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大規模化に向けた低コスト・省力化稲作技術#03

法人経営を支える鉄コーティング直播

〜新規需要米として 輸出用米に取り組む〜

新規需要米として 輸出用米に取り組む

低コスト化・高効率化が求められる稲作。移植と鉄コーティング直播の組み合わせで水稲42haを作付する、新潟県新発田市の農事組合法人金塚を訪ねました。
(写真:農事組合法人金塚のみなさん。左から鹿島 拓さん、鹿島組合長、竹内 俊哉さん)
(この記事は、平成27年11月発行のクボタの営農情報誌『U(ユー)元氣農業 No.32』を元に構成しています)

  新潟県新発田市の下金塚集落で、地域農業を支える担い手として、平成19年の品質横断的経営安定対策を契機に立ち上げられ、平成23年に法人化したのが農事組合法人金塚です。同法人は、水稲・大豆・たまねぎを組み合わせた2年3作によって水田をフル活用し、収益の向上を図っています。
 また、水稲の作業効率を高めるために、早くから鉄コーティング直播を導入。育苗関連の省力化とコスト削減に努めています。鉄コーティング直播の栽培面積は、今年度、水稲42haの内、13.5haに拡大。昨年から輸出用米にも取り組み、商社に出荷した約7tは、すべて鉄コーティング直播で栽培したコシヒカリBLです。

直播導入ありきでスタートした集落営農

 同法人では、集落営農組織を立ち上げる際、農業機械は直播導入ありきで組み立てられたと言います。田植機は直播にも対応できる多目的田植機を選択。圃場の均平を図るレーザーレベラーやバーチカルハロー、排水性を改善できるサブソイラなどを揃えてのスタートでした。
 今年度から組合長を務める鹿島さんは、「直播は、育苗の省力化を図れるだけでなく、移植と組み合わせることで、秋の収穫適期を分散できることも大きなメリットです。私たちは、40haを超える圃場を組合で作業するには、直播の導入は不可欠だと考えたのです。それで、ちょうど新潟クボタが実証を進めていた鉄コーティング直播に注目したわけです」。実際に取り組むと、従来の直播の課題とされていた出芽苗立ちや鳥害も問題なく、除草剤も播種同時に散布できるなど、これはいけると自信を持ったと言います。
 当初は手探りだった栽培も、経験を重ねるうちに技術を確立。出芽が悪かった枕地や圃場の四隅なども、田面を硬めに仕上げることで、今ではしっかりと稲穂が実っています。「直播は草との戦いなどとよく聞きますが、うちでは播種同時と初中期の2回の除草体系で草はしっかりと抑えられています。除草剤は播種時にオサキニ剤、初中期剤は今年はアクシズ剤を使用しました。レーザーレベラーによる均平な圃場づくりが、除草剤の効果を高めているのかもしれません」。
 気になる鉄コーティング直播の収量は、今年栽培した13.5haの平均で8.2俵でした。「今年の場合は、登熟期の日照不足と多雨の影響で少し物足りない気はしますが、昨年は9俵を超えていました。移植と比べて半俵落ちといったくらいです。労力やコストを考えれば十分な収量だと考えています」と鹿島組合長は話します。

収益向上に貢献する鉄コーティング直播

 今、鉄コーティング直播は、組合の経営の中で重要な柱のひとつとして確立しています。「農閑期である2月下旬から3月にかけて、コーティング作業が組合の大切な仕事となりました。組合の直播に必要な種籾260㎏以外にも、JA北越後管内のコーティング作業を約1500㎏受託しています。また、播種作業も合わせて受託していますから、鉄コーティング直播に取り組んだお陰で、コストダウンを図れただけでなく、受託作業として組合の収益に大きく貢献しています」と話します。
 また、昨年末に平成26年度補正予算として盛り込まれた『稲作農業の体質強化緊急対策』で直播栽培に助成金が交付されたことを受け、コスト低減に取組みながら昨年まで8haだった鉄コーティング直播を13.5haに作付けを拡大するなど国の事業も最大限に活用しています。

新たな取組みとして始まった輸出用米

 米価が低迷する中、収益を確保するため様々な取組みに挑戦する同法人では、昨年から輸出用米にも取り組んでいます。昨年度まで組合長を務めた竹内要司さんのご子息の俊哉さんは、「国内の米の需要が伸びにくくなっている中で、販売先を海外に目を向けることも必要だと考えて、昨年度から新潟農商を通じて、輸出用米も始めました」と話します。輸出用米が新規需要米として扱われることとなり、生産調整の対象となったこともひとつの要因だと言います。今年度の輸出用米は、225袋×30㎏で6750㎏のコシヒカリBLを出荷。全量鉄コーティング直播で栽培した米でした。
 「今、国は飼料用米やWCS用稲などを推奨していますが、どちらかといえば、私たちは、主食用米にこだわりたい気持ちがあります。将来的にはまだどうなるかは予測できませんが、水稲の中で、輸出用米のシェアが確立していけばと思っています」と竹内さんは、輸出用米の取り組みに期待を込めます。
 「組合では、収益を向上させるため、色々と努力していますが、私たちにできることは、鉄コーティング直播のような低コスト技術を確立させて、少しでも高く農産物を販売することです。若い組合員の将来をしっかりと考えて、これからも儲かる農業を目指していきたい」と語る鹿島組合長。その目は、地域農業の明日をしっかりと見据えています。

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