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情報誌「ふれあい」No.32

世界農業遺産 日本第一号の地 能登の里山里海をゆく

〜【情報誌ふれあい32号】次世代の農業を担う若き農業経営者〜

【情報誌ふれあい32号】次世代の農業を担う若き農業経営者

情報誌「ふれあい」の能登の旅。続いて、羽咋郡志賀町の若手農業経営者、裏貴大さんをたずねました。生態系に配慮した農業を実践している裏さんのお米は、安心・安全だと消費者から高い人気を集めています。地域農業を守り、また農業の魅力を若い世代にも伝えていきたい。そんな裏さんの取組と思いを伺いました。
(この記事は、平成27年9月発行のクボタふれあいクラブ情報誌「ふれあい」32号を元に構成しています。クボタふれあいクラブについては、お近くのクボタのお店までお問い合わせください。)

写真:生物が60種類以上生息するなど、厳しい条件を満たして「水田環境特A地区」に認定された裏さんの圃場にて。

「安全でおいしい食糧を、地域で自給自足したい」。
昔ながらの農業をヒントに活動。

 石川県七尾市の西側に隣接する羽咋郡(はくいぐん)志賀町(しかまち)。その中の「谷屋(たにや)」という地域で、能登の将来を見据え、地域の農業を盛り立てていこうと活動する若き農業経営者がいます。株式会社ゆめうらら代表取締役、裏貴大さんです。

 裏さんは大学卒業後、長男ということもあり地元に戻り、農業共済に就職しました。仕事柄、他の農家との接点はあったものの、当時は農業自体への関心は低かったといいます。しかし後に退社することになった矢先、東日本大震災が発生しました。「この時、安全でおいしい食糧を自分たちの手で作る大切さを強く感じたのです。そして、自分だけでなく地域で自給自足ができることを目標に、農業をやろうと決めました」と当時を振り返ります。もともと実家で所有していた50アールの土地を引き継ぎ、高齢化や後継者不足によって作付けが難しくなった近隣の圃場を委託されて作付けするようになるうち、次第にその面積は拡大していきました。現在の面積は約20町。「祖父や父が地元で培ってきた信頼が、私と農家との良い関係づくりを後押ししてくれたと思います。その上で委託された圃場の手入れはきちんとやってきました。そうして、大切な土地を預けてくれる人が少しずつ増えていったのです」。

 さらに裏さんは、農業を始めた当初から有機栽培にこだわっています。谷屋の圃場は周辺の水路にいる生物の種類や源流の環境などから、米の安全性を評価する「水田環境鑑定」で特Aの認定を受けるほど良い環境です。「良い米を追究していくと、祖父の時代の米づくりの知恵や技術、自然との関わり方が素晴らしいものだったと改めて気付きました。昔の美しい環境を取り戻すヒントが、ここにあると思いましたね。"高齢者"は地域にとってまさに"光齢者"。こうした人たちに学び、同時に頼りにすることで生きがいにつなげ、もっと元気になってもらうことで、みんなで能登を盛り上げていきたいですね」。

業種を超えた、多くの人との貴重な出会いが可能性を広げていく。

 地域の農業を考える裏さんにとって、もう一つ欠かせない存在があります。地元の酒造メーカーである数馬酒造株式会社です。実は数馬酒造の社長と裏さんは、高校の同級生。裏さんが地元に戻り再会した時、数馬社長は「おい、これから能登をどうする?」と語ったといいます。「能登のことを考えて酒造りをしているのか、と視点の大きさに驚きました。世代交代を見据えて、能登を背負っていくのは私たちだ、と教えてくれたんです」と裏さん。その後、「株式会社ゆめうらら」が生産した酒米の全量を数馬酒造が買い取るという関係ができました。また、能登の学生とコラボレーションした日本酒を製造販売する「Nプロジェクト」を共同でスタート。日本酒を通して、若い人が農業や地域にもっと興味を持つきっかけになるような取り組みも、積極的に行っています。

将来は、もっと圃場を増やしていく予定だといいます。ただ、中山間地であるこの地域は圃場が小さく、裏さんが作付けする20町の広さでも圃場が150枚にのぼるため、作業管理が難しいのが悩み。「地元の販売店を通じて、クボタのKSAS(クボタスマートアグリシステム)を採用しました。今までは地図に手書きで作業内容や作付け品種などを書き込んで管理していたので、手間もかかり大変でしたが、これなら圃場の状態がすぐにわかります」と話します。
 現代の便利なツールやシステムも活用しながら、能登を見つめ守り続ける裏さんの姿に、ますます注目度は高まっています。「私自身さまざまな業種の人とのつながりを持つことで、農業へのヒントにしてきました。こうしたネットワークのおかげもあり、ゆめうららの考え方に共感してくれる人も増え、販路も構築できました。高齢者の方を元気にしながら、一方で農業が自立できる産業だとしっかり証明して後継者を増やしたい。それが能登で農業をする私の使命だと思っています」。

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