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農業・農村の所得増大に向けた土作り#03

〜的確な土壌診断と排水対策で、田植機が入れないほどの湿田でも作業の効率化と収量アップを実現!〜

的確な土壌診断と排水対策で、田植機が入れないほどの湿田でも作業の効率化と収量アップを実現!

山形県尾花沢市で、水稲を中心にすいか、そば、花木の複合経営を行っている渡辺さん。水田5.7haのうち、自ら開墾した山間部の1.6haの圃場は、粘土質で排水が悪く、春作業ではトラクタや田植機が圃場に沈み込んで大変苦労されていました。渡辺さんは、「何とか土を乾かして、作業効率の良い圃場にできないものか」と南東北クボタに相談。技術協力を受けて排水対策に取り組まれた事例をご紹介します。
(この記事は、平成27年6月発行のクボタの営農情報誌『U(ユー)元氣農業 No.31』を元に構成しています)

土壌診断
―深さ20㎝に硬い耕盤、作土層は還元状態―

  「この地区は、冬場には2m近い積雪があり、春先には雪解け水の影響で圃場はなかなか乾きません。作業はそれはもう大変です。田植機が沈むので前年度は、無人ヘリによる散播で米をつくりました。しかしながら、ここは地力が高く、美味しい米が取れるんですよ。無理なく機械が入れる圃場になれば、身体も楽になりますし、もっと品質も収量も高めていけると思います」と渡辺さん。

 まずは圃場の土壌診断を実施。深さ40㎝ほどの穴を掘って、土の断面にジピリジル溶液を散布し、土壌に酸素が入っているかどうかを分析しました。この液は、二価鉄に反応するので、赤色になれば還元状態であることを表し、酸素が少なくて排水が悪いということになります。結果は、全面が真っ赤に変色。続いて、山中式土壌硬度計で土の硬さを測定し、田面から20㎝の位置で18㎜、25㎝で20㎜、一番硬い場所で27㎜を計測。硬度指標では、20~21㎜より大きい値だと根が下に伸びにくい状態だと判定しますから、土壌診断の結果、渡辺さんの圃場は、深さ約20㎝に硬い耕盤があり、根の伸張を阻害するとともに、作土層が還元状態だと診断されました。

排水対策 
―表面排水で余剰水を排出―

 渡辺さんは、水を多く含む粘土質の圃場を乾かすために、溝掘機で明きょを施工し、表面排水による排水対策を実施。雪解け水などの余剰水が、排水口にしっかりと排出できる溝をつくりました。 また、ディスクロータを使用し、土を起こしてかまぼこ状のうねを立て、うね間からの排水効果を高めました。春先に耕すと、排水が悪い場合は、稲わらが湛水の中で還元状態になり、根腐れを起こします。秋の内にすき込むことで、稲わらの分解を促進させることにしました。

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この排水対策に協力した南東北クボタの佐藤課長は、「排水性を良くすることは、水田においても、とても重要なことです。排水性が改善されれば、単に圃場に機械が入れるようになるだけでなく、土壌に酸素が入り、根の活力が向上し、根域が拡大します。また秋に稲わらをすき込めば、微生物が活性化することで有機物の腐植が進み、翌春、ガスが発生せず稲の初期生育不良を防ぐことも可能です。土づくりを秋から始めることで、高品質な米づくりが期待できると思います」と話します。

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排水対策の効果 
―圃場の上部層が乾き、田植機での作業が可能に!―

 雪解け後、渡辺さんの圃場を確認すると、排水対策の効果で、前年に比べ、見違えるほど乾いていました。秋と同様に土壌診断すると、排水対策前には、土壌の断面すべてが赤く染まっていた土が、下から10㎝ほどは赤く、その上10~15㎝は変色しませんでした。比較的上部は排水が良く空気が入って土が乾いたと考えられます。
 硬度計による測定も耕盤部分で17〜18㎜、耕盤ができていない場所は10㎜と柔らかく比較的排水がよくなっていることがわかりました。
 そして、何よりの成果は、表面排水によって圃場全体が乾いたことから、渡辺さんのこの圃場に田植機が走ったことです。
 渡辺さんは、今まで、無人ヘリによる散播直播による米づくりを行っていましたが、圃場が乾いたことから、南東北クボタの提案で、移植並みの収量と、より高品質な米づくりができるように、点播播種が可能な「鉄まきちゃん」による多目的田植機での鉄コーティング直播栽培が行われました。

収穫
―鉄コーティング点播直播で、前年を上回る10俵を確保!―

 収穫時期を迎えた渡辺さんの圃場は、黄金色の稲穂が一面に実り、眩く輝いていました。収量は、前年の散播での9俵を上回る10俵超え(品種:はえぬき)。喜びの秋となりました。
 「今までは、ここでは無理に作業してて、本当に大変だったんです。この状態なら乾きがいいので作業効率も高まると思います。田植機が入ったおかげで、点播の直播ができたこともうれしかったです。点播は、圃場に入っての管理作業も楽だし、移植と遜色ない稲姿には驚かされました。しっかりと実った稲穂は、散播と比べて、穂が長く、粒が大きいですね。
これは点播によって、根に活力が出たからだと思います。
 点播直播によって省力化が図れたことで、すいかの作業に力を注げ、収益も上がりました。排水性を改善したことで、すべてが良い方向に回ったんじゃないでしょうか」とうれしそうに話す渡辺さん。今回の土づくりが、渡辺さんの農業にさらに活力を与えたようです。


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