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われら元氣農業人

〜プロ意識とパワクロ農業でつくる高原野菜〜

プロ意識とパワクロ農業でつくる高原野菜

長野県飯山市の最北部に位置する、なべくら高原。積雪は平均4~5m、多い年には7mも積もることもあるという日本有数の豪雪地帯です。この高原で、標高450~800mに広がる農地を活用し、露地野菜の大規模経営を展開しているのが有限会社奥信濃ファームで代表取締役を務める吉越さんにお話を伺いました。
(この記事は、平成28年6月発行のクボタの営農情報誌『U(ユー)元氣農業 No.33』を元に構成しています)

28歳で国営農地開発地区に入植

 代表取締役を務める吉越さんは、「今、農業は、親から受け継いでいる人も経営は決して楽ではありませんが、私は、農地を購入して28歳の時に国営開発地に入植。除石、土づくりに励みながら、根菜類を中心とした露地野菜を栽培し、離農された人の農地を引き受けて規模を拡大してきました」と話します。吉越さんは、開拓者として多くの困難を乗り越え、安定した高原野菜の大規模経営を確立するとともに、土地改良区の理事長を務めるなど、その柔軟な考え方と実行力によって、地域農業をけん引しています。

だいこんを軸に大規模露地栽培を経営

 奥信濃ファームの営農期間は、雪解け後の4月中旬から10月末までの約半年。だいこんを中心に、キャベツ、にんじん、アスパラガス、ズッキーニ(委託)、秋そばを栽培。経営面積は45haにのぼります。

 吉越さんは、入植時、長野県の既存の野菜産地との競合を避け、大規模な土地利用型農業に適する作物として、重量野菜の内で根菜類を選択。しかもその品目は台風や天候不順による影響を受けにくい作物ばかり。「開拓に勝負をかけていた時、リスク回避を考えて検討して生まれた品目です。出来る限り経営的な負担を減らそうと考えていました」と当時を振り返ります。近年、ゲリラ豪雨などの異常気象による被害が多発する中、その先見性には驚かされます。

こだわりの専用肥料に見えるプロ意識

 吉越さんの作るだいこんは20年以上連作障害は出ていません。「連作障害に備えてキャベツも栽培に加えましたが、未だに大丈夫ですね。自分でも驚いていますが、肥料の成分バランスが良いんだと思います。短期間で溶け出す肥料は酸化しやすい。ゆっくり効いていく肥料は土をいじめないんですよ。私は肥料の成分と質に特に気を使っています。土に優しく。これがうちのこだわりかな」と吉越さん。

 奥信濃ファームの肥料は、吉越さんが成分設計したオリジナル肥料です。「25年らい前に、施肥の手間をいかに省くかをいつも考えていました。何とか流亡しにくい一発肥料をつくれないかと。このことを全農に提案したんです」。この吉越さんの相談を受けた全農は、吉越さんの施肥設計を基に、試行錯誤の末、2年がかりで試作。その後、関係機関と相談しながら肥料登録も済ませ、奥信濃ファームの専用肥料が出来上がりました。

 「生産者に求められるものはプロ意識だと思うんです。それが肥料の成分や質をどうしたらいいか常に農協に聞いているようでは、消費者の信頼を裏切っているような気がします」と語ります。この吉越さんの追肥を必要としないオリジナル肥料は、各方面へ影響を与え、作物ごとの基肥一発肥料開発のきっかけとなりました。

作業効率と精度を高めるパワクロ農業

 さらに、作業面で、奥信濃ファームの高品質な野菜づくりを支えているのはパワクロだと言います。「4台のパワクロを保有していますが、パワクロはうね立ての仕上がりがとても綺麗ですよね。ホイルトラクタに比べて、直進安定性がすごく良い。仕上がりの精度が高いとその後の除草剤の効果もしっかり効きます」。播種床をつくる際、4回ほど耕起する吉越さん、最後の仕上げ耕は125馬力のパワクロで行います。「仕上げ耕は必ず播種の前日に行います。出来る限り完璧な状態の播種床をつくりたいんです。私はこれなら播けると確信できなければ播きません。そうすることで収穫までの後作業が楽になるのです」と、パワクロだから自分の思い描く仕上げができるのだと話します。

 また、「降雨後の耕起でもパワクロのほうが半日ぐらい早く圃場に入れます。私たちは、面積を消化していかないといけないので、作業効率を求められる。パワクロなら計画に近い作業が可能なんです」と付け加えます。

消費者の気持ちでつくる野菜を届けたい

 今後のビジョンにおいて吉越さんは、アスパラガスを5ヵ年で、毎年1haずつ拡大する計画を立てています。「雪解けしたらすぐ出荷できるアスパラガスを増やそうと思っています。この時期は、冬場、スキー場で働く人たちも集めやすいんです。出荷量を増やすことも当然なんですが、雇用期間を長くすることも大事だと考えています」。

 地域貢献を常に考えながら大規模営農を切り開いてきた吉越さん。農業に取り組む姿勢として、「今、消費者と農家の距離が身近になっています。私たちの気持ちは常に消費者の立場です。マニュアル通りの農業ではなく、環境の変化を敏感に察知しながら、まごころを込めて野菜を消費者に提供していく。それが農業の基本だと思います」と熱く語ります。吉越さんの農業への思いは、奥信濃ファームのつくる野菜に姿を変え、今、消費者の心に届いているに違いありません。

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