営者からこの取引を拡大したいのでお金を貸してほしいと言われた場合、簡単に貸してしまいそうになります。しかし損益計算書では大切なことが全く書かれていません。それはお金の動きです。この経営者はいったい今いくら持っているのか。こんな単純なことも損益計算書では分かりません。

商売の鉄則!?「支払いは遅く、回収は早く!」

 商売の鉄則に従った場合は、〔図3〕のように仕入れるときはツケにして、それを現金で売り、その現金で仕入業者に代金を支払えば手元に現金がなくてもひと稼ぎできます。この取引で一番のリスクは売上げのときに代金が回収できず、ツケの売上げになることです。もし〔図4〕のように代金回収が、③の仕入業者への支払期限よりも後になってしまうと資金ショートが起きます。もしこれが手形取引ならば「不渡り」となり倒産です。しかしこの図4の取引についても損益計算書は図2と同じです。経営としては100円で仕入れたものを150円で売っていることには変わりはないのです。このように利益が出る経営であっても倒産することを「黒字倒産」といいます。
 どれだけ利益が出る経営をしていてもお金の使い方を間違うと倒産に追い込まれます。これとは反対にどれだけ赤字になっても、支払いをするためのお金を持っていれば倒産はしません。このことから分かるように経営が続かないのは、利益が出ないことより、お金を持っていないことです。しかしお金が無くなれば経営を続けられないので結局は利益を上げないと経営は続きません。

 経営を安定的に行うためには、お金の動きをきちんと把握しなければいけないのですが、先ほども言いましたように、皆さんが経営を判断するのは主に損益計算書ですね。個人申告の場合、貸借対照表を作らない方も多いと思います。そうすると肝心なお金をいくら持っているかとか、支払能力がどれくらいあるかなどは損益計算書には全く載っていないので総合的な判断ができないのです。
 このことから経営内容を判断するためには損益計算書だけではなく、貸借対照表もしっかりとみなければなりません。そこで次回は貸借対照表の具体的な見方を解説します。

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